112.乱入者
第112話
春休みも残り1日となり、私は明日から3年生になる。今日1日は進級するにあたっての心の準備も兼ねてミラピュアの内容の振り返りの時間に費やしたい...と思っていたが、
「玲奈ちゃん‼会いたかったですよ‼」
「えっ?清芽ちゃん⁉」
姫香から私に来客が来たと言われたので出迎えに玄関に向かうとそこには清芽ちゃんの姿があった。清芽ちゃんは私と目があった瞬間、ギュっと私に抱きついてきた。
「連絡もなしに来るなんて何かあったんですか?」
「えっ...私が玲奈ちゃんと会うには必ず連絡を入れないとダメなんですか?」
「あっ...別にそんなわけじゃないですよ‼」
私としては清芽ちゃんが家に遊びに来てくれるのは大変嬉しい事なのだ。...なのだが、さすがにアポ無しだと困る。なぜなら改めて1日のスケジュールを調整をしないといけなくなるからだ。
たとえば、他の人との約束がある日や時間帯に来られたりでもすれば厄介な事になる。
でもそれを清芽ちゃんに直接伝えてはいけない気がした。私の第六感がそう働いたのだ。
(最近の清芽ちゃんはどこか変わったような...いや、私の考えすぎだよね‼)
清芽ちゃんを引き剥がした私が彼女をそのまま私の部屋に連れ込もうとすると、
「玲奈さん‼別れの挨拶を...って‼あれ?タイミングが悪かったみたいですね...」
春休み期間のお泊まりを終え、今まさに帰宅する準備をしていた憩美ちゃんが駆け寄ってきた。
「れっ...玲奈ちゃん⁉この子は誰ですか⁉まさか陽菜さんの他にまだ妹さんがいらっしゃったので?」
「いや、違いますよ!この子はですね...」
このままだとややこしい事になりそうなので私は清芽ちゃんに憩美ちゃんが春休みの間、お泊まりする事になった経緯を話した。
「へぇ~‼島津憩美様、はじめまして。私は菊亭清芽といいます。玲奈ちゃんの同級生...いや‼最初のお友達です。」
「こちらこそはじめまして。島津憩美です。菊亭様よろしくお願いします‼」
「えぇ...よろしくお願いいたします...」
二人はお互いに笑顔で自己紹介してるように見えるが清芽ちゃんからはなんだか黒いオーラが滲み出てるような気がする。それも邪悪な...
(憩美ちゃんって皆から嫌われる何かがあるの?)
陽菜といい、清芽ちゃんといい、何で皆が憩美ちゃんに敵意を向けるのか私は理解できなかった。
・・・・・
(ふう...あの後、清芽ちゃんが私にべったりで憩美ちゃんもなんかしょんぼりしてたりでそれを見た何故か姫香は激オコで大変だったな~!皆どうしちゃったんだろう?)
「玲奈よ、明日から3年生だな。」
「あっ、麻呂さん!お久しぶりです‼」
あっという間に夜になり、明日から3年生だし早く寝ようと熟睡したら久しぶりに夢幻世界で麻呂さんと再会した。
「それで...私に何か用ですか?」
「あぁ、そうだな...簡単に言うと高松家の娘には気をつけろとだけ言っておく。」
高松家ってどういう家だったっけ?確かミラピュアにも高松何とかって子は出てたのは覚えてるけど?
「その娘は三条家を恨んでるわりに何故か三条莱們と仲が良い...といえば分かるか?」
「えっ⁉ということはその子は‼」
麻呂さんのその言葉で私はその子の正体に気づいてしまった。
「そういうわけだ。あとは自分で何とかするんだな。」
「ちょっと⁉麻呂さん‼」
こうしてまたも夢幻世界から強制的に追い出された私は麻呂さんが言うその娘...高松美冬ちゃんの事で頭がいっぱいだった。
(本来ならあの二人は...!!なのになんで?)
そのせいで夜更かししてしまい、3年生初日から寝不足だったのは言うまでもないだろう...
次回からようやく3年生編スタート!




