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ブレーメンの屠殺場  作者: NiO
第35-42日目 1階校舎奥階段:幽霊階段
25/53

図書館

ブックマーク、また増えてました。本当ありがとうございます!

 時刻は2時30分過ぎ。

 場所は中学校の図書室。


「あった、なぞなぞノート!」



 3匹の携帯電話が目当ての物を照らしだします。



「小鳥遊くんが一体何について言及したかったのか、私たちには分からない。

 『これが怪しい』と思ったら、みんなも教えてちょうだいね」


 驢馬の少女はそう前置きをすると、ノートのページをめくっていきました。



ペラリ……

『さんかくなのに 四角いもの なーんだ』


 ペラリ……

『切っても切ってもきれないものなーんだ』


 ペラリ……


 何枚かページをめくって。

 そして、手が止まります。


『絵本が大好きなニッケルさんは、車に跳ねられて死にました……』



「「「……これだ!!」」」



 全員が同時に声を上げます。

 7不思議の1つ……“図書館のニッケルさん”が文章に記載されていたからです。


 なぞなぞ本文を確認していくと……内容は、どうやらよくある都市伝説。

 長々とした文章が続いた後。


『……さて、今までの話の中に、明らかにおかしいところが1か所あります。

 それはどこでしょうか?』


 という言葉で終わっていました。


 いくつかのピントのずれた解答を目で追っていると。

 タイピングしたような綺麗な字で、簡潔に書かれた解答を発見しました。

 まるで、書いた人の性格を表している様な文章の内容は。




『×跳ねられる→○撥ねられる』





 ……という、明らかにおかしい、“漢字の間違い”を指摘するものでした。


「さすがは”センセイ”。

 ”はねる”の漢字なんて普通分かンねえよ」


「うわ、ガリベン君が書きそうな字!」


「確かに」


 3匹はしばらくそんな言葉を交わし合いました。


「……残念だけど、ここで考えている時間はないね。

 ノートを人数分コピーして持っていこう。

 そして、空き時間で『小鳥遊くんの伝えたかったこと』をみんなで考えよう」




 他の2匹は頷きます。

 まるで人が変わった様な驢馬の少女の積極性に、少し驚きながら。

 驢馬の少女自身も驚いていました。

 前に出るのが苦手で、何をするにも裏方に徹していた驢馬の少女ですが、『前任のリーダー』の遺志を継ぎたいという思いが、積極性を出しているのでしょう。



「私の考えを言うね。


 ……私たちが、……いわゆる“ブレーメンの屠殺場”へ連れてこられたのは、この問題が『引き金』になったんじゃないかと思う」


「え!? でもガリベン君はそんなこと一言も……」


「……まァ、言えないわなァ。

 俺たちがおかしな世界に連れてこられたのは自分のせいです、なんてよ」


「もちろん、言い難かったのはあると思うけど。

 ……多分それ以上に、私たちのチームワークが壊れることを恐れたんじゃないかな」


 驢馬の少女の台詞に、2匹は頷きました。

 確かに、出会った当初にそんな話を聞かされたら、とてもまともな関係は作れなかったでしょう。


「それに、これが今までのような一連のなぞなぞだったとしても、もう、解き終わっている(・・・・・・・・・)

 だから、言う必要もないだろう、と考えていた」


 驢馬の少女は、コピーした紙を2匹に手渡しながら続けます。


「だけど、死に際で、何かに気づいた(・・・・・・・)

 この問題を見られて、私たちの関係が壊れる可能性も考慮したうえで。

 それでも伝えなくては(・・・・・・・・・・)いけなかった(・・・・・・)、何かに」


 驢馬の少女は原本であるノートを持っています。

 どうやら図書館から無断で持ち出すようです……まあ、この際、悠長なことは言っていられませんが。


「……じゃあ、行こ。

 もう時間が無い」


 時計を確認すると、既に2時50分を回っていました。


「ねえねえ根暗ちゃん、ちょっと聞きたいんだけど」


 1回校舎奥の階段を目指しながら、猫の少女が驢馬の少女に話しかけます。


「さっき、ノートの問題が“今までの様な一連のなぞなぞ”のうちの1つ、みたいな言い方したよね。

 つまり、『図書館のニッケルさん』はクリアした……ってこと?」


「うん……多分」


「そうは言うけど、ええっと……確か、7の倍数日にしか問題は出ないんじゃなかったっけ?」


「ああ……。

 実は、私、最初から気になっていたあること(・・・・)があって。

 そして、そのこと(・・・・)に小鳥遊くんなら当然気づいていたはずなんだ。

 なのに、彼は指摘もしなかった。

 どうしてかな?と思ってたんだけど……」


 驢馬の少女は、要領を得ないような話を始めました。


「今回の図書館の問題を見つけたことで疑問が解けた。

 なんで小鳥遊君がそのこと(・・・・)について指摘しなかったのか」


 驢馬の少女は少しもったいぶった後、そのこと(・・・・)について話しました。




「『第0日目(・・・・)()7の倍数だよね(・・・・・・・)




「「……あっ」」


 0は全ての数字の倍数で。

 当然7もその倍数に含まれています。




「だから、7不思議と関係している、今回の一連のミッションは」


 驢馬の少女は重要なことを伝えるように言葉を一度切って、それから改めて話し出しました。


「……合計で(・・・)、『8つ(・・)』、ある(・・)

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