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リア充の異世界放浪旅〜陽キャは異世界でも有能です〜  作者: 絶望的メガネ
始まりの村篇

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第十一話 何を守るために強くなるの?

あれから鍛錬の内容は変わっていない。

変える必要なんて無いのだ。

だがその中に介在している意思は変わっている。

同志が死ぬ、それは団員にとって大きな悲しみを生んだ。

勿論俺もである。


俺は大事なものを失いかける経験なんて前の世界では無かった。

だから怖かった。

もう二度とあんな思いはしたく無い。


「おーい!! 透!!」


すると遠くから陽気な声が聞こえた。

声の方向を見ると巨体がかなり遠くから手を振りながら近づいてきている。

ハラバラだ。

最近戦闘訓練を手伝ってくれたり、休日におすすめの飯屋を教えてくれたり、アラヴァルと三人で珍しい物を雑貨店で探してみたり、色々世話になった部分がある。

バイアスとの戦闘でもそうだ。

彼がいなかったら間違いなく全滅していただろう。


で、今回は何の用かと言うと......


「リリベル嬢の世話頼まれたからお願いデキないダスか?」

「行けるよ」


まさかリリベル関連だとは考えてもいなかった。

ハラバラとリリベルの関係がよく分からないがひとまずリリベルに会いに行くことにした。


ーーー


「こんにちは」


ニコッと笑いかけて来た天使。

鈴を転がしたような綺麗な声にサラサラしていて美しい金髪。スラっとした体型はすこし幼さを感じた。


「どこ行こっか?」


何となくそう訪ねた。

今日はリリベルに楽しかったと思ってくれるような事がしたい。


「まだ……朝ごはん食べてないので……食べたいです」

「分かった、何食べたい?」


俺が選択肢を出してあげたいところだったが、生憎俺はここらへんの店についてあまり詳しく無い。

ここは無難に聞くのがいいだろう。


「サンドイッチが……食べたいです……!」


サンドイッチ!!

サンドイッチがあるのか!!

おそらく本当の名前は違うだろうが俺の脳は都合良くサンドイッチと変換された。


「お店、何処にあるか知ってる?」



リリベルはコクリと頷いた。

その後リリベルは歩き出し、商店街に向かった。

俺も付き添うように後ろについて行った。

サンドイッチ、実に楽しみだ。

もう涎が溢れてきた。


あっちの世界で食べていた料理を食べれるのは珍しいからな。

そんなことを考えながら商店街を練り歩いていると洒落た古着屋を発見した。

また今度行くことにしよう。


「そういえば透さんは……何の食べ物が好きなんですか?」

「ん?俺? 俺は大抵何でも好きだよ」


するとリリベルはフフッと笑い「なら良かったです」と呟いた。

にしても可愛い、仕草がいちいち可愛いのだ。


「リリベル、君はサンドイッチが好きなの?」

「はい……一番好きです……」


おお!

リリベルの遂に一番好きな食べ物を見つけたぞ!!

まあ店で大体予測はつくのだが本人の口から聞くのが大事だろう。


するとリリベルの耳の先と頬が赤くなっているのに気づいた。

顔を赤らめる女子なんて何度も見たことあったが、何故だろうこんなに心臓が鳴っているのは。

照れ隠しのように俺も顔をそらす。


するとリリベルが急に立ち止まった。

俺は即座に立ち止まる。


「着きました……」

「おお!!」


ここがサンドイッチ屋か……!

商店街の並びに合った雰囲気の外装である。

なんとも雰囲気のある店だ。

素晴らしい。


リリベルについていき中に入る。

芳醇なパンの香りに、嗅ぎなれたかつ懐かしいソースの香り、そして卵とマヨネーズの素朴で美しい香りが鼻の奥に広がる。

リリベルは店主の人と楽しく話しているが、俺はサンドイッチに釘付けだった。


話が終わりカウンター席に着く。

すると可憐な金髪からフワッと花のような香りがした。

リリベルからいい匂いがする。

少し、いや大分キモいことは自覚しているが、そこも可愛いと感じた。

いわゆる"萌え"というものなのかもしれない。


「ひとまず決めましょう」


リリベルはメニュー表を差し出してきた。

中をのぞくとたまご、カツ、フルーツなど様々な種類があった。


「俺は間違い無さそうなカツサンドにしようかな〜」


店に入った瞬間ソースの香りが脳を刺激したのでカツサンド以外を食べる気にはなっていなかった。

異世界カツサンド、お手並み拝見と行こうか!!


「リリベルは何が好きなの?」

「私は......いちごホイップにしたいと思います!」


いちごホイップて、朝からスイーツ行くのも衝撃だが1番は名前だ。

都合良く言葉が変換されている感じからして前の世界の名前使われるんだろうけど、理解してても少し違和感あるなあ。


「じゃあ頼んじゃうか!」


リリベルはコクリと頷く。


「すいませーん!」


声に応じてさっきリリベルと楽しそうに話していた女性のエルフが向かってきた。


「注文は?」

「カツサンドと、いちごホイップで」

「カツサンドといちごホイップですね」


店主は紙に注文をメモして猛スピードで厨房に戻り、作り始めた。


「ここ......作るのがとっても早いんです」

「へー何分くらいで来るんだろうね」


早いと言っても限度があるからなあ、流石に数秒とかでは無く数分だと思......


「ーーカツサンドといちごホイップです!」


「は、はえー!」


恐ろしく速い提供......俺でなきゃ見逃しちゃうかもしれない......

だがそれ以上に、美味そうだ。

ふわっと膨らんでいる食パンにサクサクのカツ、極めつけには黒く輝くソース!!

それを包み込むかの様に挟まっているレタスも素晴らしい。


「めっちゃ美味そう!」


いちごホイップの見た目を見てみようとリリベルの方を見ると既に食べているララベルの姿があった。

本当に美味しそうに食べているリリベルの頬はいちごのように赤く染まっていた。口にホイップをつけていたので声をかける。


「クリームついてるよ」


指で自分の唇辺りを指す。

すると慌てたようにクリームをナプキンで拭いた。


「すいません......お見苦しい所を......」

「大丈夫、そんな風に思ってないから」


リリベルを見習って俺もカツサンドに喰らいつく事にした。

予想通り美味すぎる。


ーーー


朝飯を終えた俺達はさっき見て気に入った古着屋に入る事にした。

この古着屋は他の店とは一線を画す点があった。

それは......


ーー鞘が売っているのだ!!

剣を仕舞う鞘に金属を使える程この村は裕福では無い。

近くの鉱山だって限りがあるのだ。

だから鞘は皆布製のものを利用している。


魔物の布は強く、硬い。

鞘には適しているのだ。

その中でも目を見張るデザインのものがあった。

この紅色がとてもふつくしい!!


「鞘、ですか?」

「ああ、鞘にデザインがあるなんて革新的だからな!」

「でも、村の紋章が......」


ごめんリリベル、今は君の声は届かない。

この鞘に意識を全て持っていかれている......!!

ずっとダサいと思っていたのだ。

変な模様に茶色の鞘。

せっかくの剣なのに外見がダサくては浪漫が廃ってしまう!!

俺はすぐに買う事に決めた。


「これください!!」

「毎度!!」


そういえばこの村では独自の通貨を使用している。

他の国には無いと昔、人間とも交流があったタナベルさんが言っていた。

タナベルさん以外は昔、人間と何があったか知らない。

タナベルさんもトラウマがあるのだろう。

自ら何かを語ろうとはしない。

だから俺も聞かない。

人の過去に土足で入る趣味は無い。


ひとまずリリベルとのデートは俺の自己満で終わってしまった。

少し申し訳ないがリリベルも珍しく楽しそうに笑っていたので一応楽しんではもらえたようだ。

俺も嬉しい。


カラベルさんにリリベルを引き渡してその日は終わった。

この笑顔を守りたい、俺は再度自分の心に言い聞かせた。

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