オレンジティー
‘コンコン’
ドアからノックの音がした。
「どうぞ」
瞬がノックに答える。
「失礼します」
ドアが開くとメイド姿の女性が中へ入って行く。
「お飲み物をお持ちしました」
その女性を見て、私は声をあげた。
「聡さん?」
「愛子様お久ぶりです」
聡さんは瞬の家で、唯一気楽に話せるお手伝いさん。
小学生の時も時々話し相手になってくれたり、
とっても優しいメイド(お手伝い)さん。
瞬と一緒に元いた家に帰っていたと思ってたんだけど、
またこっちに帰って来ていたんだ♪
瞬は聡さんには、少しだけ心を許しているみたい…
ちょっぴり悔しいけど、ずっと一緒にいるお手伝いさんだもんね。
「愛子様は確か、オレンジティーがお好きでしたよね?」
「はい♪覚えていてくれてたんですか?」
「勿論ですわ」
オレンジティーが好き…だって瞬が好きな飲み物だったから。
私も好きになったんだ。特に聡さんが入れてくれる
オレンジティーは、また格別なんだ♪
「美月様には甘いミルクティーをお持ちいたしました」
そう言い聡さんはミルクティーを美月ちゃんに手渡す。
「アリガトウ」
『…私と違って、瞬や聡さんには素直なのね?』
我ながら大人気ないと思いつつ、彼女を見てそう思った。
「瞬夜様にはハーブティーをお持ちしました」
「ありがとう」
「ぇ?」
つい声が出してしまった。
三人は私の方を見る。
「ぁ…嫌……何でもない…」
「そう?」
「ごめんね?いきなり変な声出しちゃって」
「いいよ」
「構いませんわ」
苦笑いする私に、二人はそう言った。
『…ハーブティー?…オレンジティーじゃない……』
瞬?
瞬はもうオレンジティーは、飲まないの?