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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第 0- 7日目 体育館:生首バスケット
4/53

自己紹介

 時刻は21時30分の少し前。

 場所は中学校の体育館。


 放送に呼び出された4匹が集まりました。


「えーっと……そうですね、まずは自己紹介からしましょうか」


 まず声を上げたのが一番小さな男の子でした。

 身長は150センチくらいで、真っ黒の髪の毛をボサボサに伸ばし放題にしたメガネの少年です。

 挙動不審に首を動かす姿が、まるで鶏を思わせます。


「僕は、この中学の2年1組、小鳥遊(たかなし) (あずま)

 この学校には……あー……忘れ物を、取りにきました」


 少年は一瞬つっかって話した後、隣の少女に目を向けます。


「……え? 次、あたし?」


 身長160センチくらいの、茶色い髪を短く切り揃えた可愛い女の子が驚いたように言いました。

 そして、少し面倒くさそうに猫の様な目をクリクリと動かした後、溜息をついて話し始めます。


「あたしは、この中学校の2年2組の猫屋敷(ねこやしき) 西(あき)

 体育館へは、一人で肝試しするためにきたんだけど、どうなってるのコレ……」


 自己紹介の後半を周囲に聞こえない様にぼやかして喋った後、少女は長身の少年を見つめます。


「あァ? 俺の番かァ」


身長180センチくらいの、金色に近い茶髪を5分刈りみたいにしたヤンキーが少女を威圧します。

 少女が「え? ひっ! ご、ごめ……」と言っているのを聞かずに犬歯を剥き出しにして笑うように答えました。


「俺ぁ、2の3、小犬丸(こいぬまる) (なみ)だ。

まァ、何だな……“ヨロシク”な」 !?


 周囲に殺気を振りまいての挨拶に、全員が体を強張らせて。

 そして、しばらく無言の時が流れます。


「あ、え、えーっと、2年4組、驢馬塚(ろばづか) (そむく)です。

 こ、こちらこそ、よろしくお願いしまう゛」


 彼の夜露死苦な自己紹介に丁寧に答えたのは、日本人形を思わせるストレートの長髪を持つ大和撫子の様な少女でした。

 いえ、少女ではありませんね……彼女は190センチ(!?)くらいの大女でした。

 驢馬の様にポヤンとした目をパチパチさせて、深々とお辞儀をしたかと思うと、自己紹介の最後には盛大に噛んでいます。


「……さて、自己紹介も終わったところで、今回のメール、それと放送で、何か分かったことがある人は挙手をお願いします」


 全員の自己紹介が終わると、鶏の少年が場を仕切り始めました。

 しかし、他の3匹は彼が何を言っているのか理解できません。


「誰もいないようですね……、コホン……では、私から」


 彼は自分の携帯電話……今は珍しいガラケーを取り出すと、時刻の隣に示されている文字を示しました。


「あれ……『第4日目』?」


 猫の少女は訝しがります。

 さっきまで、『第0日目』だったはずの表記が、『第4日目』になっていたのです。


「ああ、皆さんは、まだ気づいていなかったんですね。

 これ、24時間で『1日』が経過するのでは無いようなんです。

 それで、ちょっと見ていて気づいたんですが、この日数はある法則に基づいて進んでいる様です」


 他の3匹はぽかんとしていました。

 彼の言葉のちゃんとした意味が解るまでには、さらに数秒が必要なようです。

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