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パパは高校生!?(Ⅰ)
昨日と同じように私はあの門の前に立っていた。
呼び鈴…押したくない。でも…
押さなくっちゃ…
顔が妙に引き攣る。
私…何ビビってるの?
先生から預かった物、渡すだけじゃない。
『愛子!勇気を出すのよ』
‘ピーンポーン’
…押した。
私は恐る恐る、呼び鈴の上から指を放す。
昨日と同様お手伝いさんがスピーカ越しに対応する。
そうよ。別に女と二人きりで同棲してる訳じゃないんだし…
別に気にすることなんかないのよ。
門が開き中へ入って行く。
…
私の足が止まる。
そして目をパチクリさせる。
一旦、目を逸らし再び同じ方へ目を向ける。
『…なに……あれ…』
石畳から軽く離れて見える砂場。
そこには今まで見た事の無いような光景があった。
そう。
きっと昨日の声の主…
まだ幼稚園児ぐらいの小さな女の子が
砂場で遊んでいたのだ。