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リア充の異世界放浪旅〜陽キャは異世界でも有能です〜  作者: 絶望的メガネ
スカー王国篇

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第二十八話 緋色の騎士

〜スカー王国北部〜


「ーーー」


一人、男が立っていた。

緋色の髪を持つ男が見守っていた。

その背にはとても重く、とても大きく、とても沢山の責任がのしかかっていた。

彼一人に国の命運は懸かっている。

そんなような気がした。


「カーマインさん……本当にあの少年の言葉、信じていいんですよね?」


透の言葉を信じ、国を守ろうと着いてきた数少ない兵がカーマインに話しかける。

信じてくれた兵ですら疑う程に時間が過ぎていた。

なにせここは高めの場所で見晴らしが良くなっている。

流石に南側は見えないが動きは無く、疑いは更に深くなっていくばっかりであった。

空気が悪い。

カーマインはそう感じた。


「もう少し、待ってみよう。きっと状況が変わ……」


カーマインの言葉を遮るように爆発音が壁際で響いた。

それは恐怖を象徴するような高圧的な気を孕むような音であった。


「少し確認してくるよ」


カーマインはそう残し、高台から身を降ろすのだった。


ーーー


「確かこの辺りだったような……」


砂埃が辺りを舞っている。

石ので出来た壁に大きな穴が開いており、そこには一つ、大きな人影があった。


「何者だ!!」


風が吹き、煙が晴れる。

臙脂色の肌を持ち、強固な肉体を持つ。

威圧的な鋭い目、狂気を感じる恐ろしいその表情。

薄い布に守られたその肉体から少しはだけている胸をみると眼の紋様が黒く、印象的に彫られていた。


「貴様がカーマインだな!! 今沈めてやる!!」


口を大きく開き、男はーー否、ドゥーベはそう放ったのであった。

それは開戦を意味するゴングとなり、二人の間には強者の空気が流れた。


少しの間沈黙が続く。

ドゥーベは退屈そうにカーマインを見ている。

カーマインは観察するようにドゥーベを睨む。

カーマインに待ち飽きたドゥーベは口を開く。


「そっちが動かねぇなら、こっちから行かせてもらうぜ!!」


ドゥーベはその巨大な図体には見合わぬ俊敏さを持ち、拳をカーマインに打ち込む。

目にも留まらぬ稲妻のような一撃をカーマインは即座に反応し、剣を抜き、拳を弾いた。


「その超パワーは"異能"だな?」


カーマインは剣を振り上げ、応える。


「だったらどうする?」


カーマインの剣もまた瞬撃という言葉が過剰にならない程に素早く重い一撃であった。

本来なら地面すら断ち切る一撃であったが、ドゥーベはそれを両腕で簡単に受け止めた。

ドゥーベの身体ごと地面を砕くもドゥーベの身体は動かない。


「いい一撃だ、だが本気じゃないんだろう?」


カーマインは余裕そうに笑みを浮かべ、口を開く。


「本気を出してしまったら、君が消し炭になってしまいつまらないからね」


ドゥーベもまたその言葉に笑った。


「言ってくれるじゃねぇか!!」


ドゥーベは腕を開き、カーマインに距離を取らせた。

瞬時に距離を詰め連撃を叩き込む。

その連撃はアレフをいとも容易く凌ぐ程に速く、一撃一撃が恐ろしく重い拳であった。

カーマインはなんとか全てを弾ききり、突きを放つ。

その突きは空気を穿ち、鋭い音を放つも、ドゥーベの身体に受け止められた。


「そんなんじゃ何年たっても倒せねぇぞ!!」


ドゥーベの煽りは続く。

だがカーマインは一時も笑みを崩さず、動じなかった。

強者の余裕がそこにはあった。

だが少し嬉しかったのかもしれない。

理由は簡単だ。

それは自分が初めて本気を出しで受け止めてくれるような強さをドゥーベに感じたからだ。


「君はどれだけ耐えられるかな?」


突如、カーマインの周りに光が現れた。

それはドゥーベを巻き込み、天に昇っている。

やがてその光は柱状となってドゥーベとカーマインを包みこんだ。


ドゥーベはその柱から逃げようとするも、出ることは叶わなかった。

刹那、カーマインは叫んだ。


「出力20%、『陽光砲(プロミネンス)』!!」


その柱に添い、天から何かが落ちた。

それは隕石でもなく、炎でも、雷でも無かった。

それは光、すなわち熱であった。

強烈な熱は光を放ち、国中に爆裂音を轟かせた。

全ての兵士、全ての国民機届くほどに。


徐々に国民が目を覚まし、様子を見に外に出る。

目に映ったのは剣を握り、大きな男にそれを向けた緋色の髪を持つ騎士と身体中から黒煙を発している赤褐色の男だった。

あの一撃を食らってもなお、ドゥーベは意識を保っていた。


少し仰け反り口や皮膚から黒煙を吐いている。

黒煙が止んだ後、ドゥーベはカーマインをみて笑う。


「まだまだだ、俺を焼くには温すぎる」


間髪入れずにカーマインの剣がドゥーベの心臓を突く。

だがそれは赤褐色の掌により防がれ、もう片方の腕で拳を振る。

カーマインは腕でそれを受けたが衝撃を発散しきれずに石の壁に叩きつけられた。


石の壁はとても分厚く、5mをゆうに超えるほど厚いものであるが、それが貫通しかける程に強烈な一撃。

その拳を受けても尚、カーマインは立ち上がる。

カーマインの異能である熱はそれを身体能力や硬度に変換することも可能である。

膨大な熱量と多様な応用力。

それこそがカーマインの最強たる所以である。


「君の強靭な肉体は異能かな?」


カーマインはドゥーベの性格から簡単に異能を漏らすと予想し、直接的に問う。


「まあそれもあるが、第一俺は魔族であり亜人族だ。更に常日頃から鍛えている。当たり前だろう?」


案の定簡単に答える。

カーマインは更に深く踏み込む。


「ではその異能は何かな?」


ドゥーベは笑みを浮かべ叫ぶ。


「それは、自分で確かめなきゃいけねぇなぁ!!」


ドゥーベの拳が飛ぶ。

その一閃は真っ直ぐにカーマインを穿った。

カーマインはそれを真上へ弾き、それに合わせて地面を蹴り、飛んだ。

地にはヒビ割れ、砕けた岩が残っている。


緋色が輝き、剣を振った。

その剣には熱が宿っていた。

それは宙を舞うドゥーベを捉え、斬り裂かんと肉薄する。

ドゥーベはそれを強靭な肉体で受け止め、カーマインを抱き締める。


「共に落ちようぞ!!」


ドゥーベはカーマインの頭を握り、空から地へ急降下していった。

カーマインは重力の影響を受け、身動きが取れずにドゥーベに掴まれたまま共に落下していく。


「堕ちろおおお!!」


カーマインはそのまま落下し、家を破壊してそのまま地面深くに埋め込まれた。


「くっ……!」


カーマインは全身から力を振り絞り、瞬時に地の上に返り咲く。

そうしてカーマインが見た光景は残酷で凄惨な状況であった。


「なっ……お前……!!」


ドゥーベは家にいた国民の頭を握り潰し、その死体を地面に投げ捨てていたのだ。

ドゥーベはカーマインには目も暮れずに別の国民を襲った。


「待て!! やめろ!!」


次々と頭を潰すドゥーベは数百人に上る命を簡単に握り潰した。

カーマインは市民を人質に取られ、簡単には手を出せずにただ見ていることしか出来なかった。


満足するまで殺した後、カーマインに振り返り笑う。

その胸に刻まれていた紋様の眼は開き、輝いていた。


「なん……だ?」


ドゥーベは更に笑って話しかけてくる。


「俺の異能、教えてやるよ。それは簡単だ。人の命を奪えば奪う程強くなる……!!」


「なんと邪悪な異能……」


カーマインは言葉を失う。

恐ろしいと感じる程にその異能に動揺していた。

異様な空気が漂う中、ドゥーベには余裕が感じられた。

カーマインは堪らずすぐに口を開く。


「やはりお前は此処で殺さねばならないだろつう」


ドゥーベは悪辣に笑う。


「かかってこい!!」


それに対し、カーマインは睨んだ。

初めて本気で殺意を持って。



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