162.投票の行方
第162話
その後も私は自分にとって妥当な選択肢を選び続けて、ついに最後のお題までたどり着いたんだけど...
第⑩
選択肢1.グループディスカッション発表会の本番を冬休み明けに延期する。
選択肢2.グループディスカッションのテーマを1グループにつき、2つに増加する。
グループディスカッションの発表会の練習がだいぶ、進んだタイミングでこれか...
私の考えだと既にテーマを決めて、いろいろと調べもついている段階でテーマを更に増やすというのはさすがに酷だろう。私はともかく、美冬ちゃんや眞美ちゃんにかかる負担が増えてしまうのは申し訳ない。
だったら、発表会本番を冬休み明けに延期にして、その間に更なる練習を重ねた方がマシだと思っている。
というわけで、最後のお題は選択肢1を選ばせてもらった。
・・・・・
その日の放課後、
「では、結果を発表していこうと思います。」
(来たか...)
気になる投票結果は...
第①
選択肢1.冬休みを数日短縮して次のテストは中止。 合計8票
選択肢2.冬休みを数日延長して次のテスト範囲は2倍。 合計22票。
冬休みが増えるという甘い誘いに釣られた結果に終わったねぇ...元よりこのクラスは成績優秀な子達が多かったから、今更テスト範囲が2倍になったところでという感じだろう。選択肢1に入れられた8票は恐らく、勉強が苦手な子達のものだろう。
「はぁっ⁉なぜなんだ⁉ちくしょう!」
「ちょっと!鎌瀬、うるさい!」
その内の一人にして、前回のテストでクラス順位が最下位の鎌瀬妥膺くんが投票結果に喚いて隣の席の西木崎倶子さんに注意されていたが、恨むなら己の勉強不足を恨みたまえ...
第②
選択肢1.ランダムに選ばれた誰か一人を強制的に転校させて、それ以外の人達の学費を卒業するまでの間、全額免除とする。 合計0票
選択肢2.学費自体は現状維持。ただし、授業時間が以前よりも増加する。 合計30票
この結果には私も安堵して、胸を撫で下ろした。
うちのクラスには少なくとも他人を犠牲にしてまで自分がいい思いできればいいという自己中な輩はいない事が証明されたからだ。
第③
選択肢1.三聖徳会をすぐにでも廃止するべき。 合計4票
選択肢2.三聖徳会は今のまま存続するべき。 合計13票
選択肢3.三聖徳会に入れる生徒の数を増やすべき。 合計11票
選択肢4.三聖徳会に対抗して一般庶民だけが入会できる組織を新たに作るべき。 合計2票
このお題は意見が分かれる形となった。
まず、選択肢1と選択肢4に入れたのは、このクラスでは少ない一般庶民の生徒達だろう。今世では私の働きかけによって貴族と一般庶民の仲は深まったはずなのだが、三聖徳会自体にはいまだに不満を覚える生徒もいるみたいだ。
選択肢3に入れたのは、貴族ではあるが三聖徳会へ加入できる家柄ではない男爵家か子爵家の生徒達だろう。彼らはチャンスがあれば三聖徳会入りをねらっているはずだ。
(ひとまず、三聖徳会が廃止されなくて良かったのかな...)
そんな感じで結果が発表され続けて...いよいよ最後のお題だ。
第⑩
選択肢1.グループディスカッションの発表会の本番を冬休み明けに延期する。 合計16票
選択肢2.グループディスカッションのテーマを1グループにつき、2つに増加する。 合計14票
ほぼ僅差ながらも、私の望み通りの結果になった。




