表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/31

大和共和国登場(20XX年〇月1日)

大和共和国登場(20XX年〇月1日)


  ~地球は青かったと叫んだ時代今は昔~


                  一


 空や海に船舶や航空機が、盛んに運航している時代である。大気圏を越えて、気象衛星や軍事衛星が、地球の周りをまわり、地球を覗いていた。地球上の大陸や河川、湖、島々は、どこにいても、全て可視出来る時代になっていた。

インターネットを使って、色々な国の情報を見ていた人達がいた。インターネットは、自宅にいながら、それぞれの国の出来事を知る事が出来た。また、ネットを通じて、商品の購入や銀行取引も可能となった。各企業や公共施設、さらに個人は、ホームページ等でWEBサイトを開設している。色々なWEBサイトがあった。


                  二


 ホームページに、大和民主主義共和国が登場した。日本語、韓国語、中国語、アラビア語、ドイツ語、フランス語、英語、そして、スペイン語で、“独立宣言”を伴って大和民主主義共和国が、ホームページに登場した。

この国の場所は、南鳥島の南東に位置し、ハワイと南鳥島の中間ぐらいにある。人口は約10万人、多民族国家のようだ。国語は、日本語である。独立宣言および憲法の前文には、戦争放棄をうたっており、日本国憲法に類似していた。国の主力産業は、農業・漁業を中心とした産業を基盤としている。しかし、行政組織の体制をみると、文部・科学省や交通・宇宙局など、小さな島国と思えない部門が存在する。

また、国家主席と首相が、存在することから中国の体制にも類似している。

 大和民主主義共和国が、ホームページに登場したが、誰もこの国の実在を信じなかった。一部のサイト愛好家が、空想国家を作あげたものと思われた。小さな島国であるが、誰にも知られないで、新しい国家が登場すること等、考えられないことであった。

国を代表とする主席は、東郷大悟と言う人物である。どうも日本人のようだ。副主席は3名(朴恵一、孫和慶、張学民)、日本人でないようだ。主席と首相の役割関係は、不明である。中国の体制と似ていた。副主席の張が、首相、朴が内務大臣、孫が大蔵大臣を兼務している。外務大臣は、本山一夫という人物が担当していた。軍事関係の部門が、存在していないのは、戦争放棄をうたっているからなのだろうか。行政組織の名称は、日本の行政組織の名称と同じである。気になる部門として、宇宙局があった。

建国したばかりだから、選挙が、行われたとはとても思えない。多分、建国に拘わったメンバが、役職に就いているものと思われる。

 人口は、10万人と記述されている。この国の人達は、元の国籍をどうしたのだろうか。本当にこれだけの人達がいるのだろうか疑問である。

他民族国家だ。色々な国から集まった人達が、居住していると思われる。

強制的に集められたのだろうか、いつ、どの様にして、これらの疑問は、後に明らかになっていく。


                 三

 

 この国が、注目されたのは、ある漁船の船長からの報告である。遠洋漁業からの帰りに、嵐にあい、船は故障し、漂流していて救助された。救助した人達が、このホームページに乗っていた国の人達だった。

帰国した時、地方新聞にこの国のことが報じられ、実在することがわかった。

 外務省に問い合わせが、殺到した。大手の新聞社も取り上げた。報道番組のなかでは“信じられない”が、連発された。突然現れた島、国、そして、日本国憲法に類似した憲法を持った国、日本語を国語としている。この謎めいた国が、俄かに注目された。


                 四 


 南鳥島を管轄しているのは、東京都である。当然東京都も動いた。ハワイやマーシャル諸島など、近隣諸国に影響力を持っている、アメリカも動いた。監視衛星で上空から偵察した。さらにハワイ、グアムから偵察機を飛ばした。在日米軍は、イージス艦を派遣した。急激に南鳥島近辺に、緊張が高まったのである。日本政府も厚木基地から、偵察のために飛行機を飛ばした。同乗したのは、防衛省から太平洋管轄局の課長・轟、外務省太平洋局・平林、国土交通省から、国土管理局・田中、東京都渉外局・渡利そして、厚木基地からの自衛隊員3名が同乗した。

 日本に隣接した地域に、しかも日本人らしき人達により、独立国が、誰にも知られないで建国される。

日本政府は、面子を落とされたと感じた。アメリカは、日本以上に面子を傷つけられた。在日米軍を配置し、全世界を監視できる衛星システムを有しているアメリカである。驚き以上に、脅威を感じ駆逐艦を派遣したのである。

 国防省は、中央情報局のアジア太平洋担当官を呼んだ。さらに太平洋司令官と在日米軍司令官を急遽呼び寄せた。 防衛省は、陸海空の情報部門を呼び、共和国情報と米軍の動きについて収集するように指示した。防衛省にとっても、共和国の登場は、脅威だった。

「本当に、誰も気がつかなかったのか。小さな島で無い、東京23区の広さがある。間もなく調査にいった偵察機から情報が入るだろうが、信じられない事だ。同時に我々の防衛網に欠点がある。この点も調査が必要だ」

 国家公安局も検察庁も関係者を呼び打ち合わせを持った。日本人が関与している事、その日本人の洗い出しと、国内の支援組織の調査を指示した。 マスコミは、その島を見たと言う、遭難した船の乗組員達に取材した。

「島の住人は、本当に日本人だったのか。」

「宇宙人だったのでないのか」極端な事を聞くマスコミもいた。

 東京の空は、厚い雲に覆われていた。今はまだ冬である。天気予報は夕方から雨が降ると予報していた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ