表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部3年生編
117/317

114.独り占めは災いのもと


第114話



「よし...皆、集まったわね。」


「はい...」


「奏ちゃん、この集まりは何なの?」


「姫由良‼わかってないんかい!」


「静かに...」


3年生としての日々が始まり、しばらくが経過した日のとある放課後、学園の使われてない空き教室にて少女達は密談を交わそうとしていた。


大炊御門奏


兼藤姫由良。


中園沙友里



この三人が話そうとしている事は...



「何とかしないとこのままじゃ玲奈様が清芽に独占されちゃうわよ‼」


「確かに...まずいですね。」


「清芽ちゃんがね~?」


いうまでもなく玲奈様絡みの事だった。恐らく玲奈様自身は気づいていないようだが、玲奈様は他人に好かれやすい、天然の人たらしだ。


グループのメンバー達も例外ではなく玲奈様へのアピールを続けているが、それ以上にこのグループ8人で仲良しでいる事を望んでいるため、玲奈様を好きだからといって他のメンバーを陥れるような真似は絶対にしない。


だが、最近になってこの()()が崩れかけている。


「最近の清芽ちゃんはおかしいですよね...」


「最近もなにも冬休みに私達を騙そうとした時から私は怪しいと思ったのよ!」


事の発端は冬休みにグループの皆で遊ぶ日の前日のこと。清芽が皆に集合場所が変更になったと連絡してきたのだ。他のメンバーは最初こそそれを信じていたが、途中で違和感に気づいた。


何で清芽を介して連絡してきたのか?と。玲奈様は基本的に自分達への連絡は自らしてくれてる。万が一できないような事があっても使用人の平田姫香さんから伝えてくれるはずなのだ。それなのに何で清芽なのかと。


結果、奏が姫香さんに連絡を入れて確認したところ、集合場所の変更などしていないと言うではないか。その事を皆が清芽に問い詰めると、


『玲奈ちゃんを独占したかったのに...』


と目論見を阻止されたのか、しょんぼりしていた。


その時は自分達が仲違いして玲奈様を悲しませたくないという思いで厳重注意に留め、何事もなかったことにしたのだが...


「今度は実家を通じて学園に圧力をかけるなんて...」


「えっ⁉そうなんですか?いくら玲奈ちゃんと同じクラスになりたいからってやりすぎですね...」


清芽は懲りずに実家を通じて学園に3年生のクラス編成にて自分と玲奈様を同じクラスにするよう圧力をかけたのだ。


「玲奈様との約束を破るなんて‼」


「全くです...」


玲奈様は日頃から自分達に実家の権力を私利私欲な事に使ってはいけない。使うのは必要最低限、他人を守るために留めてほしいと忠告していた。


普通の公爵令嬢ならば実家の権力を使って好き勝手に振る舞おうとするだろう。最初こそ、それなのに権力を嫌う玲奈様のお考えがよく分からなかったが、いつしか権力を使わずとも人を心服させるのが岩倉玲奈様なのだとメンバー達は敬うようになった。


だが、清芽はそんな玲奈様との約束を破ってしまったのだ。


「しかも最近は休み時間は三聖室に玲奈様を連れ込んでずっと二人でワイワイしてるし...」


「羨ましいです...」


同じクラスといえば、2年生の時に真里愛も玲奈様と同じクラスだったが、彼女は清芽ほど玲奈様を独り占めしていなかった。むしろ気をつかって他のメンバーと玲奈様との時間も作ってくれたくらいだ。


「どうします?玲奈ちゃんに冬休みの事とクラス替えの事を伝えないといけま」


「その必要はないよ。」


『『えっ⁉』』


これまであまり喋らなかった姫由良が口を開いた。


「姫由良‼それはどういう意味なのよ⁉」


「このままだと清芽ちゃんの暴走が止まらなくなりますよ⁉」


奏と沙友里は懸念していた。暴走した清芽によって玲奈様が完全に独り占めしてしまう可能性に。


「二人は玲奈ちゃんを信じてないの⁉玲奈ちゃんは私達を見捨てるような事はしない‼だからこそ今までこの8人でやっていけたんだよ‼忘れたの⁉」


「でも清芽が...」


「清芽ちゃんの事は大丈夫だよ‼玲奈ちゃんは優しいもん‼きっと清芽ちゃんを元の清芽ちゃんに戻してくれるよ‼」


「姫由良...」


姫由良の言うことは理解できる。。確かに玲奈様ならグループのメンバーになにかあったら何とか助けようとするはずだ。自分達が玲奈様を信じれなくてどうするというのだ。


「まぁ、グループ内での内輪揉めは嫌だからね...」


「いっそ玲奈ちゃんに任せてみます?」


「きっとそれがいいよ‼...あっ⁉」


「姫由良ちゃん、どうしたんですか?」


突然、姫由良が何やら思い出したかのような仕草をしたかと思うと、


「そういえば、陽菜ちゃんから聞いたけど今年入学してきた子の中に春休みの間、玲奈ちゃんの家でお泊まりした子がいるらしいけどそれがだれか知ってる?」


『『なんだってー⁉』』


清芽の件以上にヤバイ話題を投下した。


「だっ...誰なのよ‼そいつは!」


「私も気になります!」


「確か~、島津憩美って子らしいよ。」


「なっ⁉島津憩美って確か玉里鳳凰前会長の妹だっけ?今度三聖室で会ったら問い詰めてやるんだから‼」



こうして密談は島津憩美の話題に変わり、清芽の話題はうやむやにされたまま終わったのだった。







「それにしても...あそこまでされて清芽に怒りをみせないなんて姫由良は心が広いわね...」


「本当ですよ。姫由良ちゃんは天使です‼」


「あはは~‼私は皆仲良しがいいんだよ!」



だが、清芽に対するこの決断が間違いだった事を彼女達はまだ知らない。




そろそろ作中用語集つくらないと...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ