15.明成学園初等部入学の日
第15話
(あぁ...ついにこの日が来ちゃったんだね...)
今日は明成学園初等部の入学式だ。私は今、すごく緊張している...
何せ、目の前にあるこの大きな校門を通過した瞬間、ミラピュア本編よりも過去ではあるが私にとっては本格的な物語が始まるのだ。自らの破滅回避の為にいかなる失敗も許されない...私はそう覚悟を決めて校門を通過した。
「ごきげんよう!玲奈ちゃん!」
「おはようございます!玲奈様!」
私が門を通過した直後、誰かに声をかけられた。
それは...
「清芽ちゃん、奏ちゃん、おはようございます。」
仲良しの二人だった。
「やったー!見たわよね?清芽、私の方が先に玲奈様に挨拶できたわ!」
「はぁ?奏、貴女は頭がどうかしてるのですか?どう考えても私が先でしょう。」
「何ですって!?玲奈様、私ですよね?」
「いいえ、私が先でしたよね?」
「えっ⁉私が決めるんですか⁉」
私にそんな事を言われても困るのだが?
「玲奈ちゃ~ん、私を選んでくれたら今夜は一緒にお泊まりして二人で楽しい事を...」
「奏‼そんなの卑怯です!だったら私は今夜、家に玲奈を呼んで...」
「バッ...バカ‼それ以上言ったら玲奈様にバレちゃうでしょ‼」
(ちょっと何を言ってるのか分からないな...それと二人とも同時だったんだけどな...)
三人で交流を重ねるにつれ、清芽ちゃんも奏ちゃんもお互い仲良くなれたと思っている。今の一見、喧嘩に見えるやり取りだって本気ではないだろう。単なるイジリ合いに過ぎない。だが、それはそれで少し面倒だ。なぜなら今のように私にも飛び火する事があるからだ。まぁ、そんな私もイジリ合いを楽しんでる節もあるのだが。
『『それで⁉どっちなんですか?』』
「えっと、そうですね~。私は嬉しいですよ。私のために二人が喧嘩してくれる事が。それぐらい私は二人に慕われているのですね。私は本当に幸せ者です!ですから順番なんてどうでもいいではありませんか!私達は一緒に寝る程の関係なんでしょう?」
少しイジワルな返答をすると案の上二人は、
「いっ...いいえ、寝るといっても~あぁ言う事やこう言う事はできてませんし~って違いますぅ‼恥ずかしいので誤解を招く発言はお控え下さい!」
「玲奈様‼それは公衆の場で言っちゃダメですぅ‼あれは私達だけの...ではなく‼とにかく言わないで下さい!」
顔を赤くしてモジモジしていた。怒ってるのだろうか?
(まぁ、二人が女同士の恋愛が好きな筈ないし、そういうタイプの人間って決めつけちゃそりゃ怒るよね。)
「玲奈様ぁん‼」
ついには奏ちゃんは私の名前を叫んで気絶してしまった。
「えっ⁉奏ちゃん⁉どうしたのですか?」
「だっ...大丈夫ですよ玲奈ちゃん。この子は幸せそうな顔してますし...」
清芽ちゃんは気絶こそしてないが奏ちゃんと同じく顔が真っ赤で今にも倒れそうなくらいフラフラしている。
「その...本当に大丈夫なんでしょうか?清芽ちゃん。」
「ちょっと‼その顔は反則です‼わっ...私だってもう限界近いんです...よ。」
「清芽ちゃん‼」
結局、数分後に奏ちゃんは意識を取り戻したけど何で気を失ったりしたんだろう?もしかして私の顔が怖い⁉
いや、まさかね...
次回は入学式です。