害虫駆除
「〜♩♫」
煙突のふちに腰掛けて、思いついたメロディを唇にのせる。この辺りは田舎なので街頭も少なく、暗い街並みだった。まあ、どれだけ田舎でも迷惑な輩というものはいる。
「…哀れだね。」
あたしはあういうやつが大嫌いだ。軽く死ねと思う、職業柄というのもあるが、それは置いておく。
ポケットにいれておいた小太刀を取り出して鞘から抜く。
うっとりする程美しい、月明かりに反射してきらめく刃にゆびをそわせる。刀はあたしの指を軽く裂いて一筋の血を流す。あたしの血で、神秘的な輝きは、恐ろしく、怪しい光に変わる。これから沢山の血に染まる刀を自分の血で清める、迷惑な輩は、ゲラゲラ笑いあっている。
「あーあ、可哀想。」
あいつらは害虫だ。ならば駆除をしなくてはならない。あたしが、その罪を裁くのだ。
「さようなら」
1人目の首が飛んだ。2人目は身体が半分に裂けた。3人目は心臓が抉れて死んだ。
顔から透明な液体がこぼれた。眼がヒリヒリするけど、たぶん汗だろう。