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92. 再びトリプレットデザート王国へ

 ベラドに魔光石の研究を頼んでから、約1ヶ月間、土木作業の手伝いや新メニュー開発、魔光石の研究と諸々の準備を整えた。

 ギアナには、商人としての人脈を使って、トリプレットデザートで葉隠の里へ人を呼び込む手配などを行なってもらっていた。

 ライゾーに修行をつけてもらっていたシロは1ヶ月で大型犬ほどの大きさに成長していた。フェンリルのスペックからすると、ライゾーの修行は本当に遊んでもらっているレベルだったようだ。忍犬としてのスキルをぐんぐん吸収していった。途中から、桔梗が加わって戦闘訓練をしていたのには驚いた。桔梗曰く「シロは筋が良い」とのこと。恐ろしいので深くは追求しないことにした。


 そんなこんなで、魔光石の研究は中ばだが、アラジンとバドゥール王女の前撮りの準備はほぼ整った。トリプレットデザートに出発するために九尾稲荷大社に集まったのは、俺、師匠(ちび分体)、桔梗、ソラちゃん、シロmの5人(匹?)だ。


 「よし、アラジンとバドゥール王女を迎えに行くとしようか!」

 「うむ」

 「おう」

 「はーい」

 「いくでしゅ」


 「はーい」はソラちゃんで「いくでしゅ」はシロ。シロは最近話せるようになったのだ!舌足らずな言葉使いが超絶可愛い。シロの上に師匠の分体(ちび分体Ver)とソラちゃんが乗っている。可愛いに可愛いを重ねると、尊いになることが判明した瞬間だ。


 本体の師匠とその肩にソラ分体:楓が乗っている。その分体を使って転移する。


 「じゃあ、ソラちゃん。神空間転移お願いね」

 「わかったよぉ」


 「じゃあ、師匠行ってきます。と言っても数日で帰ってくるけど」

 「妾はここを離れられる故、また分体でついていくのじゃ」

 

 師匠のちび分体がぴょっと右手を挙げる。犬にまたがる幼女とスライムの図が完成した。


 「師匠、歩きたくないからってシロに乗るのはシロが可哀想じゃないか?」

 「ぼく、大丈夫でしゅよ?」

 「ほれ、シロもそう言っておるのじゃ」

 「ならいいけど、シロもキツくなったらちゃんと言うんだぞ」

 「わかったでしゅ」


 俺たちは、ソラ分体:楓を起点に神空間移動する。行き先はトリプレットデザートの宿にあるソラ分体:ギアナだ。それじゃ、出発だ!


 「きゃあ」


 神空間移動すると、目の前に革鎧を脱いで体を拭いているギアナがいた。


 「俺、今日の朝そっちに行くって連絡したよね?」(汗)

 「来るって言うから、汗の匂いが気になって・・・つい」

 「と、とにかく早く服を着てくれ」


 (どこぞの伝説の猫型ロボットアニメかよ!)


 いそいそと服を着るギアナ。もちろん俺は紳士らしく後ろを向いている。


 「じゃあ、バドゥール王女とアラジンのところに行く手筈は整っているから、今から案内するね」


 何事もなかったかのように話を進めるギアナ。


 俺たちはギアナについて王宮に向かった。宿から外に出ると街はバドゥール王女とアラジンの結婚でお祭りムードになっている。多くの住民が祝福ムードであった。しばらく歩いて王宮の入り口についた俺たちは、ガンザスに出迎えられた。


 「よお、アキラ。待ってたぜ。師匠さんと桔梗さんも久しぶりだな」

 「ガンザス!久しぶり。というか、王宮の前で待っていて大丈夫なのか?」

 

 ガンザスは、アラジンとともに魔法のランプを盗んだ罪人として近衛騎士隊長を辞めさせられてお尋ね者となっていた。そんなガンザスが豪華な鎧を着て笑顔で出迎えていたら聞きたくもなる。


 「ああ、そうか。もちろん大丈夫だ。俺はもうお尋ねものじゃない。バドゥール王女のおかげで近衛騎士隊長に戻ったんだ」

 「そうなのか。よかったな」

 「ああ、これでこれからもアラジンを守ことができる」

 「ガンザスはぶれないな」

 「ああ、それが俺の生きる意味だ」


いい笑顔のガンザスを見ていて、ふと思った事がある。そういえば、ガンザスと砂塵の墓所を目指してガンザスが戦闘で役に立った覚えがない。近衛騎士隊長は騎士の中でも最強のものがなる職だ。トリプレットデザートの未来は大丈夫だろうか?正直心配だ。俺は、ガンザスに案内されて謁見室へ向かう道中、歩きながらガンザスへ提案することにした。


 「ガンザス、強くなりたくないか?」

 「おい、アキラ。急にどうした?もちろん、強くなりたいが・・・」


 その答えを聞いて俺はニヤリと笑う。師匠と桔梗もわかったようでニヤニヤしている。ギアナだけがアチャーって顔だ。


 「じゃあ、今から葉隠の里に行く準備しておいてくれ」

 「お、おう。アラジンたちの護衛で行くから準備はできているぞ」

 「じゃあ、OKだな」

 「ん???」


 謁見室の前に着いて、不思議そうな顔をするガンザスを置いて中に入る。扉の前の騎士が扉を開いて口上を述べる。


 「葉隠の里領主、アキラ様と楓様、桔梗様、ギアナ様が到着されました。」


 赤い絨毯を歩き王と王女の前で跪く。もちろん、事前に師匠と桔梗にはちゃんとするように伝えている。口上で俺が領主となっているのが解せない。ギアナがそう伝えたのだろうか?


 「王様、王女様。葉隠の里の準備が整いましたので、お迎えに参上しました。」

 「そう畏まらずに、顔を上げてくつろいでくれ。其方は王女を救ってくれた英雄じゃ。しかも結婚式に協力してもらっておる。こちらから礼を言いたいくらいじゃ」

 

 「いえ、バドゥール王女様の写真を販売する許可をいただけましたので、それだけで僥倖にございます」

 「前撮りというのじゃったか。面白いことを考えるものじゃと感心しておったのよ」

 「ありがとうございます。私の昔いた地域の風習でもあります。王女様の準備が整い次第出発したいともいます」

 「はい、準備はできておりますわ」

 「それでは、葉隠の里へ参りましょう」


 謁見の間を出て葉隠の里へ向かうため、王国の北の城門へ集合することとなった。

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