169.初っ端からほっぺたが痛む朝となりました...
第169話
グループディスカッション発表会当日の朝、
『レイナオキロー!』
「ふわぁ...ふぇっ⁉フィクサー...いっ‼...いたたたた‼痛いですよ!つつかないで‼」
フィクサーがわざわざ私の部屋まで飛んできて、起こしに来てくれた。これ自体はよくある事なんだけど今日はなぜか、フィクサーは私の頬を嘴でツンツンと強くつついてきたものだから痛くて痛くてしょうがない。
「ううっ...ほっぺたが痛いよぅ...」
私はあまりの痛さに涙目になって、両手でほっぺたを優しく押さえていた。
『レイナ!レイナ!レイナ!」
「もう、なんなんですか⁉」
それでも尚、心配する様子もなく私の名前を連呼してくるフィクサーに抗議の目を向けた瞬間だった。
フィクサーが突然ニヤリとしたかと思うと、その目が紫色に輝いたのだ。
「なっ⁉うぅっ...」
それを直に見てしまった私は急に目眩と吐き気を感じてしまい、フラフラとしながらその場に弱々しく膝を落とした。
『レイナ、ダイジョウブカ?』
「ん?...あれっ?」
だが、次の瞬間には目眩も吐き気も収まり、何事もなかったかのように立ち上がれた。
「フィクサー、朝っぱらからイタズラはやめてくださいよ...」
『アー...スマナイナ。』
「はぁ...」
全く...私は優しいから【すまないな】の一言で許したかもしれないけど...これが他の家だったら、フィクサー...貴方は唐揚げにされていたかもね...
・・・・・
学園にて、
「玲奈ちゃん!いよいよですね‼」
「清芽ちゃん、頑張りましょうね。」
「もちろんです!」
体育館に全学年の生徒が集められた。もうすぐ、先生達による発表会の説明が始まる事だろう。清芽ちゃんもついにこの日が来たのだとばかりに張りきっている。どんな課題を考えたかは知らないが、私も他のメンバー達が組んだグループの発表を楽しみにしている。
(そうだね、清芽ちゃん...私もいろいろと頑張らないといけないね...)
発表を成功させるのだってもちろんだが、何より一番なのは、あの騒動の決着をつけることなのだ。
(蛇茨ちゃんに伊集院日咲に筑波百子...悪いけどどんな結果になろうとも私を恨まないでね...先に私を攻撃してきたのは他でもない貴女達なんだから...)
敦鳥ちゃん達、穏健派だけには今回の作戦を既に伝えている。...それも、かなり以前から私が組んでいた巧妙なプランなのだ。穏健派のメンバー達は驚いてはいたが、反対する者はいなかった。ただ、敦鳥ちゃんが、
『あと1回だけ...日咲を説得させて下さい!』
と懇願してきた。
もっとも、日咲が敦鳥ちゃんの忠告を聞き入れる事はなかったので私も最初の計画通り、【強硬派断罪作戦】を実行に移すこととなった。
敦鳥ちゃんが少し落ち込んでいたけど、日咲はあくまで百子に利用されたり過ぎないから、そこまで重い罰を与えるつもりはないので安心してほしいものだ。
一番許せないのは日咲の憩美ちゃんへの想いを利用して彼女を駒にした百子なのだから...
「では、今からグループディスカッション発表会の説明を始めます。最後までよく聞いて下さいね。」
そんな事を考えているうちにディスカッション発表会の説明が始まったのだった。
「では、各グループの代表者には発表順を決めるクジを引いていただきます。まず上級生から並んでくださいね。」
長かった発表会の説明が終わると、先生の指示通りに上級生から順番に発表順を決めるクジを引いていった。
「頼む...一番最初はイヤなんだ!」
「お願い!私達のグループはちょうど真ん中辺りで!」
「私は無難に終盤がいいかな。」
「俺はさっさと終わらせたいから最初の方がいいぜ。」
「えっと、僕は最後の方はイヤかな...」
あちらこちらで他の皆の祈る声が響く中、とうとう私がクジを引く番となった。
「玲奈様!」
「玲奈先輩!」
私と同じグループである美冬ちゃんと眞美ちゃんが祈るような視線をこちらに向けてくる。
(お願い...前半だけはやめて...理由は...っ‼とにかく!前半だけはいやなの‼計画にも影響でちゃうかもだし!)
祈りに祈った末、引いたクジの結果は?...