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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部3年生編
136/316

133.宿題デート...なんてあるわけない


第133話



「なぁ、玲奈。これ...今、どこに向かってるんだ?」


「それはですね~‼とってもすてきな場所ですよ!」


「マジかよ‼やったぜ!念願の初デートだー‼」



大喜びしている兼光を見て、私は少しばかり申し訳ないと思っていた。なにせ、デート...などではなく、単に後輩の宿題を手伝わさせられる事になるのだから...


「あっ‼そういえば、母様が今度、再び玲奈と話す場を設けてほしいとか言ってたけど玲奈はその気はあるか?」


「二条美嵩様がですか?」


それは妙だね...確かあの時、私は兼光の許嫁候補から外れるためと陽菜を貶された事もあって二条美嵩に暴言を吐いた記憶しかない。その結果、最後までお互いに険悪ムードだったはずだ。


それなのに今さら、また話す場を設けてほしいだって?何か企みがあるとしか思えないのだが。


「いきなりですね...いったい何の風の吹き回しでしょうか?あの人から見て私の印象は最悪なはずでは?」


「いや、俺だってそう思ってたんだ。それなのによぉ...」


なるほど、兼光も分からないという事は二条家総意の目論見というわけではなさそうだね...


「はぁ、全く自分の母ながらかん


「岩倉様、二条様。目的地に着きましたよ。」


「あっ‼お疲れ様です!」


「お疲れ...って‼はぁ⁉」


そうこうしているうちに滓閔の家に到着したのか、運転手が私に声をかけてきた。すると、念願の目的地を見た兼光は首を傾げて私に問いかける。


「なんだ⁉ここってよくある普通の家じゃないのか⁉」


「あらあら、二条様ったら、何事も見かけだけで判断してはいけませんよ。」


「まぁ...そうだろうけど...」


「さっ‼行きましょう!」


「おい!玲奈‼引っ張るなー‼」



この土壇場で悟られるとまずいんでね...つべこべ言われる前にこの先の地獄へご招待いたしますよ!



二・条・さ・ま?








・・・・・


「玲奈?よくも俺を騙してくれたな~‼」


「ちょっ...顔が怖いですよ‼二条様!」


「言い残す事はそれだけかい?玲奈ちゃんよぉ?」


滓閔の家の中に入った後、兼光は全ての事情を伝えられた。そこで自分が滓閔の宿題を手伝わさせられるためにこの場に呼ばれた事を悟った兼光は私に対して怒り顔を見せながらも、どこかスッキリしたようなオーラを纏っていた。


「二条様?本当に怒ってます?」


その矛盾に気づいた私が問いかける。すると、兼光はため息をついて、


「はぁ...まぁ、今まで俺は玲奈に大してカッコいいところを見せれてないだろう?その割に玲奈の方から俺をデートに誘うなんてなんかおかしいなとは思ってたんだよな~‼」


「......」


「二条家の跡取りをナメんなよ~‼はははっ!」


さすがに兼光自身の公爵家の令息という肩書きは伊達じゃなかったようだ。



...だけどね?



「何をおっしゃいますか?二条様は勘違いされているようですが、私は一切、嘘などついていませんよ。」


「なっ...なんだと?これがデートだとでもいうのか?」


知恵比べならば、私だって負けていない。こうなった時の言い訳は用意してあるんだよ!


「いいですか?私達は今から()()()()()滓閔ちゃんの宿題を手伝う。それはわかってますよね。」


「もちろんだとも‼」


「つまりですね。これから宿題を手伝うという事は私と二条様の初の共同作業という事になります。これが学園かお互いの家ならまだしも、全くの第三者の家で行うのです。デートというのは基本、二人で()()()()()()()()()()()()ですよね?ならば、これもデートで間違いないのでは?」


私自身の事ながら、よくここまで白々しく屁理屈が言えたものである。


「そうなんだろうか?ましてや、他人の宿題を手伝う事が楽しい事か?」


「二条様、宿題を手伝うのを楽しむのではなく、()()宿()()()()()()()()()楽しんで下さい!それを一般では【宿題デート】というそうですよ‼」


「そ...そうなのか⁉」


「ですよね?滓閔ちゃん?」


「はい!有寄りの有りですね!」


この時ばかりは滓閔の天然さ?に感謝しておくとしよう。


「そうだったのか!玲奈、済まない‼てっきりお前が俺を騙したなんて誤解しちまって‼」


「いえいえ、気にしてませんよ。それよりも私達の()()()()始めましょう!」


「おぉ!そうだな‼」


誤解?が解けてすっかりやる気に満ちている兼光に心の中だけで言わせてもらう。



『あのね!宿題デートなんてあるわけないよーだ‼』



その時に少し...ほんの少しだけだが、私の胸がチクチクしたのはなんだったんだろう?




おまけ話⑩...学園に入学してから少しずつ、兼光は玲奈を高野藍葉の面影を感じる少女としてではなく、『岩倉玲奈』という一人の女として意識するようになった。


だが、そのせいで、いつしか藍葉の事を自分の心から消してしまうのではないかと不安視している。


この葛藤はミラピュアでは高等部中盤辺り...ヒロインとの仲が深まった後での話であり、ゲームより大幅に早まった事で今後、何かしらの影響が現れる...かもしれない。


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