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リア充の異世界放浪旅〜陽キャは異世界でも有能です〜  作者: 絶望的メガネ
始まりの村篇

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第二話 未知との出会い

様々な情報が交差し疲れてしまったのか気づけば透は眠っていた。

否、気絶していたと言った方が正しいだろう。

起きた時、透は何も変わらず雄々しい木々に囲まれていた。

一面に緑が広がり、木の香りで鼻が満たされる自然を具現化したような森に一人放り込まれたのだ。


上を見てみても自分が落下した箇所に青空が覗けるのみで、それ以外は緑が広がっていた。

その穴から何か無いか探る為に、色々な角度から空を睨む。

ぐるぐると周りながら空を見たが青の主張が激しいのみで、太陽を見ることもできなかった。


「はぁ疲れた……」


進展がないので偶々あった切り株に腰を掛けて休むことにした。

ふと首を上げて空を見てみるとそこには青空とともに小さな穴を発見する。


「あれ、なんだ?」


まだ確定では無いが恐らくあの穴は透を落とした忌々しい穴だ。

悪いものだと捉えても仕様がないため、良いものと捉えることにした。

恐らくあの穴は異世界と元の世界との架け橋なのだろう。

架け橋にしては一方通行すぎる気もしたがそれは一旦置いておこう。


この世界に魔法があるのはさっきの治癒で、大体分かったが空を飛ぶ魔法があるのかはまだ分かっていない。

なので空を飛ぶ魔法を探すためにとりあえず人の居る場所へ向かうことにした。


ーーー


希望が出来たところで、そもそも言語を理解できるのか?という一抹の不安が出来たが、それは森の中に捨てて歩くことにした。

草をかき分けてどんどん前に進む。

落ちている時に見えた王国がどの方向なのかは覚えていないがとりあえず前に進む。

大きな国の人よりも小さな村の人の方が優しそうな偏見があったので小さな村を目指して進むことにした。


森の中を進むが進展がほとんど無い。

せめて水場さえ見つかれば……なんて考えてる矢先水の流れる音が聞こえた。

音の方向へ全力で走る。

喉が渇ききっている。

透は全力で走った。

すると木の先に青色の清流が見えた。

すぐに水場に近づき、水を手ですくい口へ運ぶ。

うまい。

うますぎる。

二口目、三口目と水を飲む。

喉の渇きが潤されたところで周りを見渡すと川を跨いだ奥の方に煙が立っているのが見えた。

村だ……。


村を見つけた透は流れが弱い川を泳ぎ向こう岸の砂利を踏んだ。

砂利の感触を味わいながら進む。

すると地面が土に変わり辺りには木が充満していた。


「少し分かりづらいがとりあえず進んでみるしか無いか」


透は景色の悪く足場の悪い森の中を突き進んでいった。

すると何やら声が聞こえる。


「ん? 人か!」


耳を澄ませて声に集中する。


「……けて…………助けて……」


助けを呼ぶ声が聞こえるではないか。

どうやらこの世界の言葉は理解出来るらしい。

自分にとって都合の良すぎる事実に少し疑念を抱いたが今優先すべきは人助けだ。

透は全速力で森を駆け抜けて声の方向へ向かった。

ある程度走ったところで少し開けた空間に出た。

そこには声の主と思われるものの影が見えた。


「助けて............助けて......」


だが影の形は人の形とはほど遠い姿だった。

鋭い爪を持った四本の脚に新緑の鱗、大きな一つの目を持ち鋭い牙を揃えた口には異常に発達した舌が見られた。

魔物に誘き寄せられたのだ。

まんまと罠に嵌った透は腰を抜かし、顎と手足を震わせながら後退りした。


魔物は今か今かとタイミングを計っている。

そんな時透はある事を思い出した。

それは足を治したときに叫んだ言葉だ。

透は『治れ』と全力で願った。

否、治すという明確な意思のもと叫んだことによって魔法が発動したのだ。

要はそれの応用で相手に攻撃ができるのでは無いか。

そう考えた透は手を魔物にかざして叫んだ。


「『燃えろ』!!」


途端に身体中から手へ何かが絞り出される感覚を感じ、手の平の先に居た魔物が燃えだした。

火は魔物全体に広がる。

身体の燃える感覚に耐えきれず暴れ回る魔物をよそに透は急いで村へ向かった。


一悶着あったあと火は消え周りの草や魔物の鱗が燃え尽き、そこには衰弱した魔物のみが残っていた。

魔物は迷わず真っ先に透の方へ走った。

透は爪を突き立ててズカズカと走る魔物に気づき、すぐに手をかざして叫んだ。


「『爆発しろ』!!」


刹那、魔物の身体は爆ぜた。

肉片や内臓、血液が辺りに吹き飛び葉を紅く染めた。

魔法を使った直後にものすごい疲労感が体を襲った。

無惨な死体を見た透は寒気がし、見ないふりをして村へと向かった。

衝撃的な体験をした透は不快な思いを抱えて、村を探した。


煙を頼りに進んでいたが空はすっかり暗くなり、視界が悪くなったことで進むことを一旦やめて寝ることにした。

食料を確保するために木に生えていた赤い木の実を大量に採取して、安全を確保するために自分を中心に四方に壁を作った。

念の為屋根も建てて中心に木を集めて光源も確保した。

密室だと死ぬので最低限の穴を開けて簡易的な家が完成した。


少々規模の大きい魔法や魔物の攻撃で簡単に吹き飛ぶ強度だがこれ以上強くすることも不可能なのでここは妥協。

木の実を摘みながら現状分かった事を整理する。


一、魔法は実現するという明確な意思のもと言葉を叫  

  ぶ事でその現象を具現化できる。ここであくまで    

  推測の域を出ないが爆発の魔法を使った時に疲労

  感を感じた為に限度があると考え使うのは控えよ

  うと自分に言い聞かせた。


二、人間の声に擬態して襲ってくる魔物がいる。

  これの対策に関しては人の声がしたらまず安全圏

  から確認して魔物だった場合は逃走、人間だった

  場合は自分が安全なことを証明して村へと案内し

  てもらうことにした。


三、赤い木の実は美味い。

  というか食べても問題が無いと言うことだ。

  少しえぐみはあるがジューシーな甘さでそれは掻

  き消えるほどだったため問題は無い。時間が経っ

  ても毒の症状の様なものは現れなかった為、安全

  と判断し見つけたらなるたけ採集することに決め

  た。


ひとまずは情報を整理出来たので明日に備え寝ることにした。

色々が枯渇している様な感覚だ。

気づけばうとうとしている。

異世界で始めての就寝。

少し緊張したが草の布団は案外寝心地が良かった。


ーーーー


目が覚めたとき、真っ白な空間に居た。

自分の身体を動かそうとしたとき、全く動かないことに気づく。

声は出せる、目も動かせるが首が動かない。

許された動きは喋ることと、見渡すことのみだった。

白い靄に包まれたその空間に一人の女の影が見えた。

背が低く髪の長い少女がそこに居た。

白銀の美しい髪をもつ彼女には大人びた空気が感じられた。

少女は透の目の前まで近づいて口を開いた。


「あ、」


少女の妖艶な雰囲気はその焦りを感じる声によって消滅した。

混乱した様子で「ヤバい、ヤバい」と叫びだす。


「最悪です、間違えたのです、間違えちゃったのです、」

「どうしたの?」

「次元の裂け目の場所を間違えちゃったのです!」


聞き覚えの無い単語に思わず質問してしまう。


「裂け目? ってなに?」


あたふたした少女はすぐに答えてくれた。


「次元の裂け目とは貴方が落ちた穴のことなのです」

「本来あの穴は海底にある筈なのです、それが何故か道のど真ん中に置かれちゃったのです…...!」


少女は本気で慌てた様子で言葉をツラツラ並べていく。


「恐らく大賢者ガイツが空飛ぶ魔法を作り出して空にある穴を通った時に出来た出口がそのまま放置されたことが原因だとミリィは思うのです」


少女はそこで何かに気づいた様子で背筋を伸ばし透の目を見た。


「言い忘れてたのです、ミリィの名前はミリィなのです、女神をやってるのです!」


「女神!?!?」


女神という聞き馴染みのない単語が耳に入っていき、思わず声をあげてしまった。

それにしてもこんな幼女が女神だとはにわかに信じがたい。

だがこの謎空間で動けているので状況が信憑性を高めている。

渋々信じることにした透は疑問を投げかけた。


「女神ならわかると思うんだがこの空間何なんだ?」


ミリィはまたもや「忘れてた!」という表情を顔に張り付けて、目をしっかりみて口を開く。


「ここは貴方の元いた世界とこの世界の架け橋なのです。」

「貴方が世界を移動する際に一瞬だけ後に来るのです。まぁそれ以外に用途はないのです。強いて言えばミリィの住処ってだけなのです。」


ミリィは「ふぅ」と空気を漏らし額を腕で拭った。

その後手を振り、「それでは」と言葉を繋ぐ。


「義務は果たしたのです、さっさと帰るのです!」


透の身体に光が集まっていき、そこで意識は途絶えた。

次に目を覚ましたのは岩で出来た殺風景な天井だった。


「面倒臭いことになったな」


透は少女の破天荒な行動に呆れつつ、出発の準備を始めた。

  




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