言葉
ちょっと実話です。まだ付き合ってないけど。
登場人物は少ないので読みやすいと思います。
伏線かどうか分からないですか色々見てください。
春は短かった。
出会いと別れがあると、そう感じるだろう。
夏が始まった。
新学期にもそろそろ慣れてきただろう。
僕には好きな人がいる。佳奈。その人は同じクラスでもないし、幼なじみでもない。そんな都合のいいことはない。そもそもあまり話したこともない。
佳奈は友達の紹介で知った。まだ木の下から空が見える時だ。メールをすると、「よろしくね」と言ってくれた。嬉しかった。そこから少しずつ話す度に佳奈を意識してしまっていた。
メール一文を送るのに時間がかかってしまう。打ったり消したり。それの繰り返しだ。どんな言葉を送っても佳奈は優しく返信してくれた。
佳奈は廊下でたまに見る。その時は友達と話しながら少し見る。同じクラスが良かったと思う。
家に帰るとおかえりと言っているのかセミの声が一番よく聞こえた。リビングに行き携帯を握る。「今日どうだった?」と、意味のない会話の引き金を引く。
どのくらい経っただろう。通知音が家に響く。すぐには開かない。これは鉄則だ。
「まあまあかなー」どう返せばいいか分からない。
友達に聞いてみることにした。友達には彼女がいる。
彼女がいるならわかるだろうと相談するが、期待していた返信とは的外れだった。やっぱり自分で考えるのが一番だ。
今日、セミは鳴かない。空は僕を歓迎していないようだ。話す話題がないので、また友達に聞いてみることにした。友達は「付き合ってください」と言う。
無理に決まってるだろ。と思うが、その奥には言ってみたいと考える自分がいた。
「遊びに行かない?」僕は佳奈にこう言った。仕方ない。自分が聞いたのだから。続いていた会話もそこで止まった。やっぱ送らなければよかったとため息をつく。
どのくらい待っただろう。聞き慣れた音が携帯から鳴る。「ごめん」たった三文字。勇気を出して送ったが、実際こんなもんだ。仕方ない。
三日後、勝手に通知がなる。どうしたものかと開くと、佳奈から「やっぱり遊びに行かない?」と。
時間が少し止まる。よく分からなかった。
僕は思うがままに話を進めていった。
そして、来週の日曜に会うことになった。
意外とすぐにその日は来た。時間より30分前に公園について少し友達と遊んでいた。その間はいつも気にしていない時間を見るようになっていた。
ついにその時が来た。佳奈はバスケットボールを持ってきている。バスケなんてありきたりだと思った。
学校や家など色んなことを話した。
話す話題が少なくなってきた頃、佳奈がもうそろそろ帰ると言った。時間はあっという間に溶けていた。
佳奈が「また遊ぼうね」と言う。
点が見えなくなるまで見送る。その時にあることを決心した。
その後の日々はなんとも平凡だった。
数日に一回話す程度。あまり進展はない。
また遊びに誘おうかと思った。
「また遊ばない?」と言うと、佳奈は「勉強しないと」と言う。
かなり勉強熱心なんだろう。僕ももっと頭が良くなりたいものだ。
「いつならいい?」と聞くと、佳奈は「夏休みに入ったら」と言う。
夏休みまであと半月ほどだ。気長に待とう。
夏休みに入る。木漏れ日でセミが見える。話しかけてきてるのか、セミは気楽でいいなと思う。
ついに遊ぶ日が来た。自転車に乗りながら夏の風を感じる。
着いた時に佳奈が僕に話しかける。
言いたいことがあるらしい。
一瞬の沈黙の後、佳奈はこう言った。
「付き合ってください」
セミの鳴き声が大きくなる。
まさか佳奈も僕のことが好きだったなんて、考えもしなかった。とりあえず返事をする。
「ごめん」
「どうして?」佳奈は言う。
僕は答える
「僕が言いたかったから。」
「付き合ってください。」
あの時決心したんだ。自分から告白すると。
佳奈はこう言った。
「いいよ」
たった三文字。
呼んでくれてありがとう。三文字。どんな言葉を入れるかで相手の印象を左右させることができる。改めて言葉の重みを実感したなと。




