レプリカ(Ⅱ)
再び教室のドアが開いた。
振り返ると、そこにいた人と目が合う。
「…瞬」
瞬は私に気付くと、珍しく、目を大きくさせた。
そして、瞬は少しの間、そのままでいた。
「………ミヨサン!?…」
「え?」
私のその一言で瞬はハっとする。
そして、何事もなかったかの様に自分の席へと向かう。
私の横を通り過ぎた瞬は、明らかにいつもと違った。
瞬は平然を装っていたけど、動揺していたのが、その時伝わった。
瞬?
…さっき、私を見て、何て言ったの?
良く聞こえなかったよ?
その後、瞬からメールが届いた。
‘昼休み…ちょっといいかな?’
‘いいけど・u・?’
学校での、瞬とのメールの遣り取り。
用件だけの短い内容だったけど…初めてだった。
昼休み。
私は瞬に呼ばれて、屋上に行った。
屋上には誰もいなく、瞬と二人きり。
そんな中、瞬が言った。
「なんかあったの?」
「ぇ…」
瞬は私と目を合わさない。
「ほら…この前、急に帰っちゃったし……
何か…いつもと違うから……」
なんで…
「ちょっと…可愛くなりたくって……やっぱり変かな?」
…
『どうしたんです?その頭?』
『『変?』』
『変じゃないけど…』
…
「変じゃないよ?」
「そう?よかった…今更イメチェンなんかしちゃったから…変に思われたのかと思った…」
瞬は切なそうに軽く微笑んでいた。
…
『『綺麗でしょ?…この色』』
『そうですね…でも、また何でそんな明るい色に?』
『『ヒ・ミ・ツ』』
『ぇ?』
『『この色はね?私の夢なの』』
『夢?…その色が??』
『えぇ…素敵でしょ?』
…
「瞬?」
「………ぁ…」
「大丈夫?」
「うん…大丈夫だよ?……」
瞬は悲しそうに私を見つめた。
「瞬?」
「ゴメン…」
「ぇ?」
【フワッ】
‘ゴメン’
そう言って瞬は私を優しく抱きしめた。