第五部「学校」
私が風邪を引いて治ってから、1ヶ月がたとうとしている。ある日のことだった。
「え?学校ですか?」
「うん」
博士が、私にぴったりな学校を見つけ出してきたらしい。
「で?どこになったんですか?」
博士に近づき問うと、博士は顔を曇らせた。
「あぁ、明奈には言ってなかったね。星陵学校だよ。明奈も知ってるよね?」
「……星陵って隣町ジャナイですか!私が行っても大丈夫なんですか?」
博士はそこは大丈夫と言って安心したが、久光がいるかもしれない。隣町と行っても、久光の家は隣町にある。
不安を隠せていない私に、博士は追い討ちを掛けるように、次の話を持ち出した。
「それと、隣町が今いるところなんだよ」
「え?」
「うんw」
博士は笑顔で答えた。━━いや…笑ってる場合じゃないでしょうが!!
博士が言うには、私の家がある松田市の隣町の清木市に今、いるらしい。
それで、松田市のところにあった私が通っていた学校から、隣町の清木市の星陵学校に転校することになったのだ。
説明が不十分すぎて、大まかな内容を理解するのに、数秒掛かってしまった。
それだったら、何故私を家に帰さないでここにいさせるつもりなんだろうか……。博士の心境がまったく読めない。
「博士は……何がしたいんですか?」
私の質問に答えてくれず、博士は『ん?』と答えた。
「…博士、主語がありませんでした。もう少し詳しくおっしゃってくれないと、分かるものもわからなくなります……」
「あぁ…ごめんね?あ、そうだ。部屋に星陵学校の制服置いといたから、試着しておいで?
サイズが合わなかったらいってくれると助かる。それで、一番最初に僕にみせてね」
「……ハイ…」
私は思わず照れてしまった。顔が赤くなりすぎて、茹で蛸になってしまいそうだ。
博士は、私の顔が赤くなったことを気にせず、なにも言わずに自分の部屋に歩き出していった。
それに見習い、私も試着してくるため、自分の部屋に向かった。