159.復讐の鬼
第159話
とある空き教室にて...
「ねえ、日咲。テーマは私に決めさせてもらっても良いかな?というか、これだけは譲れないんだよね。」
「えっ⁉そうなんですか?私はテーマ決めなんて正直、面倒だと思っていたので、全て蛇茨先輩にお任せしますよ~‼貴女もいいわよね?」
「えぇ...私は、その...二人がいいなら...」
(よし...上手くいった...‼)
百子の提案でグループを組む事になった蛇茨と日咲...それと、もう1人の少女がディスカッションの発表会に向けて話し合いを続けていた。
「テーマなんだけど...【岩倉玲奈について】にしようと思うんだ。」
「えっ⁉蛇茨先輩...わざわざあんな奴の事をテーマにするなんてどういうつもりでしょうか?」
日咲から見ると蛇茨がわざわざ、玲奈の事をテーマにする意図が読めない。
「理由?そんなの...もちろん、復讐のために決まってるじゃん‼」
「あっ‼なるほど!岩倉玲奈のせいで蛇茨先輩は散々な目に遭いましたからね!思いっきり、岩倉玲奈の悪行を皆さんに広めるということですね⁉」
「...まぁ、そういうこと...」
蛇茨の返答に納得したのか、日咲の表情から先程までの険しさが消えていった。
「発表する順番はどうしますか?」
「私を最初にしてくれれば後はどうでもいいかな。」
「分かりました!奈留?貴女も問題はないかしら?」
「はい...問題はないです...」
日咲ともう一人の少女、菱刈奈留の賛成を得た事で蛇茨達の発表会に向けての練習は他のグループ以上にサクサクと進んでゆくのだった...
・・・・・
「へぇ~‼あんなテーマにするなんてね...面白くなりそうね。奈留、引き続きあの二人の行動を監視しておきなさい。いい?」
「はいっ!筑波様。」
「じゃあ、今日はもう帰っていいわよ、お疲れ様。」
「しっ...失礼します‼」
百子は奈留からの報告に満足していた。最初は蛇茨と日咲、二人っきりのグループにするつもりだったが、復讐の鬼となったあの二人だけだと何かしらの大ポカをやらかすかもしれないという不安から見張り役として、自らの取り巻きの1人である奈留を加えた3人のグループを結成させた感じだ。
そもそも...百子は蛇茨の事も日咲の事も全く信用しておらず、単なる使い捨ての道具という程度の認識でしかないのだ。見張りをつけるのもある意味当然だろう。
「ふふふっ‼見てなさい、岩倉玲奈!私を見下した貴女を必ずや潰してみせるわ!そして、その後は貴女が可愛がってる島津憩美もよ!私を見下した事を後悔することね‼あははっ‼」
自分以外は誰もいない空間に筑波百子の自信に満ちた笑い声が響き渡るのだった。




