表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/31

南の島テレビに登場(20XX年〇月2日)

南の島テレビに登場(20XX年〇月2日)


  ~南の島遠き島より流れつく情報~


                 一


 東京都都知事室において小泉知事は、渉外局課長の渡利の報告を聞きながら

「このような時代に、独立国を作る日本人がいるとは、アッパレと言うべきかね。何を考えているのか、うまく行くと思うかね。東郷などの人物とは、何者かわかったかね」今後の対策を練るために、矢継ぎ早に質問した。

「今、政府とも打ち合わせして、調査を始めています。政府の対策室に、東京都も参加したいと要請しました」

「アメリカは、何かいってきているのかね。相当怒っているだろう。在日米軍もかたなしだからね。無茶な行動はしないとおもうが」

「わかりませんが、慎重に対応することを期待しています。何分日本人が主役で、独立国を宣言していますからね。政府には、連絡が言っていると思います。お互いに情報の共有を図ることが、必要になると思います。どこまで情報を提供し合えるのか、課題となると思います。それにしても、平和気分でうかれていた日本ですから、一触即発的な状況は、いい刺激で済まないですね。アメリカと日本は、中東だ、北朝鮮だと騒いでいて、足元がみすかれたことがショックですね。アメリカは、戦略の見直しを含めて、色々と日本政府に強い要望がでてくると思います」

「自衛隊は、何をしていたのかね。南鳥島に常駐強化をしていく必要がでてくるね」

「・・・・・」


                 二


 そのころ首相官邸では、緊急対策室が設けられていた。日本に対して脅威になるのか、独立を認めるのか。大和民主主義共和国からは、承認の要請と平和条約の協定及び貿易協定の要請がされていた。

 日本政府は、共和国の建国した理由を測りかねていた。テロリスト集団として断定するには、10万人の人口が妨げとなっている。本当にそれだけの人数が存在しているのか、前例のない出来事であった。

日本人が、建国に拘わっているならば、何故独立なのか、日本国籍はどうするのかなど、簡単に認められるものでなかった。

 一つは、日本に近接している島で、日本人が独立国として認めろといってきている事。日本国憲法に類似した憲法を持ち、新たな国を樹立しようとしている事。

 一つは、アメリカとの関係である。日本は、アメリカに防衛力をゆだね、今日に至っている。沖縄などは、米軍基地に悩まされている。これを安易に認める事は、沖縄を含めた米軍基地や在日米軍との関係が、ギクシャクしていくことになる。日米同盟を基本としている日本は、外交・防衛・経済にも影響を及ぼす懸念がある。

 一つは、誰にも知られずに建国まで持っていったこの国の力である。主力は、日本人のようだが、韓国・中国・その他の人達による国づくりである。日本と違う、新たな国を成し遂げる自信があるのか、その根拠は何か。大和共和国を国として判断するための情報が、不足していた。何も判らない、この事が、余計に得体の知れない不気味さを感じさせていた。全てにおいて、過去に例の無い国であることは、間違いがない出来事であった。内閣調査室長の影山は、調査状況を報告していた。

「総理。今ホームページに載っている日本人は、調査中です」

 官房長官の野平は、緊急対策室を構成する名簿を、提出していた。

総務省、外務省、防衛省、法務省の各大臣と各事務次官、それと東京都渉外局局長、自衛隊からは陸・海・空の戦略本部から、民間からは、防衛、外交の専門家などで構成する大規模な対策室となった。

「ホームページの名簿から、人物に対する情報と背景、彼らの組織の存在を調べてほしい。それと至急、該当する島へ調査をしてほしい」総理の山鳩が指示した。防衛大臣の島が

「現在厚木基地から、現地の偵察として偵察機と調査機の準備手配をしました」と言った。海上自衛隊の海原は

「自衛隊は、いつでも出撃ができる準備態勢はできています」と報告した。外務大臣の加来が言った。

「アメリカは、駆逐艦を派遣したようです。いざとなれば、武力行使もやむ得ない体制で望むようです。在日米軍は、臨戦態勢に入っています。アメリカには、慎重に対応してほしい旨を、要請しています。また、情報交換を含めて、打ち合わせをしたいとの申し入れもありました」

「武力行使は、できるだけ避けたい。アメリカ政府にも要請しよう。いずれにしても、相手国の情報を仕入れてください。彼らは、本当に独立を求めているか。真っ先に日本へ承認を求め、平和協定を申し入れてきているから、こちらもそれなりの対応しなければならない。曲がりなりにも彼らは、我らの同朋、日本人だからね。“だった”というべきかな」総理が言った。

「気象衛星を通して、上空からの写真を手配しました」総務大臣がいった。

「いずれにしても、平和的な方法で解決したいものですね。駆逐艦は、すでに向こうの領海内に着いたようです。中国、ロシアの艦船も出撃したようです」防衛大臣の島が言った。

「ところで国民の反応は、どうかね」

「マスコミの状況では、まだ半信半疑の反応ですね」これらの会話が、交わされながら、対策が練られていった。内閣調査室の係官が入ってきて、影山に耳打ちした。そしてテレビが、つけられた

「皆さん、テレビをみてください。これは、インターネットで映し出された映像です。生中継になっています」影山が言った。映し出された画面を皆、食い入るように見入った。

そこには、アメリカの艦船とヘリコプタが写し出されていた。そして小さな監視艇が、写し出されていた。 日本の近海で緊張した情景が、映画を見ているような光景で、テレビ画面に映し出されていた。

 東京は冷たい雨がふっていた。昨日の夜から、降ったりやんだりであるが降り続けていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ