161.抜き打ち投票試験?
訳あって、一部加筆させていただきました。
第161話
「突然で申し訳ありませんが、皆さんに伝えなければならない重要な事があります。」
発表会の練習もだいぶ形になってきた頃、担任の先生が暗い表情をして話し始めた。その様子にクラスの皆もザワザワするが、先生は話を続ける。
「今から皆さんにはある事に取り組んでもらいます。その名は抜き打ち投票試験です。」
『『『『『抜き打ち投票試験⁉』』』』』
私達の疑問の声を尻目に先生は試験内容の説明を始めた。簡単に言えば、事前通告なしで学園に関係するお題を見て、自分の好きな選択肢に投票するだけらしい。
ここまでなら、単なるの投票ごっこと変わりないのだが...
「ちなみにお題ごとに一番、票が集まった選択肢の内容は実現されます。」
(なっ...‼)
「ですので、投票先は慎重に選んで下さいね。」
実現されるって事は!たとえば、【今後、廃止にしたい学校行事】というお題で運動会が選ばれとしたら...この学園の運動会は廃止になるってこと⁉そんな事を生徒達の一存で決めちゃっていいの⁉
「では、お題が書かれたプリントを配りますのでそれぞれの選択肢を選んで記入して下さいね。それと、匿名にするつもりなので、誰がどの選択肢を選んだかまでは言いませんので...あくまで票数しか公表する事はないので安心して取り組んで下さいね。」
そう言うと、先生はクラス全員にプリントを配り始めた。
「玲奈ちゃん、私はどうすれば...」
「清芽ちゃん、緊張しなくて大丈夫です。自分が思う答えを出せばいいのですから。」
隣の席の清芽ちゃんを気にかけている内に【抜き打ち投票試験】の開始された。
第①
選択肢1.冬休みを数日短縮して次のテストは中止。
選択肢2.冬休みを数日延長して次のテスト範囲は2倍。
おいおい...一番初めのお題から悩まされる選択肢だなぁ...前世を思い出した私としては今さらテスト範囲が2倍になったところで勉強面の方は全くと言っていいほど、問題はないから普通に選択肢1に投票しようかな?
第②
選択肢1.ランダムに選ばれた誰か一人を強制的に転校させて、それ以外の人達の学費を卒業するまでの間、全額免除とする。
選択肢2.学費自体は現状維持。ただし、授業時間が以前よりも増加する。
いやいや...趣味悪っ‼このお題はあれだね...他人を犠牲にしてまで楽をしたいという人の心がない悪魔をあぶり出すみたいな感じかな?
えっ⁉私?まぁ...あいにくだけど私は選択肢2を選ぶよ?私は皆が大事だからね...私はゲームの玲奈お嬢様とは違って、他人を犠牲にするやり方が大嫌いだから...
えっ⁉『嘘じゃないだろうな⁉』だって⁉本当に決まってるじゃん‼百子の事も日咲の事もムカつくけど、さすがにこの学園から消えて欲しいとまでは私は思ってないからね...
...いやぁ、ほんとだよ...ほんとに決まってる...
.........よねぇ?
第③
選択肢1.三聖徳会をすぐにでも廃止するべき。
選択肢2.三聖徳会は今のまま存続するべき。
選択肢3.三聖徳会に入れる生徒の数を増やすべき。
選択肢4.三聖徳会に対抗して一般庶民だけが入会できる組織を新たに作るべき。
この試験を考えた名前も知らない貴方...いくらなんでも、このお題に関してはいろんな人を敵に回す事になるって分からなかったのかな?
まぁ、私としてはどれでも構わないけどさ...




