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リア充の異世界放浪旅〜陽キャは異世界でも有能です〜  作者: 絶望的メガネ
始まりの村篇

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第一話 大地の感触

ーー風の音が煩い


鼓膜に響く音の正体は空を吹き荒れる強風だった。


「あれ? なんで俺飛んでるんだ?」


飛んでいるのではなく落下していることに気づくのは陸が見えてからだった。

左側に栄えた街の様なものが見える。

右側には鮮やかな川が見えた。

そして自分が落下するであろう中心には雄大な木々が広がっていた。


何故こうなったのか、時間を少しだけ遡ってみよう。


ーーー


「眩し!?」


燦々と煌めく太陽、透は眩しさを感じ手で目を覆った。

呆れるほど清々しい朝に透は深呼吸を挟んだ。

鏡を見ればモデルと勘違いする美形であり、スマホを見ればSNSの通知が大量だ。

つまり俗に言うリア充である。


学校へ行くため駅へ向かっていると、謎の穴がある事に気付いた。

思わず立ち止まり近づいてみると、穴の先には青空が広がっていた。

「何だ? この穴」なんて考えていると、突然目眩がしだした。

バランスを崩し前に足を出してしまい、


右足が落ちたのを皮切りに身体を全て持っていかれ、そのまま穴に落下してしまった。


「どうぁぁぁぇぇ!?!?」


混乱の二文字が頭の中を駆け回る。

透は咄嗟に真下を睨む。


ーーここで最初に戻る。

俺は空を派手に落下していたのだ。

生まれて初めてのバンジージャンプが紐無しとは本当に運が無い。

初めての自由落下ではパニックになった俺は周りを見ていると枯れ葉の塊を見つけた。


「見つけた! あそこに着地だぁぁ!」


声は風に掻き消されたが、想いは枯れ葉に届いたようだ。

透は枯葉のクッションに狙いを定めて、吸い込まれるように落下していった。


ーーー


グシャッと枯れ葉の潰れる音が響いた。

骨の砕ける音も共に鳴っていたかもしれない。

透は音の正体を突き止める前に強烈な痛みが足の方に走っていった。


「ーーッ!?」


透は絶望した。

初めて地を踏む環境で自分の足は使い物にならない事を知り何度も絶望した。

透は血の気が引く感覚を生まれて初めて味わった。

流石に痛すぎる。

へし折れた両足、見たことのない風景。

詰みという言葉が頭をよぎる。


その時、草むらの中から一匹のウサギのような動物が現れた。

姿はウサギによく似ているがどうやら別物らしい。

何故別物だと判別できたのか、それは簡単な事だ。

謎の角に異様に発達した牙が生えているからだ。


「えっ……どうして……」


走りたくても足が動かない。

逃げたいのに……。

「何故こんな事に」という言葉が頭を駆け回る。

だが兎はその小さい体で跳ね、着実に近づいてくる。

俺を警戒するかのように、ゆっくりと。


俺は遠くを指差し、咄嗟に叫んだ。


「『来るな』ぁ!! どっか『行け』ぇ!!」


ーー刹那、兎は突然Uターンし、草むらの中へ逃げ帰った。

何が起きた? 俺を殺そうと近づいたわけじゃなかったのか?

否、それは無いだろう。

あれは確実に俺を殺そうとする目をしていた。

ならばなぜ心変わりした? トリガーは何だ?

俺は直前の行動を思い起こす。


両足が折れ、明らかに手負いな状態で恐怖という感情を前面に押し出し怯えていた。

日々狩りをしているであろうあの兎がその感情を読み取れない訳が無い。

次は叫んでたか。

恐怖と混乱であまり喋った内容を覚えていないが確か「来るな、どっか行け」

俺は一つの有り得ない結論に辿り着いた。


それは言葉、もしくは意思に反応し、それが現実になったということ。

ありえない、だが変な兎や謎の穴の奥にあった世界だ。

試してみる価値はある。

俺は両足に意識を向け叫んだ。


「『治れ』!!」


その瞬間、痛みがだんだんと引いていき、足は本来の形を取り戻した。

先程の痛みを警戒しながら恐る恐る立ち上がる。

痛みは無い。

今度は足を一歩出してみた。


「あ……歩ける……!! 歩けるぞ!!」


足が元の力を取り戻し、跳ねながら喜びを爆発させているとふと周りの風景が目についた。

その時、一つの思考が頭をよぎる。


「これどうやって帰るんだ?」


目の前には無情にも風景の変わらない木々が並んでいた。



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