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ミラピュア~破滅回避への物語  作者: たかくん
初等部2年生編
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101.姫香にサプライズ!


第101話



「あの...玲奈お嬢様?どこか具合でも悪いのですか?」


「いっ...いいえ‼いつも通りだから気にしないでね‼」


「そうですか、では失礼しますね。」


(はぁ...)


私は今、とても悩んでいる。それは数日後に迫っているとあるイベント...姫香の誕生日についてだ。


「それで、陽菜?フィクサー?何をあげれば姫香は喜ぶと思いますか?」


「玲奈お姉ちゃんがくれるならなんでも喜んでくれるよ!」


「ソンナコトシラン‼」


「はぁ...」


ミラピュアでは姫香は実家のために私に面従腹背してるに過ぎない程度の関係でしかなかったが、今世では違う。私に心から尽くしてくる忠臣...いや、パートナーも同然の間柄なのだ。なので日頃の感謝という意味合いも兼ねて彼女に何かしらの誕生日プレゼントを渡したいと思っているのだ。


ただ、ミラピュアをプレイしていて分かったのだが姫香は自分については詳しく話さないタイプの人間だ。それは今世でも変わっておらず、私も彼女の趣味とか好きな物とかはよく分からない。


(一番の忠臣の喜ぶ物も分からないなんて...私ってば、主失格じゃん...)


なので陽菜とフィクサー、1人と1羽にいいアイディアを出してもらおうと考えたが結果はお察しの通りだ。まぁ、鳥の方に関してはなぜか機嫌が悪くなる有り様だし...


「姫香さんは玲奈お姉ちゃんの事が本当に大好きなんだよ!だったらいっそ、『プレゼントは私です‼』って言って抱き締めてあげたらどうかな?」


「いや、それはさすがに恥ずかしいよ...」


「いいじゃん‼いいじゃん‼それでさ~!猫耳をつけて~‼さらにはメイドさんの格好もすれば完璧~‼」


「余計に恥ずかしいって‼」


ここ最近、陽菜が変わってきている気がする。前まではただただ純粋で可愛い妹だったのに、今ではたまにだが清芽ちゃんや沙友里ちゃんによく似た悪い笑みを浮かべるようになったのだ。二人のどちらかが陽菜に教えたのかな?


「ソレデイインジャナイカ?」


「フィクサーまで!」


さっきまで機嫌が悪かったはずのフィクサーまでもが陽菜の案に賛成している。


(どうしよう...もう他の案は思いつかない...)


陽菜の案にのるには多少の羞恥心がある。でもだからといって誕生日プレゼントを用意しないわけにはいかない。こういった気配りができないとやがて一番の忠臣の信頼を失いかけないからだ。


「レイナ、アリノママノジブンヲサラケダセ。」


「私を信じて‼絶対成功するから!」


「ううっ...」



どうやらもう覚悟を決めるしかないみたい...








・・・・・


姫香の誕生日当日、


自身の部屋ですやすやと眠る住み込みメイドの平田姫香。今日は誕生日という事もあって玲奈の父から特別休暇を与えられていた。なので本来なら起きてないといけない時間帯になっても目を覚ます素振りはなかったのだが...


「姫香、起きて下さい。」


「うぅ~ん‼まだ眠いのに~誰?~...って‼玲奈お嬢様⁉」


姫香が自身を起こした人物に目を向けると、


「えっと...姫香、おっ...お誕生日おめでとうございますぅ‼」


そこには猫耳をつけ、加えてメイド服を身につけた玲奈お嬢様がケーキを持ちながら恥ずかしそうにしていた。


「ケーキ...私の手作りなので食べて下さいね‼」


「あっ...はい!」


玲奈お嬢様が自身の誕生日を覚えていてしかもケーキまで作ってくれた。あまりの情報量の多さに姫香は頭が混乱していた。そして何より一番気になったのは...


「玲奈お嬢様、あの...その格好は?」


「あっ...あぁ‼これはですね~‼え~っと、良いプレゼントが思いつかなかったから1日だけ姫香のメイドになっちゃおうなんて思ったのですが迷惑でしたよね⁉すみません‼」


恥ずかしそうにモジモジしながらもそう話す玲奈お嬢様に姫香は驚きを隠せなかった。


(玲奈お嬢様...私のためにここまで体を張って...)


自身の誕生日を覚えてもらってるだけでも光栄なのに手作りのケーキまで貰えて、ましてや1日だけ主従交代までしてくれるお嬢様などこの世のどこを探しても玲奈お嬢様以外いないだろう。


「玲奈お嬢様...」


「姫香⁉やっぱり迷惑だった⁉ごめんなさい!」


「違うんです...玲奈お嬢様。」


姫香は生まれてから一度も誕生日を祝わってもらった記憶はない。実家の両親は多忙で姫香の世話を知人任せであり、親として彼女と向き合う時間はほとんどなかった。その知人も血のつながらない姫香を厄介者扱いしていて、とても良い関係とは言えなかった。


それなのに‼この人は...私の事をここまでして信頼してくれているなんて...


「玲奈お嬢様、私は仕える主が貴女で本当に良かったです!本当にありがとうございます‼」


「姫香...」


姫香は決意した。玲奈を生涯の主として心からの忠誠を誓う事を。何より自身は玲奈お嬢様と一心同体とまで言われたのだ。この期待に応えなければならない。


「そういえば今日1日だけは何でも願いを聞いてくれるんですよね?」


「えぇ、そうですね?何かありますか?」


「言いましたね‼じっとしていて下さい!」




チュッ‼




「えっ...えぇ⁉姫香⁉何を?」


「私の気持ち受け取って下さい!」



そのためならこれぐらいの愛情表現は許されるだろう。




無事?忠臣の心はつかめた玲奈お嬢様だった。

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