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パパは高校生!?(Ⅲ)



「なに…あの子?……」

女の子が私に気付いた。

『近所の子?』

目を大きくさせてこっちを見ている。

『…違う。あんな子見たことない』


その時砂場の奥から声がした。

「美月!」

女の子は声の方に顔を向ける。


今の声…


「ここにいたのか…」


やっぱり…


「寝てないとまた熱が上がるよ?」


「瞬チャン」


瞬…


瞬は女の子の方へ近寄って行く。

そんな瞬に近づき、女の子は瞬の服の裾を掴み

私の方へ指を指す。

その指を目で追い瞬は私に気付く。

瞬の顔…

一瞬だったけど、私は見逃さなかったよ?

私を見て、ちょっとだけ焦ったような顔をした。


「愛…どうして?…」

私はゆっくり瞬の元へ近づいて行く。

私が近寄ると、女の子は瞬の後ろに隠れる。

「また先生から手紙とか預かって…」

そんな女の子を気になりながらも、

何事もなかったかの様に振る舞い、

昨日と同じように瞬に手紙を手渡す。

「ありがとう…」

「風邪は大丈夫?」


違う…

瞬は風邪を引いてない。

風邪を引いたのはたぶん……この子…

そんな風に思いながらその子を目で微かに見る。

その僅かな目線を気づき、微かに私を見ていた

女の子は再び瞬の後ろへ隠れる。


瞬と私の間に変な沈黙が流れる。

「…瞬?」

やっぱり…

「なに?」

このままモヤモヤするのは嫌だな…


「瞬…その子は?」

少し笑顔(苦笑い?)を向けながら言う。

「…」

瞬は少し黙り、口を開かる。

「ちょっと…預かってるんだ」

「預かってる?」

「うん…」

「どこの子?」

私がそう聞くとまた瞬の顔が一瞬変わった。

後ろめたそうに…


「…知り合いの子だよ…

……たぶん愛は知らないと思うよ」

「そう…」

…もしかして私……

「……そっか」

一瞬泣きそうになった。

でも私は笑顔で言った。

そして私は瞬から逃げた。

「…お嬢ちゃんお名前は?」

瞬も目から視線を逸らし女の子に視線を移しかえる。

恥ずかしがり屋なのか無口なのか瞬の後ろに

完全に隠れて動かない。

そんな女の子を見て瞬は腰を落とし、

その子頭に軽く手を当て言う。

「美月…」


美月?…それが、その子の名前?




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