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7. ソラとメーティス

7話目です。

がんばれ魔改造スライム3号君の回です。


 グレーウルフの写真の魔素表示をみて思いついた魔素表示が魔獣の強さを表しているかどうか?を検証するために、近くにいる魔獣を撮影することにした。


 そう、魔改造スライム3号君だ。


 この世界最弱と呼ばれているスライムを撮影して、グレーウルフの写真と比べてみれば、何かわかるのではないか?そう思ったのだ。


 確か、魔改造スライム3号君は、スマホや財布と一緒に鞄に入れていたはずだ。

 俺は、鞄の中を覗き込んだ。


「な、なんてこった」


 カバンの中には、魔改造スライム3号君しか入っていなかった。

 確かにスマホや財布と一緒に入れたはずだ。


 そういえば、家の鍵を神空間に収納してもらおうとした時に、家の鍵をシュワシュワと溶かして食べていたな。

 まさか、スマホと財布にモバイルバッテリーを全部食べてしまったのでは?

 よくよく鞄の中を確認すると、スマホにつけていたはずのストラップの残りカスがあった。

 食べられたで間違いなさそうだ。

 よくみると、手のひらサイズだったものが一回り大きくなった気がする。


 どれもこの世界では使えないものなので、食べられて困ることはないのだが、このまま、魔改造スライム3号が食べ続けると鞄まで無くなりそうで困る。

 しかし、意思の疎通ができない以上どうしようもない。


 気を取り直して、撮影者のスキルの検証を進めよう。


 近くの岩の上に魔改造スライム3号君を置いて撮影しようとする。

 カメラを出現させて、ファインダーを覗く。


 魔改造スライム3号君にできるだけ近寄って撮影する。

 焦点距離40mm でF値を 2.8にセット。そうすると、うっすら目のような細い線が見えた。


「魔改造スライム3号君 こっち向いて」と思わず言ってしまった。


 それにしても呼びにくいな。短い愛称でも付けるか。


「うーん。ソラ!今から君をソラと呼ぶことにするよ」


 目の前に広がる青空と魔改造スライム3号君の色がたまたま同じだったから「ソラ」と名付けた。


「ソラ、こっちを向いてくれるかい?」

「・・・・・・・。ワカ、ッタヨ」


 しゃべった!? スマホに話しかけて検索してもらう時のような声だ。

 転生ものの金字塔の物語のように、魔物に名前を付けると何かが起こるものなのだろうか?


 さっきの、細い線がぱちっと見開かれつぶらな瞳が現れた。


「アキラ。ソラね。やっと喋れたぁ」


 ぷにかわ物体だ。目がぱちぱちしている。


「ねぇ、ソラちゃん。どうして喋れるようになったの?」

「ソラ、なんか暗いところでいろんなものをシュワーってして、名前呼ばれたらピカってなって喋れるようになったの」


 想像するに、スライムの本能のままに、スマホを取り込み、体内で解析・鑑定。その結果、音を出したり、光を感じたり、考えたりする能力を得たのだろう。

 そこに名前がつけられたことで、自我が生まれ、それぞれの能力を使って会話ができるようになったというところだろうか。


 会話ができるということは、解析鑑定の結果も教えてもらえるのではないだろうか?


「ソラちゃん、この湧水を解析・鑑定してみてくれる?」

「いいよぉ。えい。元気になるお水だよ」


「なんで元気になるかわかる?」

「魔素がなんとかって言ってるよ」


 どうやら、解析・鑑定すると、ソラちゃんの中で声が聞こえるみたいだ。

 ただ、ソラちゃんが理解できないと伝えられない。そういう感じだ。


 しかし、解析・鑑定無双の目が出てきたのではないだろうか?

 希望が持てる。


 ちょっと予想外の事態で脇道にそれてしまったが、

 本題に戻ろう。ソラちゃんとグレーウルフの写真を比較して、魔素表示の意味を探るのだ。


「ソラちゃん。こっち向いて、カメラを見てね」

 ちゃんとカメラ目線になったソラを撮影した。


 岩の上に乗ったソラが中央に、後ろの草木が大きくボケた写真がとれた。

 つぶらな瞳があるかないかでここまで印象が変わるものなのか?

 魔改造スライム3号と呼んでいた時とは比べ物にならないほど可愛い。


 撮影結果を見るためにフォルダを表示する。

「ソラ:魔改造スライム3号:魔獣」と記載されている。

 そういうことか。魔改造スライム3号は個体名ではなく種族名ということだったのだろう。

 ソラという個体名が付いたことで意思が宿ったのかもしれない。


 フォルダを選んで写真を画面に映す。


「アキラ、ソラがいるよぉ」


 お、ちゃんとソラからも見ることができるようだ。

 魔素表示をオンにする。ソラの体をうっすらと紫色の魔素が覆っている。

 やはり、魔素の濃さが強さを表していそうだ。


「ソラね。この写真好きだよぉ」


 触手をピミョっと伸ばして、写真をツンツンする。

 か、可愛いな。


 ソラが写真を触った瞬間、声が聞こえた。


『写真を通して、個体名「ソラ」とのリンクが形成されました。これにより、「撮影者」の従魔フォルダが開放されます。』


「ソラちゃん?しゃべった?」

「んーんー、ソラ喋ってないよぉ。でも聞こえたぁ」


 頭の中の声はさらに続けてこう問いかけてきた。


『ソラの写真をフォルダに追加できます。追加しますか?』

 とりあえず、Yesと念じた。


『個体名ソラの写真を従魔フォルダに格納しました。ソラが従魔となりました。リンクを介して念話が可能となります。』


 これは、チートでヒャッッハーの前ぶれなのでは?

 どうやらユニークスキル「撮影者」は、写真を撮って保存できるだけのスキルではなかったようだ。


「ソラちゃん。もう一回この湧水を解析・鑑定してみてくれる?」

「わかったよぉ。えい」


『回復の湧水:世界樹の根本にあり、世界樹の魔素を含んでいる湧水。飲むことで、体力と魔力を回復することができます。』


 やはり、ソラちゃんとのリンクができたことで、解析・鑑定さんの声が直接聞けるようになったみたいだ。

 ここは、敬意を込めて「大賢者」さんと呼ぶべきでは?


『それは困ります。別の名前を希望します。』


 普通に拒否られました。

 それにしても、考えていることがダダ漏れとはね。


 それじゃぁ、メーティスでどうかな?

 ギリシャ神話に登場する知恵の女神の名前だ。「叡智」「思慮」「助言」を司っていると聞いたことがある。


『メーティス。良い名前です。』


 お、気に入っていただけたようだ。


 ただの休憩から事態が急発展したけど、良かったのではないだろうか?


「ソラちゃん、メーティス、ヴィリジアンヴィレッジに向かおうか」

「おーー」


 ソラちゃんが肩にポヨンと乗ってきた。

 俺は、カバンを持って、ヴィレッジヴィレッジに向かって歩き出した。

【撮影のすゝめ】(注意:あくまでも作者の主観です)


広角(広い範囲が映る)レンズは、普通に撮るとあまりボケません。

大きくボカして、被写体を浮かび上がらせるには、思っている以上に寄るといいです。

やりすぎでは?と思うくらい近寄ってみると面白い写真が撮れます。

広角レンズを手に入れたら試してみてくださいね。

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