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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第 0- 7日目 体育館:生首バスケット
6/53

第1問 鉄と綿

 時刻は22時ちょうど。

 場所は中学校の体育館。


 携帯の時刻の横が『第7日目』を示すと同時に、4人の携帯電話が一斉に鳴り出しました。

 4匹がそれぞれの携帯電話の新着メールを確認します。

 内容は、全員、同じでした。





『 鉄1000㎏と 綿1000㎏ 重たいのは どっち? 』






「「「「……は……?」」」」




 そして、全員がメールを読み終わるタイミングを見計らったかのように。

 体育館の天井にある2つの舞台照明が、真下の床に向けて光を落としました。


 1つは体育館の右のサークルに、もう1つは体育館左のサークルに。


 右のサークルの中には砲丸(・・)鉄アレイ(・・・・)が重ねて置いてあり。

 左のサークルにはマットレス(・・・・・)が同じく数枚重ねて置いてあります。


 まるで……。


 鉄なら右へ(・・・・・)

 綿なら左へ(・・・・・)


 ……とでも、言うように。


「な……なぞなぞ?」


「お、おい、どっちが重いンだ?」


「え、え? た、多分、て、鉄?

 いや、でも、あ、あれ?」


 3人が慌てふためいている中で、鶏の少年はブツブツと何かつぶやきながら携帯電話を見ています。


「おい、小鳥遊(たかなし)ィ、なにブツブツいってンだ?

 さっさと答えを考えろ!」 !?


「……落ち着いて、自分の携帯の時間を見てください。

 ちゃんと時間制限も示されています。

 まだ、8分はありますよ」


 鶏の少年の言うように犬の少年が携帯電話を見てみると。


『10時00分00秒 “第7日目”

 残り 08:23』


 不思議なことに、時間の方は10時で止まっています。

 そして、下に8分ちょっとの時間が示され、秒数が23,22,21とカウントダウンされていました。


 犬の少年はまだ時間に余裕があることにホッとすると、再度なぞなぞを読み返します。


 ……普通に考えると、鉄ですが。

 綿だって、1000㎏ともなればそれなりに質量があるでしょう。

 というか、そもそも1000㎏の鉄や綿なんて見たこともないし、想像もつきません。


 3匹はうんうん唸っていましたが、次第に携帯電話を見て頷いている1匹がうっとおしくなってきました。


「おい、小鳥遊……そろそろ、答え、考えろや……」 !?


 鶏の少年はこれも無視してブツブツ携帯電話を見ています。

 犬の少年の血管が切れる音がしました。


「あァ……もォいいわ、個別行動な」 !?


 犬の少年はノシノシと右のサークル……つまり、“鉄”のサークルへ移動します。


「待って下さい!!」


 ここでやっと鶏の少年が声を上げました。

 犬の少年は半ギレで鶏の少年に振り返ります。


「……頭脳系のミッションなら、私の指示に従う、と言ったはずでは?」


「ほおォぉおお!? じゃあ指示を出してくださいよ、小鳥遊東“センセイ”?

 問題の答えも考えずに、何ケータイイジッてるんスかァ?」 ビキビキ!?


「……え、え? あ、答え、分かってなかったんですか?」


 鶏の少年は、まさかその考えはなかったとでも言う様に、呆れたように呟いた。


「え、あんたはもう分かったの?」


 猫の少女が驚いて尋ねます。


「だって……1000㎏と1000㎏ですよ?





 ……同じ重さに(・・・・・)決まっている(・・・・・・)じゃないですか(・・・・・・・)

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