99.ミラピュアの内容を整理といこうじゃないか!②
第99話
乙女ゲームといえば、主人公であるヒロインに対する敵役として悪役令嬢が登場するのが当たり前だ。多くの場合だとメインの悪役令嬢は一人であり、ヒロインと攻略対象を巡って対立するパターンだろう。
しかし、ミラピュアというゲームではその概念は通用しない。ミラピュアではどのルートでもストーリー上、ヒロインと敵対する事になる悪役サイドのボスが何と4人もいる。しかも、それは決して明成学園に通う令嬢とは限らない。二条美嵩のような攻略対象の関係者、ましてや攻略対象とは全く無関係の人物になる場合もあるのだ。
そんなボス達にヒロインは自身の動物好きにちなんだ異名を付けており、ファン達の間にも事実上の公認となっていた。そんなボス達の事を私は思い返してみた。
○マウスティアボス(小ボス)
このボスは基本、物語の開幕でヒロインをいじめているか、ヒロインと攻略対象の出会いのきっかけとなるかのパターンだ。家柄はヒロインより少し上の地下家の娘かヒロインと同じく平民で愛想が良いが腹黒い娘のどちらかの場合が多い。自分を差し置いてヒロインが攻略対象との仲を深めているのに嫉妬して嫌がらせをおこなっていた。
ただ、嫌がらせの度合いは後述するボス達と比べると比較的軽いものであり、高等部1年の夏休み明けくらいでヒロインと仲直りしてその恋を何らかの形で応援する者がほとんどである。ヒロインから見てもネコにイタズラをする可愛いネズミ程度という認識でまだ救いがあると見なされていた。
そんなわけでヒロインは後にネズミにちなんでこの名前を付けたとか...
〇ドッキーネスボス(中ボス)
このボスは平民のヒロインが周囲の人望を集めていくのが気に入らず、ヒロインを一方的に敵視するパターンが多い。家柄は地下家より上だが三聖徳会メンバーに及ばない者が多いが必ずしもそうとは限らず、耀心くんルートではなんと玲奈お嬢様がこのポジションに該当する。だが、彼女達は同時に自分達も真の悪役令嬢の取り巻きである事も多く、その場合はあっけなく切り捨てられるなど散々な目に遭う。
結末はというと...よくて1年生の終わり頃から2年生初め頃に退学、酷ければ命を奪われてしまう者までいる。
前述したマウスティアボスとは違ってそれなりに敵としての風格を見せつけてくるが、真の悪役令嬢からみれば噛ませ犬程度の存在にすぎない。犬にちなんだ名前で呼ばれるのも納得だ。
◆ライガオウボス(大ボス)
このボスこそが事実上、ミラピュアのメインともいえる悪役令嬢で玲奈お嬢様がこのポジションにいる場合も多い。このボスは名前に似合わず意外にも頭は良くないのでそこを大人数の取り巻きを持つ人望や圧倒的な家柄でカバーしている事が多い。玲奈お嬢様を見ればそれが分かる筈だ。
また、根は善人だったマウスティアボスや自身の取り巻きに関しては少なからず人間関係を意識していたドッキーネスボスとは違い、使えない取り巻きは容赦せず切り捨てる、攻略対象と結ばれるためなら無関係の人間をも犠牲にするといった完全なる悪として描かれている。心優しいヒロインもこのボスに関しては許せなかったようでたびたび衝突する事になる。ちなみに2年生の中盤から高等部卒業式までと悪役令嬢の中では一番長い付き合いになる。
ヒロインからの異名はライガオウボス。ネーミングセンス的にどうなんだろう?
何はともあれ、ライガオウボスとの決着がついたらめでたくヒロインと攻略対象は結ばれそのままハッピーエンド...
と思いきや、そこに立ちはだかるのがコイツら...
★【ティランティーノボス】(ラスボス)
このボスの存在はミラピュア攻略ブックには一切記載されておらず、完全なる初見殺しとなっている。さらに該当する人物も今までヒロインの味方だった者か名前しか出てないような一見、モブキャラ程度としか思われていなかった者のどちらかなので初見で該当する人物の正体に気づいたプレイヤーはほとんどいなかった。
前世の私も玲奈お嬢様を断罪してエンドロールも流れたし、兼光ルートを無事クリア!...っと思った矢先に二条美嵩が立ちはだかった時は驚きを隠せなかったのをよく覚えている。
このボスの凶悪点は他にもある。それは選択肢1つでも間違えるとその時点でバッドエンド、ライガオウボス断罪後からやり直しという鬼畜仕様があるのだ。
前述のボスとの選択肢では多少間違えてもその後の選択肢で巻き返しが可能だったし、何よりセーブ機能があったため問題はなかった。だがライガオウボス断罪後からはエンディングを迎えるまでセーブ不可となるためやり直しがきかないのだ。
その呼び名、ティランティーノボス。もはや哺乳類とは格が違う恐竜の象徴ともいえる存在...このボスに勝てばようやく本当のハッピーエンドを迎えられる。
(もしもティランティーノボスが私の敵になったらまずい...)
私がこのボス達の事を思い出した理由はヒロインの叔父、冷田正憲がゲーム序盤で既にティランティーノボスと密かに手を組んでいたからだ。
ルートによっては全くヒロインと関わりないティランティーノボスがなぜかヒロインの事をよく知っているなど伏線は存在していたがまさか自分の身内が自分の情報を流していたと知ってヒロインもプレイヤーも言葉が出なかった。本性を現した正憲はティランティーノボスと手を組んでヒロインと敵対する事となる。
最終的に冷田正憲はどのルートでもティランティーノボスに用済みとされるか、もしくはヒロインや攻略対象に命を奪われるのだが、これは自業自得だろう。
この世界では昭三叔父様に頼んで既に冷田正憲は処分してもらっているけどこれが今後どう影響するかな?




