前提
この物語を読むうえでの前提のようなもの。
その一 主人公は、自分をごく一般的な人間だと思っている。もちろん、他人より少し優れているという根拠のない自惚れが胸のどこかにあるものの、それはあくまで一般的な人間が抱く範囲内のものであり、その域を越えない。
その二 主人公が存在している世界は、実は精緻に構築された仮想空間である。主人公の肉体は、外界から遮断された装置――ポッドの中に横たわっている。
その三 が、主人公はすでに死んでいる。
その四 ポッドに入っているのは、実は人間に似せて造られた高度なアンドロイドである。
その五 そのアンドロイドが存在している世界は、実は主人公が見ている夢である。
その六 その夢を見ている主人公自身は、実は病院のベッドで深い昏睡状態にある。
その七 が、実はその世界そのものが他人の夢である。正確には、プタイポ星に生息するダマフンヅノガエルが見ている夢である。
その八 ダマフンヅノガエルは、小説家ロバート・フィリプソンの作品に登場する架空の生物である。
その九 ロバート・フィリプソンなる人物は存在しない。わたしが創り出した架空のキャラクターである。
その十 主人公とは、あなたのことである。
――本文――
わたし:「こんにちは」




