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すべてがYになる  作者: 雪平 真琴
劇中劇の殺人
2/12

構想

作家と編集者のやり取りは、かなり想像を含んでおります。

「では、ミステリーで、長さは……」

 編集者のYが言う。彼女は用をすべて終えると、その長い黒髪をなびかせて去って行く。

 全く……もう少しくらい愛想が良くてもいいのに。

 そうひとりごち、僕はプロットを練り始めた。いや、実はすでにジャンルだけは考えてある。

 ミステリーを2つに大別する方法は2つあると考えている。

 1つは殺人が起きるか起きないか。読むのなら僕は後者に属する日常の謎ミステリーが好きだ。でも、書くとなると殺人ありのほうが書きやすい。

 もう1つは本格か叙述トリックか。前者は劇中キャラが劇中キャラをだます。に対して後者は作者が読者をだます。まあ、これは個人的見解で叙述の方も本格といえば本格に属するんだけど。

 それはともかく今僕は、叙述トリック物を書いてみたかった。

 今まで2作、本格でやってきたけど、たまに変化球を入れるのも悪くない。そう思っていた。


 1時間後

 どんなのがあるだろう……


 2時間後

 ちっとも思いつかない。


 3時間後

 なんで本格のトリックがでてきたんだろう……とりあえずメモしておいて、と。


 数時間後

 だめだ。叙述トリック、ちっとも思いつかない。

 ……

 …………仕方ない。さっきのトリックをいかす方向で作るか……


 窓の外を見る。闇夜に月が浮かんでいる。

 僕はそのまま眠りに就いた。


 翌朝。郵便受けを見た。毎日行うただのルーティンワーク、のはずだった。

 取り出したものが新聞と広告だけならば。

 現実は、ある1通の手紙のせいで、ただの、の範疇を外れることになる。 「は?なんだこれ」


 私は、あなたが殺人を行った事を知っております。


 この新聞の切り抜き文字の手紙のせいで。

 それにしても、この手紙……脅迫…………なのか?

 それにしては、いろいろおかしすぎる。

 第一に。要求が何もないなんておかしい。これでは脅迫にならない。

 次に。そもそも僕は殺人など犯していない。脅迫相手に後ろ暗い所が何もないのだ。そんな人を脅迫したところで意味が無い。

 本当に何も無いか?自問自答してみる。何も思い当たる節は無かった。殺人どころか、他に恨みをかっていそうな事にも、だ。

 にしても、どういう事だ?切り抜き……わりと手が込んでいるだろう。あいにく僕はやった事は無いし、小説にも使わなかったから知らないけど、簡単にできるかって言ったら、僕には無理だ。

 ってことは……考えたくないけど、誰かを僕が知らぬ間に傷つけていて、それを本気で恨んでるって事か。

 まさか……な。うん。気にしたら負けだ。

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