107.2回目のテストは?
1日に2話投稿するのは結構久しぶりな気がします。
第107話
「蛇茨‼今回こそは負けないからね!」
「奏はそれよりも最下位脱却を狙った方がいいんじゃない?」
「なんですって⁉」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて...」
冬休みが明けて2月になり、2回目のテストの時期がやってきた。前回の漢字テストは初めてのテストという理由もあってテスト範囲も広くなかったが今回の算数のテストはそうはいかない。
「え~っと、126×54は180だっけ?」
「姫由良ちゃん、それはたし算ですよ。」
「あっ‼そうだった!ありがとう!沙友里ちゃん‼」
近くでは沙友里ちゃんが姫由良ちゃんの勉強を見てあげている。私だけでは全員に勉強を教えるのは難しいので私に次いで成績が良い沙友里ちゃんにも先生役をお願いした形だ。
「なになに...AさんがBさんに500円渡しました。次の日BさんはAさんから貰ったお金の半分を5倍にした額をCさんに渡しました。さらに翌日、200円を追加で渡しました。BさんはCさんにいくら払ったでしょうか?...玲奈~‼この場合、どうするんだっけ?」
「蛇茨ちゃん、まずは500円の半分は分かりますよね?」
「250円でしょ?」
「はい!そこでその250円を...」
「玲奈ちゃん‼ちょっと分からない問題が...」
「優里ちゃん、ちょっと待ってくださいね。」
皆も今回のテストの難易度が前回と比べてかなり高い事が分かったのか前回に増してテスト勉強に励んでいる。
「玲奈様~‼助けて下さい!」
「奏ちゃん、どこが分からないのですか?」
「ここです!ここ‼この問題が分かりませ~ん‼」
特にグループの中で一番成績の悪い奏ちゃんは皆以上に分からない問題が多いらしく、私や沙友里ちゃんの教えを乞う回数は桁違いだった。
「ちょっと奏⁉なんでずっと玲奈ちゃんを独占してるのですか?私だって玲奈ちゃんに教えてほしいのに‼」
「はぁ、清芽...あんたは多少勉強ができるから良いじゃない‼だけど私は違うのよ‼」
「なんですって⁉」
「なによ‼」
「ちょっ...二人とも‼喧嘩はしないで下さいね...」
多少、空気が悪いが皆はテスト勉強に励むのだった。
・・・・・
そうしてテストの返却日、
「はぁ...」
「玲奈ちゃん‼元気出して下さい!」
「そうですよ‼ちょっとしたミスじゃないですか‼」
絶対的な自信を持ってテストに挑んだ私は初歩的なミスで満点を逃してしまって落ち込んでいた。そんな私を皆は励ましてくれている。
「私、先生に抗議してきましょうか⁉たかが点点を1つ書き忘れていたくらいでマイナスだなんて納得いきません‼」
「いや、先生の採点は正しいです。たかが点点...されど点点ですからね。」
「玲奈ちゃん...」
ちなみにそのミスというのは解答自体はあっていたが、小数点を書き忘れるという致命的なものでその結果-1点で99点となったわけだ。
(私...さすがに慢心してたのかな...)
前世の記憶があり、尚且つ高等部レベルの勉強を習っていた事で私は心のどこかで初等部のテストを舐めていたのかもしれない。
実際に皆に勉強を教えるばかりで私自身のテスト勉強の時間はほとんどなかった。
その結果がこれだ。
「私達なんて玲奈ちゃんよりもずっと低い点数だったんですから!!落ち込まないで下さい!」
「皆さん...ありがとうございます。」
私は次のテストではこのようなミスはしないと心の中で固く誓ったのだった...