@×月十日(後半)
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「ばいばーい、お姉ちゃん」
突き落として心が晴れたこの爽快感を何に例えればいいのだろう、澄み切った快晴か、それとも蒼茫と広がる大海原か、いやそんなものではまだ足りないね。大都市に大きな爆弾でも落として、丸ごと更地にしてしまったくらいの爽快感かな。
いやぁ。まんまと引っかかってくれてホントありがたかったなぁ。
思考回路が大体同じだって事に気付けば殺す準備自体は案外手間取らないものだったけどね。いつも直してある新聞置き場から朝刊をリビングに出してたりとか、わざとイライラさせるようなことを積み重ねてきたりとか、考え出した殺人プランをあんまり吟味されないように野菜ジュースを一杯分だけにして私が不眠症と偽って貰った睡眠薬を入れてたりとか、最後の最後で判断を遅らせるためにユアの大好きな彼の、あんまり人には知られてない一面の話をしてみたり。
ちなみにこの制服はユアのだったりする。
もう、私がしたいことはわかったよね?
因みに犯行動機はユアと全く同じ、双子だからこんなとこまでア揃いで、何もかもが同じ双子が嫌いというものでした。
ちゃんちゃん♪
さぁ、後は私が書いたシナリオ通りに動くだけ。
私は全速力で電話ボックスに駆け込み、SOSの赤いボタンを親指ぐっと押してで110へと電話を繋げた。
「大変なんです! ユイが……ユイが……………」
強風に煽られユイが崖から転落した助けてほしいと、嘘の心情と事情をを警察に伝えこれで完結。
つまりは、今日から私がユアだ。
ユアの友達も、部屋も、積み上げてきた功績も、他人からの信頼も、クラスでの人気も。勿論恋人の彼も全部全部、私のもの。
あぁ、もう、ここまで計画道理に進むなんてほんとに怖いね。