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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第 0- 7日目 体育館:生首バスケット
7/53

7不思議その1 生首バスケット

 時刻は22時ちょうど、制限時間は残り7分を切ったところ。

 場所は中学校の体育館。


 3匹が照明の当たっている2つのサークルの間の。

 光の当たっていない真っ暗な中央を見つめます。

 目を凝らすと……、そこにも両サイドと同じようにサークルがあり。

 ……そのサークルの中には、砲丸(・・)鉄アレイ(・・・・)、そしてマットレス(・・・・・)が置かれていました。



 まるで。

 どちらも同じなら(・・・・・・・・)中央へ(・・・)

 とでもいうかのように。


「正解は、あそこ、か……」


「ええ、問題はもう解けています。

 あとは、今後の問題の方針などを考える時間です。

 まだ、6分もある(・・・・・・)


 3匹は少しイラッとしましたが、なるほど、問題を解いた後で今後の傾向と対策を考えていたのであれば、彼の行動も理解できます。


「ねえねえ、自信満々に鉄のサークルに入ろうとして、間違ったけど!

 今どんな気持ち? ねえ、どんな気持ち!?」


 なぜか猫の少女が犬の少年を煽っています。

 

「ほぉオおお!?

 ”言葉にもならねェ”よ、”馬鹿猫”サン?」 ビキビキ!?


 その煽りに速攻で乗っかった犬の少年は、猫の少女のボディーに男女平等パンチを打ち込みます。


「うげええええ煽り耐性低すぎるだろおお」 


 猫の少女は悶絶するようにお腹を押さえて体育館の床に崩れ落ちました。


 こんなことになるのは、誰だって分かりそうなものですが。

 ……先ほどネットが得意と言っていたようですが、彼女の場合は単なる『荒らし』なのかもしれません。 

 恐らく、危険だと知りつつも揚げ足を取るのを我慢できなかったのでしょう。


 そうやって更に3分が過ぎた頃。


「あ、あの、もう、ま、真ん中のサークルに入らない?」


 驢馬の少女が小さな声で言いました。


「?……時間はまだ3分はありますよ。

 ギリギリまで考えるのが得策でしょう」


「いえ、そ、そうなんだけど、えっと、い、いやな予感がすると言うか……」


 驢馬の少女は奥歯に物が挟まった様な言い方をしていましたが。

 しばらくして、決心したかのように話し始めます。


「え、えーっと……ぜ、絶対、信じてもらえないのは、分かっているんだけど……


 わ、私、実は、れ、霊感が、あるの!」


「……は?霊感?」


「うん! こ、ここは、数分前と比べて、なんか、もう、かなり危ないよ!

 霊位(れいい)が低くて霊威(れいい)が高い、ヤバい系の霊圧(れいあつ)を感じる!

 早く、移動しよう!」


 気の弱そうな驢馬の少女の強い物言いに、鶏の少年はたじろぎました。

 普段ならば笑って切り捨ててしまいそうなその発言は。

 今現在の状態を考えるととても無視できないものの様に思えてきます。

 幸い、ここで得られそうな情報は大体得ることができています。


「……分かりました、では、中央の円へ移動しましょう」


 4人は、中央の、光の当たらないサークルの中へ移動しました。

 再度、携帯電話を確認すると。



『10時00分00秒 “第7日目” ※※※正解!!※※※

 残り 02:12』


 ※※※正解!!※※※ の文字が、増えていました。

 ……それは良いのですが、なぜかカウントダウンは続いています。


「うーん? ……カウントダウンの終了まで、待つのかな?」


「かもなァ」


 そんな他愛の無い会話をしていると。




 ギィィィィィイイ……。


 と鈍い音がしました。


 ……誰かが、体育館のドアを、開けた音です。


 ……それから、『ダム、ダム』とボールをつくような音が響きます。

 たまに、『パシュ』とバスケットゴールを揺らす音も聞こえてきます。

 ……夜中の体育館で、練習熱心なバスケット部員が自主練を始めたのでしょうか?


 いいえ(・・・)絶対違うでしょう(・・・・・・・・)


 4匹は思わず息を潜め音のなる方を凝視しますが、左右の照明が眩しくて確認できません。


 驢馬の少女は冷や汗を垂らしながら真っ青な顔で固まっていました。


 それからもなんどかシュートの音が響いていましたが。

 しばらくするとドリブルの音も遠ざかって行き、最後に扉がパタンと閉まる音がしました。





 次の瞬間、突然景色が真っ暗になったかと思うと。







 どがあああああああああああああああああん!!





 ……と、激しい音が左右から聞こえてきました。


「「「「????」」」」


 余りの激しい音に、全員が座り込みます。



 ……暗闇の中で目を凝らして見ると、先ほど左右のサークルを照らしていた照明が、それぞれのサークル目がけて落下したようです。

 照明の真下にあった物は最初の形をしていません。


 ぐちゃぐちゃになったそれらは、もはやただの鉄と綿(・・・)でした。


 ……サークル内にいれば、間違いなく即死だったことでしょう。


「なるほど……そういうことですね」


 鶏の少年は、最初の問題を改めて見直しました。


『 鉄1000㎏と 綿1000㎏ 重たいのは どっち? 』


 そして、下のキーを押し続けていると、一番最後に、文字が書いてありました。













































『ただし、間違った答えを選ぶと、死にます』




 ……屠殺の夜は、始まったばっかりです。


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