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リア充の異世界放浪旅〜陽キャは異世界でも有能です〜  作者: 絶望的メガネ
スカー王国篇

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第二十三話 スーパーヒーロー

「アレフ、気づいてくれ!!」


俺は精一杯叫ぶ。

背後の敵をアレフに気づかせる為に。


アレフはガルガンを殺した。

だがガルガンと同じ見た目をした大男が背後に、もう一人居るのだ。


「後ろに敵がいる!!」


すると後ろにいた大男が腕を振り上げる。

確かあいつはありえないほど攻撃が速い。

俺は咄嗟にしゃがむように下を指差した。


「しゃがめ!!」


声が届いてなかったはずのアレフは何故か俺の声に応じてしゃがんだ。

アレフの頭があった場所は男の拳が通り去っていた。

流石だアレフ、不意打ちの様に見えたその一撃を読んでいたなんて。


だがアレフも疲弊しているだろう、こうなったら非常用の煙幕弾でカーマインに非常事態を伝えるか?

ーー否、駄目だ。

それはアレフを裏切る行為にもなる。

そして救難要請に反応して助けに来てくれた人が元いた場所に攻撃を仕掛けられていたらどうする?

俺はその時の責任なんて取れない。

もし既に交戦中でプレッシャーをかけてしまったらどうする?


「この一発ですべてが崩壊する可能性もある……」


考えろ。

俺が今すべきことは何だ?

目の前の敵を薙ぎ倒しても、俺は大した役に立っていない。

結局アレフが負けたら終わりだ。

こうなったら救難を……


その時、東の方向から煙幕が上がった。

あれは救難信号だ。

……ライナとヴェルガさん!?


マズイ……どうする?

思考を巡らせろ!!


俺は一つの考えを導き出した。


ーー異能を使おう……!


「『燃えろ』」


刹那、魔族の軍団に一つの炎が投げ込まれた。

魔族の身体を伝い、それは伝播していった。

炎の渦に包まれたその魔族は身体が焼け落ち、爛れていた。


激闘を繰り広げるアレフに合図を送る。

凄まじい剣戟の隙にこちらを覗いたアレフは叫ぶ。


「……行けぇ!!」


俺は走った。

助けを求める声に応えるために。


ーーー


〜数時間前〜


「敵、全然見つから無いですね」

「……本当だな」


透達と同じく、ライナとヴェルガは音沙汰の無い夜の街を注意深く見渡す。

だがどれだけ見てもそこには閑静な住宅街があるだけだ。


「つまんないなぁ」


つい言葉が零れ落ちる。


「油断はするなよ」

「はーい、わかってまーす」


本当に安心する。

この人の貫禄というか、歴戦の余裕というか。

何だろうか。

駄目なことは分かっている。

こういうのを慢心というのだろう。

それでも心に余裕が生まれてしまう。

私はそんな浮ついた気持ちで監視をしていた。


ーーそれが間違いだった。


…………


「本当に居るんですかね」

「居なくても関係無い、備えておいて損はないだろう」


私は完全に油断していた。

だから、気づかなかった。


ーー背後からの一撃に。


「危ないッ!!」


ヴェルガの声で初めて気づいた。

彼はもう真横まで近づいている。

手を伸ばし私を転ばせる勢いで押し込まれた。

不意に押された為抵抗する事すら出来ずに倒れてしまった。


「ちょっと、何を……え?」


大きく尻もちをつき文句を言ってやろうとヴェルガの方に目をやると何かに腹を貫かれたヴェルガの姿があった。

黒いスライムの様な何かがヴェルガの臓物を抉り、通り抜けていた。


よく形を見ると腕のように見えた。

その腕を辿るとそこには上半身が人形のスライムが居た。

下半身は上半身から段々と細くなりソフトクリームの先端の様になっていた。

厳密にはその先端が延長されておりその棒状のものが更に背後に伸びていた。


「強そうなジジイが釣れたな、運が良いぜ」


スライムはヴェルガの血を撒き散らし、雑巾のように投げ捨てた。

四天王と呼ばれたヴェルガさんがこんな簡単に……


気づけば後ろには黒いスライムを掌から伸ばしたを男が立っていた

脳が全身に警鐘を鳴らす。

サッと血の気が引いていくのが分かる。


駄目だ、こいつはマズい。

私は咄嗟に煙幕を放つ。

だがすぐに足を掴まれ建物内に引き摺り込まれた。

私の鎧はクッキーを砕くように意図も容易く破壊された。


影に隠れた男は笑っていた。

私を痛めつけて楽しんでいる。

クズが……!!


「お前のことは……私が死んだとしても……誰かが…………いいえ、透が!! カーマインが!! ラジャイが!! あんたの首を取りに来るわ!!」


「……俺の名前すら知る事は無いだろう」


私は男の顔すら見ることが無いまま死ぬのだろうか。

ああ、なんて惨め何だろうか。


「だがそんな簡単にお前を殺すと思うか?」


「……え?」


舌を噛み切るか?


そんな思考を巡らせた瞬間、口の中に何がを押し込まれた。

ヒンヤリとしていて滑らか。

これは……スライムだ。

見ると人の形をしたスライムの腕が口の中に捩じ込まれていた。


「ーーッ!?」


私は抵抗も出来ぬまま鳩尾を二発殴られる。


「ッ……」


自分では叫んでいるつもりでも、声が出ることは無い。


「お前は美しい。タダで殺すのは勿体無いと思わないか?」


男の卑しい視線が私の身体を舐める。

気色悪い、吐き気がする。

殺してやる……こんなクズ……!!

死ぬべきだ。


「ーーッ!!」


抵抗しようと腕を動かそうとするもすぐにスライムに拘束される。


「一番動かしやすいのが人型と言うだけで他の姿にも変貌させることは可能なのだ」


男は得意気に言った。


私は無数の触手に身動きを封じられ、宙へ運ばれた。

そのまま男の目の前まで移動する。


「さあ、俺を満足させてみろ」


ニヤニヤと下衆な笑みを浮かべながら慣れた手つきで身体を弄った。

それは厭らしくかつ丁寧に。

だが私に残る感触は気持ち悪いの一点のみだった。


私は祈った。

一つの言葉を。


ーー誰か助けて。


刹那、木材を、岩を、全てを砕くような爆発音が聞こえた。

その方向へ目をやると腕をクロスさせ自分の頭を守った状態で壁を破壊している男がいた。

その男は服の埃を払いこちらを見る。


「ーー助けに来たぞ!!」


そこには鋭い目つきをした透が立っていた。

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