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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部3年生編
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116.姫由良は天使


第116話



姫由良ちゃんの話によればどうやら姫由良ちゃんのご両親が急な仕事で今晩は家を空けないといけなくなったらしい。さすがに夜中にまだ9歳にも満たない娘を一人ぼっちでいさせるのは危険だと思ったのだろう。その分、私の家に泊まるとなればセキュリティもばっちりだし、話相手にも困らない。いい判断だ。


「ほぅ、玲奈はいい友達を持ったね。」


「姫由良ちゃん、今日はうちを我が家だと思ってゆっくりくつろいでいってくださいね。」


「はい!私のために本当にありがとうございます‼」


ちなみに今は夕食中。普段はうちの両親と私と陽菜で夕食をともにしているが、今日はそこに姫由良ちゃんも混ざっている。


「姫由良お姉ちゃん!どんどん食べてね~‼」


「おいしい~‼こんなにおいしいものを玲奈ちゃん達は食べてるんだね‼」


「......」


おいしそうに食事を頬張る姫由良ちゃんの横顔が可愛らしくてついチラチラと眺めてしまう。まるで天使の笑顔だ。


「ん?玲奈ちゃん?私の顔に何かついてる~?」


「あっ、...いえ、おいしそうに食べてる姫由良ちゃんが可愛いなあと思いまして...」


どうやら私が姫由良ちゃんをチラチラ見てる事に気づかれてしまったようだ。人の顔を眺めるなんて気持ち悪いとか思われないといいけど...


「いやいや‼おいしそうじゃなくて本当においしいんだもん!」


「よかったです。お気に召してくれて。」


そんな私と姫由良ちゃんの様子を見た父と母はお互いに顔を見合せながら微笑んでいた。


「姫由良ちゃん、玲奈は公爵令嬢だからという理由で一般生徒からはちょっと恐れられてる部分もあるけど君は怖い者知らずだね~。」


「ちょっと‼お父様⁉」


お父様はいきなり何を言い出すの⁉これじゃ、姫由良ちゃんの私に対する接し方が無礼だといってると誤解されちゃう‼


「はい‼初めて会った時から玲奈ちゃんの良さが分かってたからです!私は公爵令嬢の岩倉玲奈様としてではなく、玲奈ちゃんという一人の女の子として接しています!恐らくそれを玲奈ちゃんもそれを望んでいるので!」


「姫由良ちゃん...」


「良かったですね、玲奈。姫由良ちゃん、これからも玲奈と仲良くしてくれるかしら?」


「...はい、もちろんですよ!」


いつの間にか母まで姫由良ちゃんとの会話に混ざってきている。一見、ただの楽しい夕食にも見えるがこうしてみればとんでもない光景だ。


ミラピュアでは自分より下位の者は道具としか見ておらず、いざ自分達に危機が迫ったらそれまで可愛がっていた娘を切り捨ててまで自分達の保身を図っていたクズの固まりともいえる両親とヒロインのお助けキャラで貴族を恨んでいた姫由良ちゃんがまさか同席する日が来るとは...ゲームをプレイしていた人が見てみれば目を疑うに違いない。


私が前世を思い出した事で歴史が変わった結果、うちの両親の性格もまたいい方向に変わっていっているのだろう。少なくとも今の両親は相手が下位の人間だろうと見下したような言動をとる事はない。実際に姫由良ちゃんともすぐ打ち解けたのがその理由だ。


「おなかいっぱ~い‼そうだ!玲奈ちゃん‼一緒にお風呂入ろ!」


「えぇ、分かりました。」



こうしてあっという間に夕食の時間は終わりを告げたのだった。








・・・・・


「はぁ~‼いい湯~‼」


「のぼせないように気をつけて下さいね。」


私は今、姫由良ちゃんと二人でお風呂に入っている。岩倉家のお風呂はとても広く、私と姫由良ちゃんの二人で湯船に入ってもまだ全然スペースが余る。下手をすればその辺のホテルの浴場と同じくらいの広さはある。


「では、姫由良ちゃんの背中を流してあげますね。」


「わーい!ありがとう‼」


私に背中を流してもらうことがそこまで嬉しい事なのかな?と思いながらも私は姫由良ちゃんの背中を擦りはじめる。


「ふふっ‼玲奈ちゃんはほんとに優しいんだね!」


「姫由良ちゃんの方こそ優しいじゃないですか。初めて会った時、貴族の子にいじめられたのに私達とすぐ仲良しになって貴族の事も理解して....あれ?姫由良ちゃん?」


私の話を聞いていた姫由良ちゃんが急に表情を曇らせた。さっきまでのエンジェルスマイルはどこにも見当たらない。


(私、何かまずいこといった?)


私がどうにかしてこの気まずくなった空気を変えようと模索していると、


「...ごめんね。思い出したくない過去があったんだよね。」


姫由良ちゃんが口を開いた。


「姫由良ちゃん...」


「玲奈ちゃん、申し訳ないんだけど誤解してるよ...私はあくまで()()()()()()に心を開いてるだけなんだよね...」


「......」


ようするに姫由良ちゃんは私達、グループメンバーとは仲良くなれたけど貴族が嫌いっていう根本的な理由は変わっていないみたいだ。


「それにさぁ、私がそこら辺の貴族以上に嫌ってるのはねぇ...うふふっ‼...あはは‼」


「姫由良ちゃん⁉様子が...どうしちゃったんですか?」


姫由良ちゃんの様子がどんどんおかしくなっている。それにそこら辺の貴族以上に嫌ってる相手っていったい...



「それはね...貴女だよ‼玲奈ちゃん...」




悪役令嬢モノでここまで主人公の両親の出番が少ないのはこの小説ぐらいですかね笑


(母に至っては全119話中、まだ3話しか登場してなかったりするし...)



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