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生き返らないためには世界征服するしかない!
「帰りたくない」
私は柔らかい水の中にいた。
それは温かく、流れはとてもゆっくりで、とても大きなものに包まれ、守られているような心地よさを私は感じていた。
「帰りたくない」
まわりには様々な色をした光球がゆっくりと動いている。
一呼吸置いて残像がゆっくりと現れ、そして消えていく。
とても・・・きれい。
「帰りたくない」
私はそれを『見る』のではなく感じている。
ああ、私もかれらと同じ優しく漂う光なのか。
不思議と、そうわかってしまった。
なんて、素敵なことだろう。
「帰りたくない」
不意に、引っ張られるような感覚を感じて私はそちらに意識を向ける。
そこには強く輝く真っ白な光の玉。
段々と大きくなってゆく―――いや、近づいている。
「帰りたくない」
光の玉が視界いっぱいに広がったとき。
風が、私を包む水を吹き飛ばした。
『汝の意思を汝に代わり、汝よりも肯定しよう』
後ろから声が聞こえた気がしたが、私が振り返るより早く、私は意識を失った。