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レプリカ(Ⅳ)
「…瞬?」
私の声で、瞬は我に返ったように、
私から離れて行く。
「……ごめん」
背を向けて言う、瞬の声は僅かに震えていた。
瞬の顔は見えなかったけど、彼の耳は真っ赤になっていた。
そしてまた謝った。
瞬は何度も何度も、私に謝る。
最後に『忘れてくれ』と言って、
私の前から姿を消した。
その後、私も教室に帰ったけど、
そこに、彼の姿が無かった。
彼は私から逃げるように、そのまま早退した。
それから、瞬は明らかに、私を避けているみたいだった。
目が合うと急に逸らすし…
そんな瞬に私は、恐くて声すら掛けれなかった。
折角…少し瞬に近づけたと思ったのに…
何か今…凄く辛いよ?
…瞬?
どうしたら私達…前みたいに戻れるの?