150.グループ決めと陰謀
第150話
「玲奈ちゃん‼玲奈ちゃん‼私と二人っきりのグループを組みましょ‼ねぇ?いいでしょ⁉」
「え~っと...清芽ちゃん、落ち着いて下さい。グループの件ですが、他の皆の意見も聞きたいので一旦、保留ということに...」
「ちぇっ...」
さっきから清芽ちゃんはこの調子だ。誰と組むのも自由であるこのイベントで理由は分からないが、どうしても私と二人っきりのグループを作りたいらしい。
私としても決して悪い案ではないのだが、他のメンバー達からみると、私が清芽ちゃんだけを贔屓しているように映るだろう。ただでさえ、クラスも同じで一緒に過ごす時間が他のメンバーよりも長いのだから...
その結果、グループ内で清芽ちゃんに対する反感が生まれ、最悪の場合はグループそのものが内部崩壊してしまう可能性も捨てきれない。
(今も私と蛇茨ちゃんがこういう感じのせいで、グループ全体が少し暗くなってる状況...これ以上、悪化しかねない火種を生み出すわけにはいかないんだよ...)
そんな感じで清芽ちゃんと廊下を歩きながら話していると、
「あっ‼蛇茨ちゃん...」
「げっ...玲奈...」
噂をすれば、例の蛇茨ちゃんがちょうど自分のクラスの教室を出たところだったらしく、運がいいのか、 悪いのか私達と鉢合せしてしまった。
「あの...蛇茨ちゃん。私達とグループを...」
「今は私が大人しく玲奈の話を聞くとでも⁉馬鹿にしないでくれる⁉ふん!」
「あっ...」
私が言い終わらない内に蛇茨ちゃんは私達を置いてさっさとどこかへ行ってしまった。まぁ、冷静に考えると喧嘩相手となっている私とグループを組むわけがなかったね...
「全く!裏切り者の癖に生意気です!玲奈ちゃんもあんな人の事なんて放っておきましょうよ⁉」
「清芽ちゃん...蛇茨ちゃんは悪くないんだよ...全部、私のせいだもん...」
「そんな事ないです!玲奈ちゃんは悪くなんてありません!仮に私が玲奈ちゃんに騙されても絶対に玲奈ちゃんが悪いとは思いませんから‼」
「あはは...清芽ちゃんは私を信じてくれるんですね...」
「当たり前じゃないですか!初めてのお友達として一生、着いていくつもりです‼」
清芽ちゃんよ...果たして今の言葉は真実を知っても同じ事が言えるのかな?
・・・・・
「まさか、本当に私達と組んでくれるなんて...」
「オホホッ‼だから言ったでしょう!あの人を味方につける事に成功したって‼」
人気のない教室で二人の少女は密談を交わしながら、例の協力者が来るのを待っていた。
「筑波様!感謝します!これで憩美様も救われます!」
「全然、良いですわよ~‼その代わり、今回のイベントで確実に岩倉玲奈を陥れなさい。良いですね?伊集院日咲さん?」
「はい!」
二人が悪い顔をして話を続けていると、足音が響くと共にガラガラと教室の扉が開く音がした。
「遅かったですわよ~‼」
「仕方ないでしょ...私にもいろいろあったんだからさぁ...」
百子は扉を開けた人物に気安く声をかけた。なぜなら、そこにいたのは自分達の協力者だからだ。
「これからは、私達の仲間としてよろしくお願いしますわね~‼大坪蛇茨先輩?」
「えぇ...そうね...」
百子は上機嫌でその協力者の名前を呼んだのだった...




