138.余計なお世話じゃ‼
第138話
あれから何分かたったけど、いまだに清芽ちゃんは私に抱き着いたっきり、全く離れる素振りを見せない。
(これって...もしかすると三聖室の門限までこのままの状態が続くかも?)
三聖室は午後6時までしか使用できない決まりなのだ。となると、少なくともあと1時間近くは清芽ちゃんに抱き着かれたままということ⁉
それはそれで悪くはない...なんて思っていると、
「お楽しみのところを申し訳ないんだが、少しだけ玲奈ちゃんを借りてもいいかい?」
私に話しかけてきたのは三聖徳会現会長である尚喃磨だった。
「私に何か用で...」
「絶対にダメです!いくら尚様であろうと玲奈ちゃんは譲りません!」
うわぁ...清芽ちゃんったら、喃磨が声をかけてきた瞬間、即答とは...度胸があるね~。
「う~ん、ちょっとだけでいいんだが...ダメかい?」
「ダメといったらダメです!」
喃磨も何か私に話したい事があるらしく、中々引き下がる様子は見せない。
「清芽、いい加減諦めなさい。たまには男子にも玲奈ちゃんのすばらしさを実感してもらいましょう。」
「なっ⁉烏丸様?」
見かねた奈乃波さんが清芽ちゃんを嗜めている。てっきり、奈乃波さんも私との時間が減るのが嫌とかなんだとか、ゴネてくると思っていたので意外だった。
「清芽ちゃん、すぐに戻ってきますので少々待っててもらえないかな?」
「玲奈ちゃん...」
私までもがそう言うと、清芽ちゃんは渋々という雰囲気を出しながらも、ようやく私から離れてくれた。
「さて、玲奈ちゃん!ここだと話しづらいんだよね‼あっちの方へ行こうではないか!」
「まぁ、よく分かりませんが...行きましょう。」
・・・・・
10分後...
「ぶっ‼はははっ‼よりにもよって...しゅっ、宿題デートだなんて‼なぁ...こっ、こんなの騙されるやついるのやら...」
「全くですね‼私だってこんなにもあっさり騙されるとは思ってませんでしたよ...」
喃磨が聞いてきた話は案の上、私と兼光の関係の進展?についてだった。とはいっても、3年生になってからは宿題デートぐらいしかしてないのだが、喃磨はこの話に結構ツボったらしく、爆笑していた。
「はははっ‼あ~‼おかしい...ところで、玲奈ちゃんもワルだね~‼まぁ、先輩に向かっておみやげの袋をぶん投げてくるぐらいだから当たり前かな?」
おいおい...まさか、あの時の事をまだ根に持ってたんかい!でもあれは100%私が悪いってわけじゃないからね!
「その事は触れないで下さい!あれは尚様が変な事言うからいけないんですよ‼」
「変な事を言った覚えはないけどな~‼まぁ、兼光をいじるネタが見つかったから感謝しておくぜ!」
宿題デートでいじられる兼光...なんか哀れに見えてきたね。まぁ、この人にバラした私のせいでもあるんだけど...
「もう...」
「それと...また何か進展があったら、このお兄さまに言ってくれよな~‼楽しみにしてるぜ~!」
「余計なお世話です!それに私は貴方の妹じゃありません‼」
「固くなるなって‼兼光は弟、玲奈ちゃんは妹みたいなもんだからさ~!」
喃磨はなぜか、私と兼光のカップリングを推しているみたいだけど私から見れば余計なお世話でしかないんだよね...
「玲奈ちゃ~ん‼まだですか~⁉私の玲奈ちゃ~ん‼」
(あっ...)
やばい...喃磨との話に熱が入りすぎて清芽ちゃんの事をすっかり忘れてた...こりゃ、後で怒られそうだね...




