第二十話 初顔合わせ
「なるほど、魔族を見つけたらそれが七眼英傑の配下だったのか」
「ああ、あれはマズイぞ。そういえば透も英傑共について何か知っている事があるらしい」
カーマイン、ライナが前に座り隣にはラジャイが座っている。
机を中央に置いたこの配置は晩御飯を囲む4人家族の様だ。
「これまで隠していた事がある」
そこからは俺がこれまでどのような道を辿ったのか、エルフの村についても事細かに伝えた。
もう隠し事はしない。この人たちなら俺を受け入れてくれる。そんな気がしたんだ。
話終わった後、少しの間沈黙があった。
その中で口を開いたのはラジャイだった。
「大変だったな、だがもう安心しろ。お前には仲間がいる」
その暖かい言葉が身に沁み目頭が熱くなった。
「おいおい透、泣いているのか? 本当に仕方のないやつだな」
ニコニコしながら言葉をかけてくれているのはライナだ。
「俺はお前を受け入れるよ、上司としても、友達としてもね」
最後はカーマインの言葉で締められた。
「ありがとう、本当にありがとう」
ーーー
「それじゃあ本題に戻ろう」
カーマインの仕切りで話が再度始まった。
「恐らくあいつらはもうすぐこの国に戦争を仕掛けると考えられる」
「あり得る話だな」
「そうなると七眼英傑の五の眼本人であるドゥーべに関してはカーマインが担当せざるおえない」
「魔族相手だと僕も最強ではないからね、少し不安があるが俺以外に適任は居ないだろう」
カーマインは快く了承してくれた。
「そして俺が殺したバイアス、ラジャイと遭遇したリュートは恐らく幹部的立ち位置だと考えられる。つまりその幹部は他の雑兵と比べて戦闘力が高い事が予想される」
「生き残っている幹部が1人とも限らなそうだしな。私も1人で戦う必要が出てきそうだ」
「今の俺でも1人では勝てないだろう。ラジャイと2人でも危うい可能性がある」
「......そうなると勝てない可能性が出てくるな」
するとカーマインが手を挙げた。
その顔はいつもの様に自信に満ち溢れた表情をしていた。
「僕の手を使い三人ほど強い騎士を呼ぼう。強力な援軍となるだろう。だが彼らは王直属の四天王と呼ばれている存在だ。異能に関しては当日まで知ることは出来ない」
カーマインの言葉で少し曇っていた全員の表情が明るくなり、普段の空気が戻った。
「賛成だな」
「私も賛成だ」
話がまとまって良かった。
援軍も来るらしい。これなら......
「俺も賛成だ!」
作戦はある程度決まったあとはその援軍の人達と顔合わせの後配置を決めるのみだ。
因みにカーマインは騎士団の団長であるため四天王では無い。
ーーー
翌日、俺はいつもの訓練場に呼び出された。
内容は例の援軍の人達と顔合わせだ。
カーマイン曰く、彼らの中には気難しい人もいるが仲良くしてほしいとのこと。
俺は緊張を誤魔化すために素振りに打ち込んだ。
だんだんとメンバーが集まっていき後はカーマインと援軍の人たちを待つのみだ。
「おーい!連れてきたよ!!」
声のする方は顔を向けるとそこには髪の長い黒髪の女性と荒々しいイメージを持つ茶髪の青年、最後に二人を宥める様に手を添えている口の周りに薄く髭を携えた中年の男がいた。
俺達の前に着くと中年の男が前に出て自己紹介を始めた。
「こんにちは、カーマイン様の援軍として来たヴェルガ・ゴードンです。よろしく」
ヴェルガは手を前に出し握手を要求する。
それに応えて俺も手を出した。
すると奥から女性が前に出てきた。
「私はヘレン・サーヴァスです。よろしく」
ヘレンは無愛想にそう言って後ろに下がる。
最後に青年が前に出てきた。
「俺はアレフ・バレットだ。よろしくな」
アレフは俺の肩を少し強めに殴りニコニコと笑顔を見せながら後ろに下がった。
上機嫌なのは良いことだと思うが痛い。
痛い肩を擦っているとカーマインが俺とヴェルガの間に入ってきた。
「君達のことはすでに説明済みだ。顔合わせも済んだことだし、早速俺の部屋に行こうか」
カーマインの言葉で俺達は彼の部屋に行くことになった。
やることは一つ、作戦会議である。
ーーー
全員が席に着き早速会議が始まった。
今回の議題は敵情報と配置だ。
ヴェルガ達の具体的な戦闘力については教えてくれなかったが、大まかな強さは教えてくれた。
カーマインの6分の1程度だそうだ。
そうなると俺は10分の1程度になるのだろうか。
純粋な円形となっているこの国内での配置は王城を正面にして北側にカーマイン、東にヴェルガとライナ、西にラジャイとヘレン、南に俺とアレフだ。
カーマインは基本的には北にいるが空中から国内全体を確認し七眼英傑を確認したらそちらに向かうらしい。
最悪そこから王城に攻め込まれても最後の四天王であるヴァルハルト・カーサーが護衛をしているから問題が無いらしい。
七眼英傑クラスはカーマインがそれ以外は基本的に俺達で対応する事になる。
「ひとまずバディと挨拶してもらおうか」
俺はアレフの隣に座った。
「改めて自己紹介を。佐々波透です、よろしく」
「お前みたいな未知数な奴がいつ裏切るだろうとばかり考えていたがお前は純粋で真っ直ぐな目をしている……信用するよ。よろしくな、透」
アレフはそう言ってまた俺の肩を殴った。
今回は少し軽めだったがそれでも痛いものは痛い。
やめてほしいとは思うがやること全てに文句を言う事が良いことでは無いことは知っているつもりだ。
少しの我慢は必要だろう。
「みんなバディは確認できたっぽいな。四天王達は訓練には参加できない、なのでひとまずは元のメンバーで訓練を続けることにする」
一旦解散か、新たな援軍の人たちも悪い人では無さそうだし、腕も保証されているだろう。
あとは戦までに自らを高めるとしよう。




