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×月十三日

 ×月十三日


 「おーい、ユアー?」


 目の前で手を振られぼんやりしていた意識がぱっと戻ってこさせられた。目の前には大好きな恋人が座っている私を覗き込むように屈んでいた。西日が熱い放課後。ユアの日課である放課後の恋人同士でのトークタイムだ。


 「あ、うん。ちょっとボーッてしちゃってた」


 そっか。と彼は何かを深読みしたように頷き少し悲しんだような顔を見せた。


 「なぁ、ユア?」


 「何?」


 彼はたぶん少しだけ躊躇っているように見えた。それでも何か踏ん切りをつけたように一度閉じた口を再度開いて。


 「ユイちゃんの事、そう簡単に割り切れることじゃないもんな」


 でも、と彼は私の方を真っ直ぐ見てどこか羞恥を滲ませながら、続けた。


 「でもさ、ユアが生きててくれて本当に良かった。死んだのがユイちゃんで良かった……。俺って最低だよな……でも生き残ったのがユアだったことでどうしようもないくらい、今俺は安心してる」


 昔みたいに弱々しく俯いた彼に私は席を立ち優しく抱擁した。彼は少し弱そうな声でありがとうって、そんな彼が愛しくて、たまらなくなって私たちは口付けをした。


 息苦しくなるまで、深く深く。



 ねぇ、ユア。略奪した味はさ、蜜にも勝る物だと思わない?


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