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-部屋の中には2匹の動物がいます-
鶏の少年はパラパラと手帳を捲っていた手を止め、部屋の中へと視線を移動させて、驚きます。
「あ、あれ?
猫屋敷さんと……南さん、は!?」
鶏の少年の怒鳴り声に、驢馬の少女は「う、あ、え」と口ごもります。
「二人とも、居ないんですか!?」
「え、あ、あれ?
し、知らない……です……」
驢馬の少女は涙目で、思わず敬語になりました。
2匹が居なくて驚いている、と言うよりも。
鶏の少年が怒声を上げていることに驚いているみたいです。
「あ……す、すみません、驢馬塚さんを責めるつもりで言ったんじゃありません……」
鶏の少年が頭を下げたので、驢馬の少女も少しだけ落ち着きます。
「で、でも、確かに、おかしいね。
西ちゃんだけならともかく、小犬丸君まで……一体、どうしちゃったんだろ?」
「全く……二人で一緒に何かしてるんですかね?
……すみませんが驢馬塚さん、二人に電話してもらっても良いですか?
私は、また改めて予定を立て直さなくちゃいけなさそうなので……」
いつもなら自分で電話をかけそうな鶏の少年は、またもや手帳とにらめっこを始めました。
なんだかいつもの鶏の少年とは違うな、と思った驢馬の少女でしたが。
皆のために一生懸命立てた計画が崩されたら誰でも怒りますし、そのために改めて計画を立て直すというのも、非常に鶏の少年らしいのかな、と思い直し。
静かに頷いて、2匹の携帯に電話をかけます。
「……」
けれども。
2匹とも、何故だか。
電話を、取らない、のでした……。