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9. 楓とミコト

9話目です。

なかなか、本題に辿り着けません。


 まじで、死ぬ。もう足が限界だ。

 1,000段。高層ビルの50階相当の段数をひたすら登ってきた。

 直線で繋げば近いのだろうが、山道と同じでひたすらにジグザグと続く参道。


 そして、息一つ切らさず登り切った、800歳の村長ドルフさんと、約600歳のダーシュさん。

 エルフの爺さまたち半端ねぇ。


 最初は、ヴィリジアンヴィレッジの周りのことなどを聞きながら登っていたのだが、

 400段を超えたあたりから、無言になった。

 途中に休憩を挟むこともできなかった。登り始めたのが夕刻で、暗くなる前に登りきる必要があったのだ。


 最後の方は、ソラちゃんが「アキラ、頑張ってぇ」とずっと応援してくれていた。


 こういうところはさ、魔法とかでビュンと行くものじゃないんですかね?異世界なんだしさ!

 と思って、仰向けの状態で、ドルフさんに聞いてみた。


「アキラ様、この本殿に続く階段は、鳥居によって結界が張られており、魔法の発動を阻害するのです。魔法で本殿に行くことができるのは、巫女でいらっしゃる楓様くらいのものですよ。ですので、私たちは、身体強化の魔法を発動させて登ってきているのです」


 あ、長老たちずりぃ。魔法でバフつけてやがった。

 魔法の発動を阻害するということなので、自己強化のみ可能ということなのだろう。

 見た目超若いけど、爺様だしな、13歳の若者は自らの肉体でなんとかせよということか。


 だいぶ、息も整ってきた。大きく深呼吸をして前を見る。

 本殿にたどり着いたときには、日が沈み月明かりと篝火で本殿が照らされていた。


 何本もの赤い柱に支えられた八の字の屋根。大社造というやつだろうか?

 正面の入り口の左右には狐の像が1体づつ鎮座している。

 完全にお稲荷さんですね。


 そういえば、昔、稲荷神社に行ったときに、海外の観光客が足をクロスして、両腕を頭の後ろで組んだポーズで写真を撮っていた。それをみた友人が、「それは私のお稲荷さんだ!」と呟き大爆笑したのを思い出した。

 それは、女性の下着を頭に被ってブリーフ一枚で悪と戦う仮面戦士の決めポーズと決め台詞。

 現代の倫理観ではきっと世に出なかったであろう伝説の漫画だ。


『・・・・・・ はぁ』


 ちょっとニヤニヤしていたらメーティスさんにため息をつかれた。

 いや、思い出だから!というか、人の回想を勝手にみないでいただきたい。


 気を取り直して、本殿に進む。

 本殿の入り口に着いたところで、ドルフさんとダーシュさんがこちらで失礼しますと言って帰って行った。


 入り口に1人残されてもどう声をかけたらいいものやら。

 こんばんわでいいのかな?などと思っていたら、入り口の奥から巫女服に身を包んだ妙齢の美女が出てきた。


 !!でかい!!

『・・・・・・・ はぁ』


 メーティスさんが本日最大のため息をついた。

 メーティスさんや、これは仕方ないと思うのですよ。男の性というやつです。


「綺麗な人が出てきたよぉ」


 うんうん、ソラちゃん綺麗な人だね!ソラちゃんの純真さに、ほっこりする。


 その人物は、赤い袴に、胸元の開いた着物、ストレートの長い黒髪に、狐の耳、そしてふさふさの狐の尻尾。

 切れ長の目元は涼しげで、厚い唇に、シュッと通った鼻筋、長いまつ毛が印象的な美女であった。


「初めまして、俺は、アキラといいます。ドラフさんとダーシュさんに案内されてやってきました」

 そう言って頭を下げる。正直、目のやり場に困っていたのでちょうどいい。というか、隠しきれない存在感のある部分をガン見してしまいそうで怖い。


「うむ、其方を呼んだのはワシじゃ。この九尾稲荷大社の巫女をやっておる。妾の名は楓という。よろしくの」


 九尾稲荷。

 不穏な名前だね。殺生石とかあっても絶対壊さないようにしよう!


「さて、こんな入り口で話すのもなんじゃな。着いて参れ」

「は、はい」


 階段を上がり、本殿に入っていく。

 目の前には、3柱の神様の像が祀られていた。


「九尾稲荷大社は、三創神の本尊を祀っておる。それぞれの像が持っておられるのが神器と呼ばれる祭器じゃよ。神代より伝わる秘宝での、右から順に、草薙剣(クサナギノツルギ)八咫鏡(ヤタノカガミ)八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)と呼ばれておる」


 まさかの日本書紀。異世界でこの名前を目にするとはね。

 確か、八咫鏡は天照大神(アマテラスオオミカミ)の神器で、草薙剣は、須佐之男命(スサノオノミコト)八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を倒した際に出てきた、天叢雲剣(アマノムラクモ)と同一の剣だったはずだ。


 須佐之男命

 スサノオノミコト・・・・

 ・・・・ミコト?


 ミコト様!?


 ええぇぇぇ!? ミコト様って須佐之男命? 

 じゃあ、シュ○様の格好はコスプレ?というか男じゃねーか!

 確かに、自分で女神とは言っていなかった。神様だよと。

 嘘は言っていない。しかも、あの格好は「趣味」と言われればそれまでだ!


 あぁ、なんか壮絶に“てへぺろ“の気配がする。

 気配察知スキルを使わなくてもわかる。絶対やってるね。


「あの、楓様。この剣を持った筋肉隆々の神様のお名前はなんていうのでしょうか?」

「なんじゃ、お主。神の使徒であろう。そのお方はスサノオノミコト様じゃ。お主がこの村に来ることを啓示されたのもスサノオノミコト様じゃぞ」


 はい、確定情報いただきました。と

 ということは、姉と兄は、天照大神様と月読尊(ツクヨミノミコト)様ですね。

 探して欲しいと頼まれていたが、アマテラス様は引きこもってる可能性大だな。


「ナンテオトコラシイカミサマ。さぞ強い方なのでしょうね」

「そうなのじゃ、神代に妾はスサノオノミコト様に戦いを挑んでの。戦いに敗れて、世界樹の元で神殿を守るように命じられたのじゃ。その戦いの時にできたのが、村の外に広がる天の湖(アマノミズウミ)ができたのじゃ」


 ちょっと待って、楓様がさらっと聞き捨てならないことを言ったぞ。


「ミコト様と戦われたのですか?じゃ、じゃあ、九尾稲荷大社の九尾って?」

「妾じゃぞ。今では神獣と呼ばれておる」


 終盤。終盤の登場人物ですぞ!


 戦うスキル0の俺なんて小指で殺される。


『戦闘力・・・たったの5か・・・ゴミめ』


 メ、メーティスさん?何かおっしゃいました?


『いえ、何も言っておりません』


 よかった、メーティスさんが壊れたのかと思った。


『あー、テス、テス。アキラ君、聞こえますか?僕は今、ソラちゃんを通して君の頭に直接話しかけています。』

『ミコト様ですか?』

『そだよ!正直、こんなに早くバレるとは思ってなかったよ。てへぺろ』


 てへぺろ顔を念話で送ってきやがった。


『じゃあ、それだけだから。ちなみに、私の戦闘力は53万です。』


 神様って暇なんですかね?


ということで、ミコト様は、男でした。

僕っ娘の男の娘でコスプレ趣味のスサノオノミコト様です。

長いこと神様をやってると、きっと色々とあったんだと思います。


現在、次の登場に向けて、衣装作成中とのことです。

撮影会に向けて新レンズが欲しいところなのですが、どうやって手に入れよう・・・


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