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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第 0- 7日目 体育館:生首バスケット
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第1回 情報共有

 時刻は21時40分の少し前。

 場所は中学校の体育館。


「ちょっと気づいたんですが、この『第XX日目』の『日数』はある法則に基づいて進んでいる様です」


 3匹はしばらく考えて、そしてハッとします。

 時計の横にある『第XX日目』は、どうやら本当の日にちを表しているのでは無いようです。

 だってさっきまで『第0日目』だったのが、たった数分で『第4日目』になったのですから。

 先ほどのメールには、『7の倍数日目』でミッションが出されると記載されていました。

 いつが『7の倍数日目』になるのか知っておくことは、ミッションに挑戦する上で恐ろしく重要な情報であると理解したのです。


「おォ、それで、その法則ってのはどんなンだ?」


「ひ! え、えーっと。


 21時からの経過時間を分や秒も含め“時間”単位で計算し、7をかけた数字の小数点以下を切り捨てた数字が『第XX日目』になると思われます」


 少年は一瞬戸惑いましたが、メガネの縁をクイッと抓まんでスラスラと答えました。


 時間が止まります。


 ……そして、再び動き出しました。


「……はァあ、何いってンの? 全然意味分かンねェんすけド?」 !?


「なにその変な計算式、合ってるわけ無いじゃん」


 他の意見に被せるように鶏の少年は呟きます。


「私の計算が正しければ、次の……『第5日目』の始まりは、21時42分51.429秒くらいです」


 大分自信満々です。



 3匹は自分の時計を確認します。

 そして……彼の言った通り、21時42分51秒から52秒になる間に、『第4日目』は『第5日目』へと変化したのでした。

 ……一体どういう理屈のどういう方程式なのでしょう。


「……ま、まあいいじゃない、た、小鳥遊さんがいれば、『7の倍数日目』がい、い、いつなのかが大体分かるということだし」


 大女こと、驢馬の少女がフォローを入れます。

 他の2匹は納得いかない様子でしたが、確かにその通りであると思い直したようです。


「まあ、そうだね……。

 それで、とりあえず直近の……『第7日目』はいつなの?」


「22時ジャストです」


 まさかのジャスト。

 先ほどの計算式からは小数点しか出てこないと思っていた3匹は、またもや目を丸くしました。

 ……計算式にも、何か意味があるのかもしれません。


「さて。

 他に何も無いようですので、話を続けさせてもらいます。

 これからミッションが開始になるわけですが、皆さんはミッションにおいて、何か武器は持っていますか?」


 武器?

 全員が意味を理解していないことを察知し、鶏の少年が続けます。


「私からですが。

 人より頭が良いのが武器です。

 天才と言っていいでしょう」


 彼の冗談に3匹は少し吹き出します。


「じゃァ、“力仕事”なら俺に任せろィ」


 相変わらず殺気を振りまいている犬の少年ですが、話している内容を紙に書いて読んでみれば、普通のことを言っているのだと分かります。

 彼の威圧感は、生まれつきなのかもしれません。


「私は、あんまりないかな……頭脳系も体力系も苦手。

……あ、ネットとかは得意かも」


 猫の少女が一応、と補足して話をします。


「う、うーん……わ、私もあんまりない、かも。

 ……あ、た、体力は、他の女子よりは少し、あるかな」


 驢馬の少女は巨大な体をシュンとさせてしょんぼりと呟きます。


「なるほど……大体分かりました。

 では、ミッションに関しては、頭脳系ならば私が指示を出し、体力系なら小犬丸さんに指示を仰ぐ方針で行きましょう。

 その他、何かしら得意分野だと思ったら、猫屋敷さんや驢馬塚さんも教えてください」


 キビキビと指示を出す彼は、なんだか学級委員長を思わせます。


(……なん、で、あ、あんなに髪がボ、ボサボサなんだろう……)


 少し話をしただけで理知的だと分かる彼と、それとは相反する無造作な髪型。

 驢馬の少女は口をモグモグさせて考えます。

 ……そしてある(・・)結論に達しましたが。


「さて、そろそろ22時……午後10時です」


 その言葉を聞いて。

 今はそんな事を考えている余裕はないと考えをいったん保留にすることにしました。



 そうです。

 いよいよ、『第7日目』が、始まります。


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