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リア充の異世界放浪旅〜陽キャは異世界でも有能です〜  作者: 絶望的メガネ
スカー王国篇

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第二十四話 人型スライムが現れた!!

ー透視点ー


使っても良いんじゃないだろうか。

使ったほうがいいんじゃないだろうか。

異能で、速度を上げたほうが良いのだろうか……

迷ってる場合では無い。

あれだけ鍛えただろう。

異能の力を、容量を上げた筈だろう……!!

俺は走った。

後悔しない様に、俺の手で命を拾えるように。


「『速く』!!」


瞬く間に足を動かす速度が上がり、石で作られた道を駆ける。

周囲の音が聞こえない程の速度で走った。

煙幕の上がった方向へ。

敵が居るからと言って異能を温存していても、間に合わなかったら無意味だろう。


「絶対に間に合わせる……!!」


何故か呼吸は安定している。

速度が上がっているのが分かる。

妙に冷静だ。

出力を上げすぎても街を破壊してしまうし、体力が切れて倒れてしまうだろう。

いくら速く行かなければならないとはいえ倒れてしまったら意味の無い事だ。


予算ギリギリの出力で速度を上げる。

反応速度も同時に上げた。

そうじゃないと壁に激突してしまうからだ。

死んでしまっては本当に無意味な事になってしまう。


ーーー


そろそろ着くはずだ。

周囲を見渡すも怪しいのは居ない。

高台から見てみても、異常は無……


何も無いと場所を変えようとした時、目に映ったのはほんの少しの土埃だ。

たったの少しの違和感、だが行く価値は有る。

目に追えぬ速度でその場を離れ、違和感へと走った。


土埃の正体近づくと、少し物音がした。

些細な音だが俺は気づいた。

今の俺は人一倍冴えている気がする。

すぐに近づくと他の何ら変わりは無い家があった。

俺は何も考えずに飛び込んだ。

壁を突き抜けて。


木材を破壊する音が響いた。

手を前に出し、瓦礫を防ぐ。

周りを見ると、謎のスライムに包まれ、拘束されていたライナの姿があった。

ライナは見覚えのある怪しい男が手から伸ばしている禍々しい色をした黒いスライムに捕まっていたのだ。


「助けに来たぞ!!」


俺は咄嗟にそう叫んだ。

速度を高めるのを続けたまま、剣を抜き、剣を振ってライナに纏わりつくスライムを斬った。

そのままライナを引っ張って距離を取った。


「お前、まさかリュートか?」


「ああ、あのムカつく人間か、お前は」


やはりそうだ。

ラジャイと周っている時に出会った魔族。

五の眼の配下と名乗る男だ。

この様子だと五の眼、ドゥーベもこの国に来ていておかしくない。


「そういえばヴェルガさんは何処に……え?」


そこには腹を無惨に貫かれ、その場に捨てられているヴェルガの死体があった。

四天王の中でもベテランでアレフからも慕われていたあのヴェルガさんがだ。

そんなはずない。

俺の後ろでライナが震えている。

ああ、そういうことか。

ヴェルガさんが負けたから、こんなに怯えているのか。


「あ……え……?」


驚きすぎて顎が外れたかのように声が出ない。

俺でも勝てるのか?

こんな化け物に。

いや、勝つしかないのだ。

それしか俺が生きていく選択肢は無い。


「俺は……勝つぞ……!!」


「やってみろ……お前の様な腰抜けに出来るのならな」


ここで使わなきゃいつ使うんだ?

俺は掌をリュートに向け叫んだ。


「『燃えろ』!!」


手の先から何かが絞り出されるような感覚があった。

瞬時に目の前の人型が燃える。

だが宙に浮かび身を振り続け、その炎は鎮火された。


「無意味だ……!」


燃えたのはリュートでは無く、リュートの操るスライムだった。

恐らくリュートの異能によって俺の異能が肩代わりされてしまったのだ。


あまりポンポンと異能を見せるのは芳しく無い。

ひとまず使うのは炎系統のみする事にしよう。

再度、掌を前に出し唱える。

今度は左手で剣に向けて。


「『燃えよ』」


右手に握られた剣には紅く煌めく炎が灯った。

この炎が俺に力を与えてくれる。

そんな気がした。


速度特化では無く、腕力や眼にも強化を振る。

均等にだ。

俺はまだまだ訓練が足りず、他の騎士よりも身体能力では劣る。

だがそこに追いつく程にーー否、追い越す程に、身体を強化する。


人型のスライムはその拳を撓らせながらこちらに振る。

遠心力を利用したその力は剣で流しても手に余る衝撃が痛覚を刺激する程だ。


「くっ……!」


この痛み、腕を斬り落とす超パワハラ訓練に比べれば安いものだ。

あの訓練には痛みに慣れるという効果も有るのかもしれない。

だがそれでも痛いものは痛い。

腕が痺れる程だ。

耐えれるようになるだけで痛みは変わらない。


今度は反対の腕を撓らせ振る。

俺はそれを回避し、一気に距離を詰める。

胴体を真っ二つに、斬り込む……!!


「死ねええええ!!」


炎の剣はスライムを燃やし、斬るのを補助した。

スライムは斬られた面がグズグズと溶け、2つに分かれた。

腕から伸びたスライムはそのままに、分離したスライムはその場で蒸発し、跡形もなく消えた。


だが腕から伸びたスライムはすぐに再生し、人型を取り戻した。

簡単に治ってしまった。

だが俺の攻撃は通用するし、攻撃も避けられる。

これなら苦戦する事は……


刹那、再生していなかった右腕が飛び出し俺を貫こうと肉薄した。

反応し、避けようと身を捩るも脇腹を掠る。

それは俺の右脇腹を抉り、削った。

ひどく出血している。

目眩もしたが、まだ治療するのは早い。

このペースで治療してしまったら俺はこいつに殺される前に気絶してしまうだろう。


腰を抜かし、倒れ込んでいるライナを逃がすことも難しい。

やはり倒すしか無い。

気絶なんてありえない……!!


恐らく今の攻撃は再生による攻撃。

再生の速度を利用したのだろう。

斬ってもカウンターを喰らってしまう。

かと言って攻撃しないわけにもいかない。

やはり狙うべきは背後のリュートか……!!


ーーだが遠すぎる……!!

距離を取られていては攻撃も異能も届かない。

このスライムをどかすにはどうする?

恐らくこのスライムはリュートの異能か……つまりは限度がある筈だ。

時間経過、もしくは再生を続けると体力が尽き気絶すると思われる。


「ひとまず斬っては避けを繰り返すしか無いのか?」


「何をしようと無駄な事だ……!!」


さらなるスライムによる拳撃は俺の剣でも防ぎ切れぬ程であった。

俺の剣は弾かれ隙を晒してしまった。


「ーーマズッ!?」


俺の腹部を遮るものはもう何も無い。

やつの攻撃の威力からして俺もヴェルガの様に腹を貫かれるのか?

ーー否、俺にはアレフさんから直前に習ったあれがある……!


「避けきれねぇ時は剣を使って攻撃を流すように自分で流せば良い」


今それを試す時だ……!

俺は身体を捻り、受けた力を分散させる。


『転散』……!!


棒状のスライムは鳩尾を外し軌道を逸らされた。

鉄剣の重みを利用した遠心力によってスライムの一点集中した衝撃は流され、打ち消された。

スライムに残った腕は左腕のみ。

俺は剣を添え左腕の突きの速度を利用し、斬る。


「よし!!」


来た……!!

攻撃の隙!!

俺はまたスライムの腹を横に断裂させた。


……筈だった。


スライムの腹部からはもう一本の腕が生え、剣ごと俺を吹き飛ばし、家の壁に打ち付けられた。


「俺がそう安々と手札を切る訳がねえだろうが!!」


ニタニタと薄汚い笑みを浮かべ、下衆な笑い声を響かせながらそう叫んだ。

一筋縄ではいかない。

そう思わせられた一撃だった。

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