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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部2年生編
113/318

110.陽菜と憩美『序』①

陽菜目線です。(短め)


第110話



陽菜は強く警戒していた。春休みの間、岩倉家に泊まり込みするらしい島津憩美という名の少女を。


「ねぇ、憩美ちゃん?さっそく聞きたいんだけど~貴女は何の目的で()()玲奈お姉ちゃんに近づいたのかな?」


「えっ⁉私は単に玲奈さんからの教えを受けて立派な公爵令嬢になれるようになるためですが?」


「ふ~ん、そうなんだね...」


見たところ嘘をついている様子はなさそうだ。自分の家の格を上げるために玲奈お姉ちゃんを利用してるとかじゃなくて良かった...それは良かったのだけど‼


(もしかして玲奈お姉ちゃん、私よりもこの子の方が妹に相応しいと思ってるんじゃ...それでこの子にお泊まりを‼)


陽菜の心の中には嫉妬の感情も生まれていた。岩倉家の養女となったとはいえ、元は地下家の捨てられた娘である自分と違って憩美という少女は正真正銘の公爵家の娘だ。そんな玲奈お姉ちゃんが彼女を気に入ってもおかしくはない。


「......っ!!」


「あの、陽菜さん?」


「あ...なんでもないよ。」


(せっかくできた居場所をこの子に奪われる?...そんなの絶対にいや‼...いやだよ‼)


思わず心の内を叫びそうになったが辛うじて堪える。これも岩倉家の養女としてそれなりの教育を受けたおかげで生まれた精神力の現れなのだろうか?もし、玲奈と出会ったばかりの自分だったら激昂して憩美を岩倉家から叩き出していたかもしれない。


「そういえば、玲奈さんと陽菜さんって姉妹の割にあんまり似てないんですね?」


だが、憩美の悪気のない余計な一言が火に油を注ぐ形となり陽菜の中の何かを壊した。


「うるさい‼そんなの貴女に関係ないよね⁉公爵令嬢だからって私をバカにしてるの⁉」


「ひっ‼ごっ...ごめんなさい‼」


「あっ...」


今まで自分でも出した事のない大声で怒鳴った結果、憩美は涙目になって必死に謝っている。その光景をみた陽菜は落ち着きを取り戻した。


「気分を害してしまって申し訳ございませんでした‼まさか岩倉家のご令嬢様に無礼を働いてしまいなんて...」


「......」


憩美の様子に陽菜は少なからずの罪悪感を覚えた。まぁ、だからといってこの子を信用するわけじゃない。莱們や萌留や滓閔や美冬といった同級生のお友達とはわけが違うのだ。


この子は4月から明成学園に入学してくる1つ下の子...要するに後輩なのだ。玲奈やその同級生のお友達ほど、簡単には信用してはいけない相手だ。


(私も...みんなから見れば怖い人なんだ...)


身分なんか関係なくみんなが自分と友達になってくれると思っていた...でも違った。萌留や滓閔がちょっと変わっているだけだったのだ。


入学してから地下家にいた頃の感覚で同級生の子達に接してきたが、陽菜の本当の素性を知らないみんなから見ると本来なら私は気安く話しかける事も恐れ多い公爵令嬢なのだ。陽菜は住む場所と立場が変わるだけでこれほどまで影響があるとは思っていなかった。


(通りで私に話しかけられると酷く怯える子がいたわけだね...)



もう自分は以前の奥田家の次女ではないのだと...この日、陽菜は公爵令嬢としての自らの立場を改めて強く実感させられる事になったのだった。




次回は憩美目線。

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