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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第 7-14日目 理科室:異世界の人体模型
9/53

ウラシマ効果

 時間は10時20分の少し前。

 場所は中学校の体育館。


「……小犬丸さん、なにか分かったこと、ありましたか?」


「あーっと……俺の時計って象が踏んでも壊れねェヤツなんだけどよ」


 彼が挙手した手を反転させ、自分の腕時計を他の3匹に見せました。


「な、な、なんですか、これ……」


 腕時計は壊れていました。

 いや、壊れていると言うか、物凄いスピードで時間が進んでいます。


「最初はただ壊れただけかと思って、そのままにしてたンだけど……。

 普通、壊れたら、スピード遅くなるもんなあ」


 さらに少年は付け加えます。


「なンだか違和感があって見てたら……。

 どうも腕時計の『24時間』が、どうやら携帯時計の示す『第XX日目』と連動してるみたいナンだ……」 


 これに猫の少女が口を挟みます。


「……あ、解った! これってあれだよ!

 よく、漫画とかで異世界に行って戻ってきたら時間が全然過ぎていなかったってコト、あるじゃん!」


 鶏の少年が「え? 何それ」という顔をしていますが、他の2匹は「あるある」と頷きます。


「それの逆バージョン、つまりこの空間では1時間でも、私達の元いた世界では7日間が経っているってことなんじゃないかな!?」


 鶏の少年が「ああ、浦島太郎ですね」と横槍を入れて、他の2匹が納得しました。



「「「「……って、ヤバいじゃん!!」」」」



 4匹が同時に突っ込みます。


「じゃあ、私たちが全問解いたとして、向こうでは49日経っているってコト!?」


 自分で仮説を立てた猫の少女が何故か一番驚いています。


「ちょ、ちょっとそれはこ、困るね……」


 続いて驢馬の少女も困ってしまいました。


「あー……、まあ、俺ァ別に良いかなァ」


 犬の少年は面倒くさそうに呟きます。


「くそ……天才にとって、大いなる時間の……人生の損失だ……!!」


 鶏の少年は大きな視野で悔しがっていて馬鹿みたいです。

 彼は、やたら自分のことを天才呼ばわりしていますが、多分冗談じゃなくて本気で言っている感じがします。


(……?)


 驢馬の少女はここでまた、違和感を感じました。

 けれど、やっぱり今はそれどころではありません。


「わ、私からも提案が、あ、あるんだけど!」


「ええ、なんでしょうか」


「ほ、本当は言うつもり、な、なかったけど……

 私、そ、その、霊感があって。

 今回のミッションって、れ、霊に関わっていそうで……」


「……なるほど。

 それで、どうしましょうか」


「私が危険だと判断したら、り、理由が薄くても従って欲しい」


 鶏の少年は考えます。

 やっぱり幽霊なんて信じられないからです。

 ただ、先ほどの問題の最中に入ってきた謎のバスケ部員についても気になります。

 あれ(・・)は、確かに得体が知れなかった(・・・・・・・・・)

 彼女の言うことに聞かなかったら、あれ(・・)と鉢合わせになっていたかもしれないのです。


「……とりあえず、保留としておきましょうか。

 可能であれば従いますが、驢馬塚さんも、何故そうするのか、なるべくその理由を説明してください」


「ああ……う、ううう」


 驢馬の少女は説得が出来なかったため残念そうに唇を噛んでいます。


「……さて、議論は大体出尽くしましたかね」


「おォ……あとよ、家庭科室、寄って行こうぜ……」 


「え? な、なんで?」


「家庭科室はよ、“包丁(ブキ)”と“まな板(ボウグ)”があるからなァ」 !?


「そ……そうしましょうか。

 時間も少し押しています、家庭科室を通って武器を調達後、理科室に向かいましょう」


 4匹は話し合いを終えると、目的地へと出発しました。

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