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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部2年生編
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109.改造...ではなく矯正...いや、教育を施す


第109話



3月になり、6年生の先輩方が卒業した。といっても今年度の6年生の先輩方にめぼしい三聖徳会のメンバーはいなかった。よって私とほとんど絡む機会がなかったため、寂しいのかと言われると微妙だ。



なにせ、それよりも春休みになった今、重大なイベントがあるもんで...



「えっと...玲奈さん、春休みの間はよろしくお願いします!」


「あっ...はい、よろしくね。憩美ちゃん。」



春休みの期間までに今、私の目の前にいる島津憩美ちゃんを私の手で改造...いや!教育を施すのだ‼







以前、クリスタルアイスシティーでたまたま出会った玉里鳳凰に憩美ちゃんを私の手で育ててほしいと頼まれた時の私の返事は...


『玉里様、その件ですが正直、私には荷が重いかもなんて思ってます。...ですが私の事をこれほどまで信じてくれるお二人の気持ちに応えたいという気持ちもあるんです。なので私で良ければやれるだけの事をやってあげますよ。』


『なるほど、それが玲奈ちゃんの選択なんだね。」


『はい...』


『なら、憩美は春休みの期間は岩倉家でお泊まりとかでもいいかい?』


『全然構いませんよ。』


あの時、私は自らの身の安全よりも憩美ちゃんを敵にならないように教育するというハイリスクな選択肢を取った。


姫香からは『これ以上、玲奈お嬢様の周りに女の子を増やしたくない!』とかいう理由で反対されたが何とか押しきった形だ。



「憩美ちゃん、春休みの間は岩倉家を自分の家だと思って下さいね。」


「はい、ありがとうございます!」


憩美ちゃんも私の事を慕ってくれてるし、私の家に泊まるにあたっては何の問題もないはずだ...


『オマエ、シンイリカ?』


「えっ⁉鳥がしゃべった?玲奈さん⁉あの鳥は人間の言葉を話せるんですか?」


「まぁ、そうですね...一応ペットです。」


『オイ、シンイリ。ヨクキケ、オレハコノイエノ...』


「はいはい、フィクサー...一旦、戻って下さいね。」


開けっ放しになっていたドアから勝手に入ってきたフィクサーを私は半ば強引に追い出した。


「まぁ、あの鳥の事は常識外の生物とでも認識しといて下さいね。決して悪い奴じゃありませんけど...では憩美ちゃんが泊まる部屋に案内しますね。」


「えっと...よろしくお願いします!」



私が教えられる事は限られているが、憩美ちゃんには出来る限りの教育を施すつもりだ。...それと憩美ちゃんがゲームの時のようなハッカー令嬢にならないようにパソコンとかには決して触らせないでおこうっと...






・・・・・


「一旦、休憩にしましょうか。」


「その...玲奈さん、私はまだ...」


憩美ちゃんが岩倉家に泊まりはじめて1週間、学園の仕組みに勉学に作法に人心掌握術に...と、いろいろな事を憩美ちゃんに教え込んだ。私も憩美ちゃんがどういう子なのか分かってきた。


憩美ちゃんは飲み込みが早く、私が言った事をすぐ理解してくれる優秀な子だ。。だがその反面、自分自身の事は軽く見て体調を疎かにする節がある。


「自分の体の事もちゃんと考えて下さい。無理しすぎて体調を崩したりしたら本末転倒ですから...」


「はい、すみません...」


そんな事を話しながら私と憩美ちゃんが休憩に入ろうとすると私の部屋の扉が開いた。


「玲奈お姉ちゃん!ただいまー‼...ってその子だれー?」


「あっ、陽菜...おかえりなさい。」


実は陽菜をはじめとする下級生メンバー達は、春休みが始まってからすぐに三条家の別荘に何泊も旅行に出かけていて家を留守にしていた。なので陽菜は憩美ちゃんとは初対面だ。


「れっ...玲奈さんに妹さんがいたんですね‼初めまして、島津憩美です!春休みの間は岩倉家で泊まり込みで玲奈さんから教育を受けています!よろしくお願いします!」


「ふ~ん、岩倉陽菜だよ。私は玲奈お姉ちゃんの唯一無二の妹だから..よろしくね。」


おや?陽菜が急に真顔になってしまったぞ...それに憩美ちゃんを見つめる視線が少し冷たいような...


「ねぇ、玲奈お姉ちゃん、この子を少し借りていい?」


「えっ⁉憩美ちゃんがいいなら構いませんが...」


「えぇ、私は全然構いませんよ。」


陽菜は笑顔に戻ったが目が明らかに笑っていない。いったいどうしたというんだ?


「ありがと‼...じゃあ、早速だけど憩美ちゃんだっけ?私の部屋に行こうか!」


「あっ、はい!陽菜さん...」


そう言うと陽菜は憩美ちゃんの手を握って自分の部屋へと連れていった。


「玲奈お嬢様、安心して下さい。あの二人ならきっと大丈夫ですよ。」


「う~ん、そうだといいのですが...」



その場に残された私は姫香に宥められながら、ただ呆然とするしかなかった。




おまけ話⑤...当初はフィクサーと憩美の出会いはもう少し後にする予定だった。

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