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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部2年生編
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105.尾行する少女達

尾行しているあの子達目線です‼


第105話



一方で玲奈と耀心のデート前日。三条家の一室にて...



「先輩方、お忙しいところをわざわざお越しいただきありがとうございます。」


「それで?莱們、用件は何かしら?」


「わざわざ私達の貴重な休みを潰すくらいですからそれなりの理由なんでしょう?」


清芽、奏、真里愛、沙友里、姫由良、蛇茨、優里は三条莱們によって、三条家の屋敷に急遽呼び出されていた。


「大変なんです!母様曰く、明日、玲奈お姉様が耀心とデートに行くらしいんですよ‼」


「はぁっ?」


「なんと⁉」


「嘘...」


「えぇっ‼」


「玲奈ちゃんが?」


同級生メンバー達は驚きを隠せなかった。今まで男に対して全くと言っていいほどに興味を示さなかった玲奈が三条耀心とデートだなんて誰が予想していただろうか?


そもそも、玲奈が耀心を好きだとかいう話は一度も聞いたことがない。


「それで、密かに尾行したいのですが私一人では心許ないので先輩方の力を借りようかと...」


「つまり莱們ちゃんは二人の関係を進展させるために私達に協力を求めてるんだね‼」


「あぁ‼そういう事か~。」


姫由良と蛇茨は莱們が可愛い弟と尊敬する玲奈お姉様のデートを成功させるために自分達に協力を求めてるとばかり思っていたのだが...


「違います!私は玲奈お姉様と耀心が結ばれるなんて絶対に反対です‼」


「さっ...三条様?それは何でなのでしょうか?」


「はぁ⁉河合先輩、そんなの決まってるじゃないですか⁉」


莱們の反応に優里がちょっと怯えている。地下家出身の優里にとって公爵家の令嬢である莱們は貴族界では遥かに格上の存在だ。本来であればたとえ年下であっても気安く話せる相手ではないのだ。こうして多少馴れ馴れしい口調が許されるのも身分による差別をよしとしない玲奈のグループに入れてもらえたおかけだ。


もし、この場にいたのが自分ではなく同じ地下家出身の他の子だったとしたら自分よりも格下の一般家庭出身ながら莱們と対等に会話している姫由良や蛇茨は怖いもの知らずに見えるだろう。


「だって!玲奈お姉様と耀心が結ばれたら玲奈お姉様が私の義理の妹になっちゃうじゃないですか⁉そんなの嫌です‼私は永遠に玲奈お姉様の妹分でいたいんですから‼」


玲奈お姉様を尊敬する莱們から見れば到底見過ごすことのできない問題なんだろうが自分達にはあまり影響はない、そう思って生温かい視線で莱們を見つめていた同級生メンバー達だったが次の莱們の発言で状況は一変する。


「というわけで先輩方‼私に協力してください!このままだと耀心が玲奈お姉様の心を独占してしまうかもしれません‼」


『『『『『『『......‼』』』』』』』



(えっ?玲奈様が奪われる?)


奏は想像してみた。耀心とラブラブになり、自分に目を向けてくれなくなった玲奈様を...



(玲奈ちゃんが‼玲奈ちゃんが‼...)


清芽は想像してみた。何事にも耀心が優先され、最初のお友達である自分をおろそかにするようになった玲奈を...



((男なんかに玲奈ちゃんを...))


真里愛と沙友里は想像してみた。自分達と玲奈の仲が順調に深まっている矢先に突如現れた男に全てを奪われるところを...



(私達はずっと8人で仲良くしたいのに...)


姫由良は想像してみた。耀心という存在によって自分達8人の仲に亀裂が入ってしまうかもしれない事を...



(べっ!!...別に焼きもちとかじゃないんだけど...これから大変になりそう...)


蛇茨は想像してみた。毎日毎日、玲奈から耀心に対しての愚痴を聞かされる羽目になる惨めな自分を...



(玲奈ちゃん、ごめんなさい...)


優里は想像してみた。玲奈が独占される事をいつまでも受け入れられず、昔の自分に戻ってしまうかもしれない未来を...



そんな彼女達の想いは一致した。



〃そんなの嫌だ!〃...と。



「分かったわ‼今回ばかりは協力する‼」


「私もです!」


「私も‼」


「みんながそういうなら私もかな。」


「先輩方、ありがとうございます!」



こうして玲奈の知らないところで尾行する者達が現れたのだった。







・・・・・


(あっ‼二人があの店に入っていったわ!)


(奏!声が大きいです...見つかっちゃいます...)


こうして尾行を始めた8人だったがただ二人のデートを眺めるだけで特に何もする事がない。邪魔をするという選択肢もあるがもし万が一、玲奈が耀心を本当に好きになった場合、そんな事をすれば嫌われるのは確実なため躊躇している。


「二人はスイーツ店に入ったけどどうしますか?外で待ってましょうか?」


「いいえ、中園先輩‼丁度お腹もすいてきたので離れた席に座って見張りましょう‼」



こうして意気揚々とスイーツ店に入っていった8人だったが、莱們が自分の過去の話をされた事に思わず大きな声を出してしまった結果、彼女達の尾行はあっさりとバレてしまったとさ...







・・・・・


デート終了後、尾行の件について玲奈お姉様と弟から尋問されたが先輩方がなんとかその場を収めてくれた事でことなきを得た。


「姉様、あんな事はもうやめてよね。」


「はぁ...あんたが玲奈お姉様に変な事しない保証なんてないでしょ?」


「僕の心配じゃないのかよ‼」


弟の方は何だか納得がいってないようだったが...


(ふぅ...それにしても先輩方には本当に感謝しないと。)


初めて会った頃は、あの先輩方が本当に玲奈お姉様のご友人に相応しいのか少なからず疑っていたが、実際には今日のように玲奈お姉様の事なら何でも協力してくれる本当に頼れる方々達ばかりだった。付き合いが増えるにつれ、それを知っていったからこそ莱們は今回の尾行への協力を求めたのだ。


「気さくな大炊御門先輩、真面目な菊亭先輩、慌てん坊な富小路先輩、優等生な中園先輩、やんちゃな兼藤先輩、ツンデレな大坪先輩、気弱な河合先輩...みんな変わり者ですが玲奈お姉様への想いは同じなんでしょうか?...」


改めて尾行に協力してくれた7人に感謝している三条莱們。



しかし、この中にまさか例の自分宛の恐ろしい脅迫状を書いた犯人がいるとは夢にも思っていなかった...




おまけ話③...ちなみに同級生メンバーは耀心だけズルいと何やら玲奈と約束を取り付けたようです。

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