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戦略会議前日(20XX年〇月25日)

戦略会議前日(20XX年〇月25日)


      ~光と影、明と暗、昼と夜、表と裏~


                        一


 韓国海軍の哨戒艦で爆発事故があり、多数の死傷者が出たと昨日報じられていた。事故なのか攻撃を受けたのか調査中と報じていた。北朝鮮と韓国の間は、依然と緊張が高まっていた。

 昨日東郷に電話がはいり、韓国の哨戒艦の事故は北朝鮮の仕業であると報告が入っていた。複雑な経路をたどって連絡が入っていた。先日の北朝鮮訪問団の一部のメンバは、窓口開設に残って作業をしている。帰国させるべきかの判断を必要としていたが、東郷はそのまま残り作業をさせることとした。朴副主席にその事を話し、緊急時の対応含めて対策の処置をとるように指示した。


                        二


 日本のテレビで共和国が、各国の軍事力を分析してそれぞれ弱点など把握し、日本の自衛隊に流すと話した報道が、世界中の情報機関の的になっているとの報告が共和国に入っていた。出来たばかりの国が、そんな事が出来るのかとの疑心暗鬼であるが、共和国への不信感が上がっていると報告されていた。

 東郷は、いずれ仲野が防衛省に話したことでもあり、情報がもれていくだろうと思っていたが、予想より早かった。仲野が日本の防衛、沖縄の対応が情けない事に郷を煮やして喋ってしまったがもうしばらく静かに様子を見ておきたかった。若さ故やってしまった事は、しょうが無いが日本政府の刺激としては強烈だろうと思った。問題は各国の圧力に対応出来ないだろうと思った。

 また、サッカー選手や野球選手、プロゴルファなど共和国への移転希望は、静かに見守りながら進めるようにと関係部門に支持がださしていた。

日本国内においては、第一次交渉団の帰国と会わせて共和国への渡航希望者が殺到していた。日本政府も渡航については、規制を緩和する協定を結んだ関係から、共和国への渡航は、どの様に対応するのかを問い合わせが殺到していた。


                        三


 共和国外務省は、今一番忙しい部署である。北朝鮮、日本、台湾を訪問して東アジアの国々の反応を図っていた。さらに砂漠地帯を所有している国々へ録化事業への共同開発の提案に対しては、反応が今一であった。多分どれだけ本気で取り組もうとしているか、目的が何かが、不明としての反応と思われていた。予想内の範囲であると外務省では思っていた。外務省は、アフリカに大規模農業とリサイクル事業と病院建設をサポートしていた。事業としては、外務省から異脱しているが関係技術者の派遣、それぞれの地域での交渉メンバは共和国外務省から派遣していた。アメリカにも農業とリサイクル事業の拠点を持っていた。このように共和国は、農業とリサイクル事業を中心とした拠点作りを主だったところに展開していた。但し、中国とロシアについては、最近リサイクル事業の展開をしていた。資本主義的要素を取り入れ、海外企業の参入が比較的簡単にできるようになってからである。


                        四


 リサイクル事業は、今日では環境問題である。先進国では、注目されるが、今まではゴミや屎尿など汚いものを扱うので嫌われていた仕事である。これに産業廃棄物を扱い、さらに中古品、車、自転車、電気製品、家具類、衣類、書籍・雑誌など含めるようになれば大事業になるのである。共和国の夢組織は、これらをリサイクルする技術を持ち、指導して事業化を図っていた。秘密裏に処理することも含めて、目立たないようにすることも手掛けた。リサイクルした資源の大半は共和国建設の資源に利用した。ゴミや屎尿など汚いものを扱うので、作業者は社会的に底辺の労働力の確保が可能であった。反社会的な人達もいた。彼らを束ねたり、共同作業に展開するためには、色々な手法が使われた。しかし、一貫したのは教育だった。夢を持たせ、努力させることを学ばせた。その中で目星付けたものは、さらに勉強させた。リサイクルの結果で出来る生産物成果やリサイクル化の技術は、その時代の技術に合わせる努力をした。中古品のリサイクル化は、技術者を育てた。日本においては、中高年の仕事開発に利用した。


                        五


 アフリカにおいては、日本語教育学校を広げた。日本語学校から選ばれた若者を秘密の拠点に移し、さらに教育し、次の拠点で飛行機の訓練をした。シュミレーション訓練が出来る場所が作られていた。飛行機は、日本でみた飛行機である。実機での訓練は、1年前からやっていた。実は、この飛行機は、月や火星など太陽系の惑星まで飛行できる航空機であることは、実機訓練で初めて訓練生は、知る事になる。そのために秘密に秘密を重ねた場所にあり、飛行機を操縦するメンバは選ばれたメンバであった。過酷な訓練に耐えたメンバである。今後訓練基地の一部を共和国の南区の飛行場に移設することになっていた。共和国の航空機の機長が、若手の黒人が多いのはこの理由であった。


                        六


 アフリカには、エイズ撲滅するための病院建設を進めていた。タンザニアを候補として進めている。技術的なものは共和国が提供することで共和国外務省は折衝していた。

 この様に共和国外務省は、第一弾の共和国の独立宣言以後の各国との交渉や各国の反応などの分析、第二段階での対策で戦略の根回しを着手していた。さらに核軍縮会議への参加のために主席他10名近くの出席をするために、アメリカ政府にビザ申請していた。国連加盟していない国に対してアメリカが、認めるか不明であったが申請だけはしていた。また東アジア連合体、ASEANなどアジアでの連合体への加盟申請もしていた。


                        七


 アメリカ政府は、主だった国と大和共和国に対する打ち合わせを打診して会議を行っていた。同時に情報機関での打ち合わせも行っていた。

「我々は、大和共和国は危険な存在であると認識している。その点は皆さんも同様でないかと思います。彼らは、軍隊を持たない事を売りにしていることで挑戦をしているように見える。中国系、韓国系の人物を主要な部署に配置して韓国、中国に対しての挑戦や、環境エネルギを見せつけることで石油産油国やアメリカ、ロシア、中国に対して牽制をしている。さらに科学力を示して無形の圧力をかけている。これらをこのまま放任していけばそれぞれの国の立場や、経済に相当な影響が出てくると思われる。国内産業が全てだめになる、彼らに主導権を握られる恐れがある。そこで皆さんに提案したい。彼らをつぶすか混乱を巻き起こすことで世論から彼らを引き離すための何らかの手段を講じたいと思っているが皆さんの協力をお願いしたい」

アメリカCIAの人物から提案があった。

「彼らは、不正を行っている訳でない。堂々と誰にも迷惑をかけていない。軍隊を持っていない。侵略をしている訳でない。日本に対してもアメリカを追い出せと言っていない。つぶす理由がない」イギリス情報部門の人物がいった。

「闇の組織で彼らを混乱させる事件をおこしたらどうか。表だって事を荒立てる理由が、今はないならば、その理由を作る、この仕事はアメリカさんは得意でないか」皮肉ぽくドイツ情報局の人物がいった。

「彼らの実態が掴まれていない。ヨーロッパにおいて広範に浸透していると思われる。今ゴミ処理ルートを洗い出したが、これは氷山の一角でメンバの洗い出しは極一部と思われる。それらのメンバには、不正を起こしたことはなく、うまく溶け込み色々な企業や機関に信頼を取りつけている。反社会集団との繋がりもあるが、取り締まる理由が無いのが実態だ。そこに混乱をおこすのか」とフランス情報部からの人物がいった。

「日本からの参加者がいないが、彼らを呼んでいない理由は何か」韓国情報局の人物が言った。

「今回は、日本から参加させていないのは、情報が漏れることを防ぐことが一番の理由だ。知らない、知らさないことで何か起きた時に日本と共和国の離反が図れる」アメリカのCIAの人物が言った。中国からの参加者は黙っていた。

「大和共和国へ混乱と破壊を目的とした部隊を派遣してみようと思っている。闇部隊で我々は関知しない事を前提での部隊だ。共和国内部の混乱と通信などインフラ基盤の破壊をやる部隊編成をしたいがどうか」アメリカCIAの人物が言うと

「勝算はあるのか」イスラエル機関の人物が言った。

「現在、彼らは独立したばかりなので、防衛する余裕はないと思われる。また突然の暴力的対応が出来ると思えない」

「前回、我々は調査を目的として共和国に入ってみた。現地の実情が、判らないので戸惑ったままで終わったが、教訓としてその情報と日本が調査した内容を合わせると、彼らの治安含めて防衛能力が把握できると思う。しかし彼らは、防衛方法を隠していると思われるがその点についてどうか」中国情報機関の人物が初めて発言した。

「確かに彼らの防衛能力は不明だ。それが今回洗い出されると思っている。彼らは正面からの武力に対しては、マスコミ等を通じた戦略で戦いを望むだろうが、個別の内部については弱いのでないか。今回は、混乱・破壊を目的として短時間で実施する。今の状況では、油断もあり成功する可能性は大きいと思っている。もし、万が一失敗しても我々は関知しない、反共和国関係者が勝手にやったことで納めることで問題はない。そのような部隊編成をお願いしたい」

アメリカCIAのアジア地域責任者がいった。

「全てアメリカ側で要員は手配すると考えてよいか。そうだとすれば我々は何をするのか」ロシア内務省の諜報局担当がいった。

「ここに集まった皆さんで対応する戦略を考えたい。我々の提案は、中央区はアメリカ、東区は中国、北区はロシア、西区は韓国、南区はイスラエルかイギリス、フランス、ドイツどちらかでお願いしたい。海からの侵入は、空と海との連携でそれぞれの担当国で賄う。アメリカは西区の韓国側をサポートしながら脱出部隊の受け入れを行う事でどうでしょうか」アメリカからの提案に各国は了解した。南区についてはイギリスが対応すると言ってきた。海の部隊の提供が出来るとの理由である。

「時期はいつか」

「我々は、今月30日を予定したいが皆さんの状況がありますので、時期については拘りません。しかしあまり遅くない時期にしたい」

彼らは、準備等については迅速に出来るようだ。この様な事態の訓練を行っているようだ。30日の深夜で31日に掛けて行うことになった。

裏の打ち合わせは、各国とも共和国の脅威を除去する必要性を感じていた。表の顔とは別の顔が、それぞれの国にあり、表の顔の政府は、問題が発生した時は、関知していないと切り捨てる。世界でも最強の暗躍部隊を投入するのである。正規の部隊でないので失敗しても闇の中に消える。表の顔は、この計画は知らなかった。彼らは、目的に対して連携して、事に当たるのも初めてである。メンバの連携は、しない。目的を担当地域で分担して対応するやり方を執った。彼らは出来ると自信を持っていた。


                       八


 張は孫と話し合っていた。お互い中国から脱出して、今は首相と財務を担当する職責を担っている。ほとんどが元日本人の人達で構成する国民のなかで違和感なく受け入れられていた。本人達は、うれしく思いながらも違和感は持っていた。今日の中国の姿は、かつての姿でない。中国は目覚ましい発展をしていた。貧富の差も激しくなっていたが、自由を満喫していた。孫は今日の発展の基になったのでないかと思う天安門事件の当事者として告発されて逃亡した。北京から離れたウイグル地区での出来事である。忘れ去られたような感じである。今では中国をどうかしようと思わなかった。自分自身では、遠い思い出として過去に追いやった。共和国の財政を抱え余裕が無かったのが正直な気持ちである。張や朴とはよく話し合った。お互い国を追いやられた立場から共通するものがあった。

 理想社会と言葉を投げかけられても、逃亡した人間にとって無意味に感じる言葉だった。それを伊藤と川地が粘り強く語り、共和国建設に参加させてくれた。すさんだ気持ちがかつて中国で思っていた考えを呼び覚ましてくれた。半分は夢だと思っていたものである。共和国建設に参加した時、準備がすごかった。震えた。急に恐ろしくなったものである。

「税収はやはり厳しいかね。現在進めている日本への電力事業と観光からの収入が第一だろうね」張が言うと

「国内での税収は、インフラ設備の維持、整備でほとんど出てしまいますね。今までの蓄え資産の取り崩しが主となります。救いは食糧の自給自足が出来ることで、基本的な衣食住については国民に100%供給出来ることです。今後観光事業を担うためには、誘致する条件と今までのリサイクル事業での再生化した商品の整備ですね。但し最新モデルでないから何ともいえません。電化製品については輸出をセーブすることになるならば、観光事業だけですね。観光事業と抱き合わせると最大の売りになりますね。この国でないと買えないとなります。後は何を売りにするか各省でもあげてもらいたいですね」孫が一気に言った。

「5カ年計画が出来ているかね」

「基本ラインは作っています」

「海外への砂漠投資計画と医療の計画はどうかね。それと宇宙計画について予算がつくか」

「海外資金からの取り崩しで、基本的にはマイナスになりますが、人件費予算は考慮しています。後は各省からの積み上げ予算から調整することになりますね」

「銀行の整備もOKかね」

「銀行は、中央銀行以外に各行政区毎に銀行を作ります。日本の郵便銀行みたいなものはありません。鈴木さんのアドバイスを受けています。中央銀行総裁に鈴木さんの紹介で北村さんを配置しました。各地区の銀行責任者も鈴木さんのアドバイスで配置しています」

「鈴木さんの事だから、能力、身元、思想は大丈夫だと思うが、貴方との関係はどうだ」

「ハハハ・・・。ご心配なく」張が笑って孫の返事を聞いていた。

「明日から始まる戦略会議の準備はできているとの事だね」

「基本はできているけどね。総理も一度中国へ行きますか。今年は万博もあるようですから。表にでると中国は、こまりますかね」

「それは孫さんも朴さんも同じだろ。主席と違って我々は逃亡者の関係だからね」

「そうですね。東郷さんや朴さんは、許さないでしょうね。でも北朝鮮と台湾にいきましたけどね。交流窓口が出来たことは、向こうは知らないと言う事ですかね」

「中国だけは、3名については知っていると朴さんから報告が在ったよ。その後どの様にするかは不明だが、身元については、調査して確認したとのことだよ」

「そうならば、毛沢東の息子として脅威ですかね」

「過去に捕らわれるほど小さな国でないけどね。知ったからどうかと言うより、今日の発展をより一層発展させたいと考えているだろうね。妨害しない限り問題視しないさ」

朴が入ってきた。

「警備体制は、いつでも臨戦態勢可能になっています」朴の厳しい顔が増していた。


 この美しい島を守る。青い空、青い海、白い砂浜、人工の島とは思えないこの島で働く人達の笑い顔は今日も絶えない。生きてよかったと思える島であった。


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